然るべき場所

記録を消されても
記憶までは消されない
行動を支配されても
想いまでは支配されない
身柄は拘束されても
人格までは拘束されない

だからといって
権利などと言いはしない

土地や財産を奪われても
手にした職で生きていける
国を追われても
故郷は何時も己の内にある
敗北を喫しても
誇りを失った訳ではない

だけどそれが
逃げる理由ではない
物事の流れを読む為に
風上に棲家を構えただけ
季節が巡り時が許せば
また然るべき場所へ

殺されても
死にはしない
然るべき場所へ
また然るべき場所へ