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うたの日の短歌

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うたの日で注目した短歌について書いた評を載せていきます。(※ 歌の作者の許可を頂いています。)
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2022年11月の記事一覧

回遊魚みたいに街を歩きたい終バスが何時かなんて忘れて/西鎮

2022年11月16日(水)のうたの日7時部屋の題「何時」で次席となった短歌。 「回遊魚」とは、…

あの日々の断片のごと降りしまく銀杏並木をゆく車椅子/六厩めれう

2022年11月15日(火)のうたの日13時部屋の「断」の短歌。 作中主体は「車椅子」に乗っている…

トーストの余白が多く見える日のとっぷりのせる有塩バター/鈴木ベルキ

2022年11月13日(日)のうたの日7時部屋の「トースト」の短歌。 「トースト」とは、切って軽…

真夜中の砕氷船のように行く一瞬みえた愛に向かって/鹿ヶ谷街庵

2022年11月12日(土)のうたの日7時部屋の「愛」で次席となった短歌。 上句の直喩の持つ壮大…

しなやかな生命線を背に添えて水筒は子の旅を見守る/ナイコ

2022年11月10日(木)のうたの日13時部屋の「自由詠」で首席(薔薇)を取った短歌。 「しなや…

スマフォのみいじりたる手にひとひらの秋を知らする文が届きぬ/青井力

2022年11月3日(木)のうたの日21時部屋の題「題『文』を文語で」の短歌。 心温まる文語新仮…

久方の朝日を受くる海鳥のかな文字のごと空へひらけり/ぷくぷく

2022年11月3日(木)のうたの日19時部屋の題「題『文』を文語で」で首席(薔薇)を取った短歌。 「久方の」は、「日」を導く枕詞。「海鳥」の種類はわからないが、朝日の光を受けて、海の上を飛んで漂っているのだろう。ウミネコやカモメが飛翔する姿は、平仮名で言えば、「ひ」や「へ」のように見える。そのため、「かな文字」というのは平仮名ということだろう。結句「空へひらけり」で「ひらく」という動詞を用いていることからも、平仮名であろうと予想できる。 何が「ひらく」のだろうか。鳥自体

ミサイルの影は見えざりスマホには上空通過の文字が残りぬ/蒼音

2022年11月3日(木)のうたの日17時部屋の題「題『文』を文語で」の短歌。 昨今続く北朝鮮に…

遺されし小さき文机 母の日に我の描きし花の絵のあり/安原健一郎

※ 小=ち、描=えが 2022年11月3日(木)のうたの日15時部屋の題「題『文』を文語で」で首…

文を書く相手はとうに居らずとも便箋たちはその出番を待つ/葵七宝

※ 文=ふみ、居=お 2022年11月3日(木)のうたの日13時部屋の題「題『文』を文語で」の短…

亡き母の文箱開くれば父も吾も知らざりし日の恋咲き満てり/月硝子

※ 文箱=ふばこ 2022年11月3日(木)のうたの日11時部屋の題「題『文』を文語で」の短歌。 …

文化の日生まれし母は文の字を名前に冠し過ごす生涯/黄色い人

※ 文=ふみ 2022年11月3日(木)のうたの日7時部屋の題「題『文』を文語で」の短歌。 まず…

千羽鶴千へと至るはじまりの一羽の深き谷折りの線/文月郁葉

2022年6月17日(金)うたの日3000日記念の題「『せん』を三回詠み込んで」で首席(薔薇)を取…