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ビートルズ "The Word"、私が感じ取った曲の印象

ビートルズの楽曲ひとつひとつについて、私が感じたことをベースに、8項目の音楽的視点からポイント評価したコンテンツを公開しています。最後のアルバム LET IT BE から順に過去へさかのぼって、1曲づつ投稿しています。

第 107回目、今日の楽曲は...

アルバム RUBBER SOUL A面 6曲目 "The Word"

サウンド:★★
メロディ:★☆
リズム :★★
アレンジ:★★
第一印象:★★
スルメ度:★☆
独創性 :★☆
演奏性 :★★★★★

<★ ... 1点 ☆ ... 0.5点、5点満点、各項目の解説は最後にあり>

跳ねまくるベースが、なかなかよい味を出している。曲の構成もコード進行も平凡であるが、それと対照的にベースやギターのアレンジが工夫されており、小粒の作品でありながらも、何かキラリと光るものを持っている。Aメロ "Say the word and you'll be free" の部分では、コード D7 に対しボーカル・メロディが F音となっている。つまり、コード的には D7(+9) となり、非常にブラックっぽい響きをかもし出している。

この Aメロでは、ジョンとポールの 3度ハモリによるダブル・ボーカルになっており、いわゆる典型的なビートルズ・サウンドが聴ける。そして、サビ "In the beginning I misunderstood..." に入ると、一変してジョンのソロ・ボーカルとなり、ギター・リフが登場する。このギター・リフは、コードが D→C→F→G と動いているにもかかわらず、同じフレーズを4回くり返しているのが印象的。

ポールはピアノも弾いており、ホンキートンクっぽくもやや硬めのサウンドが、この曲をグッと引き締めているような感じである。同様に、ジョージが弾いているストラト高音域でのリズミカルな短いコード・ストロークも、ソリッドな曲調にあう感じで、聴いていて心地よい。ドラムの音も、心なしかタイトであり、フィルインの切れの良さも目立つような、音作りとフレージングをしているようだ。

キーは、Dメジャー。Aメロでのコードは、D7→G7→D7→Asus4→A→Gsus4G→D7、セブンス・コードがブルージーな雰囲気を出している。サビからは、D→C→F→G のノン・ダイアトニック・コードでのトライアドの動き。曲の構成としては、Aメロとサビしかなく、しかも 12小節ある Aメロに対しサビは 4小節しかなく、なんとなく中途半端で盛り上がりに欠けるような感じがする。

そして何気にシュールなのが、エンディングのコードとボーカル。最後の "say the word..." のところで、Asus4→A→Gsus4→G→D7 というコード進行が表れ、ボーカルもファルセットで、D→C#→C→B... と半音降下のクリシェとなっている。突如として現れるこのエンディング・パターンが、いままでのブルージーな雰囲気の曲調からすると、ちょっと違和感があるような印象を受ける。

あくまで曲の印象を具体的に表現するための手段です。曲をランク付けする意図はありません。


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