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ビートルズ "Nowhere Man"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 105回目、今日の楽曲は...

アルバム RUBBER SOUL A面 4曲目 "Nowhere Man"

サウンド:★★★
メロディ:★★★☆
リズム :★★
アレンジ:★★★☆
第一印象:★★★
スルメ度:★★★
独創性 :★★★
演奏性 :★★★★☆

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

イントロからいきなり入る、3部コーラスがカッコいい。おそらく各ボーカルそれぞれがダブリング処理されているため、ガチっと固まったような、かなり分厚いコーラス・サウンドとなっている。そして、"Sitting in his nowhere land..." の直後から、シンコペーションで入るアコースティック・ギターのバッキング・ストロークも、若干後ノリ傾向ではあるが、いい味を出している。

サビ "Nowhere man please listen..." では、3部コーラスから "Ahhhh la la la la" スタイルのバッキング・コーラスにすることで、ボーカル・ラインに変化を持たせている。そしてサビの最後で、コーラスの "la" が 8分音符のリズムに変わり、サビの余韻を残しつつ、ギター・ソロに入るところなど、抑揚感があふれ出ていていい雰囲気である。

このジョージのギター・ソロが、なんとも言えない素晴らしい演奏である。ローコードのストローク弾きをやや崩したような弾き方で、ワイルドで独特の響きがある。このギター・ソロでは、Aメロの "point of view..."や"Going to..." に相当する箇所で、ボーカルのラインでは音程が下がっているのに対し、ギター・ソロでは上がっている。細かいところまで計算されたフレーズかと思う。

そして、最後の音の最低音 Eまでスライドしてくると、すかさず 1弦 5フレットでハーモニクスを入れ、これがギター・ソロのアクセント・ポイントとなっている。コピー・バンドがこの曲を演奏しているのを聴くと、このハーモニクスがきちんときれいに出ているか、思わず聞き入ってしまう。それほど重要でインパクトのある音なのである。

ドラムは、比較的おとなし目で 8ビートの基本パターンを叩いている。サビに入る前のスネア・ロールが、今までにないパターンで、これもリズムのちょっとしたアクセントになっていると思う。一方ベースは、8分音符でのランニング・ベースで、地味なドラムをサポートするような感じで、リズミカルなラインを奏でているのが印象に残る。

キーは Eメジャー。コード進行は Aメロでは、E→B→A→E→F#m→Am→E となっており、平凡ではあるがサブドミナント・マイナー Am の響きが特徴的。サビでは、G#m→A→G#m→A→G#m→F#m→B7 と、こちらもオーソドックス。シンプルなコード進行に対して、やはりコーラス・ワーク・アレンジの完成度の高さが全面に出ている曲かと思う。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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