ハイカラな婆さんとの思い出
うちの婆さんといえば、子持ちカレイの煮付けな一席。
ばぁは、すんごいハイカラな人だった。
手にはゴツゴツした宝石の指輪をはめ、銀のミラーボールみたいなシガーケースにセブンスターをいれて余裕で1箱は吸っていた。
遠路はるばる青森の地まで会いに行った時も、「友達に会いに行く」と私をひとりぼっちにし、パチンコで大勝ちして帰ってくるパンクロッカーみたいな婆さん。ロックンロール。
そんなばぁが好きだった「子持ちカレイ」。
これを見つけるたびに、パブロフの犬みたいに、反射的にばぁのことを思い出す。
ばぁから教えてもらった味でもなけりゃぁ、パンクな味もしないのですが、万能なのでお見知り置きを。
そして、ちと丁寧に魚の下処理をして、優秀なたれをつくって煮詰めれば出来上がり。
今回は、「醤油」「酒」「みりん」「ザラメ(なければ砂糖)」「生姜」「魚」をご用意くださいまし。
材料
●優秀なたれ●
醤油 100mlくらい
みりん スプーン2
酒 スプーン2
ざらめ お好みで(今回はスプーン4杯くらい)
生姜 ひとかけ
●その他●
魚(切り身なら) 2匹分くらい
▼用意できたらでOKなもの
酒(下処理用) 少量
塩(下処理用) 少量
生姜(飾り用) お好きな分量
作り方
1、魚の下処理(これが本日の要)
魚をさばける方は是非とも捌いてくださいまし。
さて、この下処理を丁寧にしてあげると、スーパーのちとクセが強めな子も魚臭さが抜けて美味しくなるよ。本当は「霜降り」という方法もあるのですが、工程が少し面倒なので家でもできそうなものをチョイス。面倒なら飛ばしてOK。余裕だよなんて方はがんばってこぉー!おっ!
⑴内臓・うろこ・血合いのチェック(これだけはやった方がよし!)
スーパーの魚は、うろこがそのままだったり、内臓や血合いがちょっぴり残っていることがあるのでご注意を!これが生臭さの原因になるよ。
⑵塩を振ります(できたらやってね!)
塩を振ると、身の水分と一緒に生臭さも上に浮いてきます。少ししたら水気を切りましょう。
⑶塩水につける(余裕があったらやってね!)
これはどこかで聞いてやりはじめた技なのですが、海水くらいの濃度の塩水に15分程つけます。放置しておくと結構汚れが浮いてくる!嘘でしょと思っていたけど浮いてくるんですねぇ
。
⑷酒を振って5分放置(これはスーパ余裕のある人向け)
私はむちゃくちゃ暇なのよ!または、完璧主義なの!、はたまた、魚臭いのどうしても苦手だわ!なんて方は是非とも。
魚にさっとお酒を振って放置して、さらに臭みを抜きます。最後に水気を切ったら、お疲れさまです。下処理完了でございます。
2、優秀なたれをつくりましょう(余ったタレは炒め物にもつかえるよ)
タレの材料を全て鍋の中へいれ、噴きこぼれる手前まで火にかけます。
あんまり煮詰めすぎると、魚と合わせた時にべっこう飴みたくなるので注意が必要。あとは自分の好みの甘さかをチェックしてくださいまし。
もし!濃すぎるゼェ(エガちゃんぽいね)、ってなりましたら、煮付ける工程で酒か水を足してあげれば大丈夫。
3、魚にスーっと切り込みをば
私は完全に油断して思いっきり包丁いれまして失敗です。(下の写真が、失敗の良い見本)。
でも大丈夫。自分で食べる分だからいいもん!と開き直ってまいります。
この工程で火通りと味しみをよくするために行いますよ。
4、ドキドキ☆煮付け
煮付けって、グツグツ肉じゃがみたいに煮るのが煮付けと思っている方も多いのではないでしょうか。実はこの煮付け、強火で一気にに立てるのがよしとされております。
「強火で」ここがミソですね。煮崩れること大いにありなので、タレは魚の身に対して2/3くらいにしておくと失敗しにくい。あとは、ひっくり返さないことです。
はい深呼吸。心を落ち着けここから一気にまいりますよ。
落し蓋をしたならば、強火でグラグラ。
ある程度タレが煮詰まってきたら、落し蓋をとり、お玉でお魚の上部にたれをまわしかけてあげます。(よッ!プロ!)
こうしてあげると上の方にも熱が行き渡りいい感じに仕上がります。
5、見事な照りを見よ!
いい感じに煮詰めたなら、照りってりで涎がでてくる。私は生姜が好きなので千切りにしていただきます。
(おまけ)
余ったタレは、油揚げときのことか味がしみそうなものと炒めると最高にうまいです。もちろんそのまま、あっつあつのごはんにかけるもよしですねぇ。
以上。
今日のツボ
・魚の下処理大事だよ
・たれの濃さをここにて確認
・切り込みは慎重に、ね!
・煮付けは強火で煮立たせる
・いい感じの照りを目指す
・余ったタレもつかえるよ
ちなみにばぁは、まだ生きておりますッ!
今じゃ、タバコも、宝石もしなくなり、随分おとなしいばぁさんです。
ちなみにじぃの日課は、夕方には必ず「食パンに蜂蜜をつけたもの」を私に与えることでした。
津軽弁で何言ってるかわからないことも多かったです。
「ちゃんっと、勉強しねけダメだよ」
という言葉だけは、聞き取れた。
ジィよ。今私は、油脂についての勉強は昨日からひたすらにしておるぞ。
そんなじぃの言いつけを守る、大人になっても従純なわたくしなのでありました。
お後がよろしいようで。
食べたいものをつくる人 高橋 拝。
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