2018年の写真活動を振り返る
いよいよ年の瀬が近づいて参りました。そろそろ色々な締めて新しい年を迎える準備をしていきたいところでございます。
しかしながら私の場合、年末年始は30、31日のみが休みでして、他の日は全て仕事でございます(現在10連勤中)。例年こんな感じなので、せめてこうやって一年を振り返ることを書かないと年を越す感覚が出ません。
ということで今回は、今年の写真活動のまとめとなる内容です。少々長くなりますが、往々にして私の写真活動は傍から見ていると意味不明と言われやすいので、一応の写真を撮ってきた理由を示すために書き連ねようかと思います。ま、堅苦しくなく、「こんなやつもいるんやなぁ」という知見を広げる意味で見て頂ければ幸いです。
シリーズ【From the Vautl】。過去の作品を顧みてSNSにアップしてたシリーズですが、思った以上に反応が薄くて最近投稿をやめております(笑)
時間との戦い
まず前提として、今年最も重要な出来事は、仕事の激化に伴う写真活動の縮小でした。
特に今年の4月〜11月までの間は本当に死にそうになりながら仕事をしているような状態でした。そのため休みも縮小、休日出勤にそなえて自宅待機することも多くなり、3連休で遠出して写真を撮りに行こうとか、誰かと約束してポートレイトを撮るといった活動は厳しい状態に追い込まれました。まぁこれは今も継続していまして、前日にならなければ休めるか不明という状態が続いております。
その状態で行ったのが個展と風景展。内容は後述しますが、仕事の多忙さに加えて展示内容を凝りすぎたこととで、休みの殆どを準備に費やす羽目になりました。そのため写真展を目前として、殆ど写真を撮ることが出来ない状態でした。
しかし、もともと【写真展のために撮る写真】という考えで写真を撮らないですし、時間がないという制約が、良い意味で写真を進化させてくれたと思います。展示物だからこそ見れる展示や、私自身しか撮れない写真とは何かといった事について考え、実践する機会が多くなりました。あまり自作カメラ類でオリジナリティという事は遠慮させてもらっていmすが、【目的に合わせてカメラを作り、作品として発表するためにギミックを処す】という考え方については、私以上の人間はそうそういないと思える次元まできたと思いこんでいます(ちょっと調子にのってますので、もし私以上の事をしている人がいたら是非紹介して下さいw)。
今後、年齢を重ねるに連れて写真を撮る、展示することが難しくなる時期が来るかもしれません。風景や女の子ポートレイトを撮る人が、結婚や出産を機に撮ることができなくなったり、子供を撮るという人が、子供が大きくなって撮れなくなった、撮る機会がなくなったという話は良く聞くことです。私の場合、明確に撮りたいものがある機会が少ないので問題としていませんが、同様の問題を有する可能性は大いにありえます(いや結婚できないんだから気にすることないでしょとか言わないで)。
そういう意味では、時間がないという環境下でも、自分が撮りたい写真を撮り続けるための努力を進めてきて、それが作品として残せたのは良いことではないかと思っています。
シリーズ【Light】。風景写真を遠方まで撮りにいく事なく近場で撮ること、ライティングに意味をもたせる撮影をするということで開始したシリーズ。実は天の川の星景写真がネットにあふれていて、星空は天の川だけじゃないだろ、という考えからスタートした。
スリットスキャンと定点観測
今年も様々な写真を撮ってきましたが、特に思い入れのある作品はスリットスキャンです。2015年以降継続して作品を撮り続けているということもあり、飽きっぽい自分にしては長く続いていることからも、気に入っていることが分かるかと思います(笑)写真一枚に複数の時間軸を入れることができる本手法は、自分の撮りたい写真に限りなく近い存在です。
去年まではスキャナカメラやスリットシャッターカメラを中心に、ハード的に改造されたカメラで撮影してきました。それに対し今年はソフトに重きを置き、プログラムを使った【往相図】と呼ばれるシリーズに注力してきました。これは定点観測している被写体を、CMOSセンサの読み込み機能に見立ててソフトウェアでスリットスキャン合成を行うという、カメラのイメージセンサ処理を模した加工合成を実施しています。詳細は下記を参照して下さい。
本手法は2017年から実施していますが、本格的な撮影は2018年からでした。2018年以降に本格稼働した理由として、一旦撮影をスタートすると自動的に作品を作り上げることができる点にあります。時間制約がある中、本手法はシステマティックに作品を仕上げることが出来るため、私の中では画期的なアイデアでした。
往相図のようなスリットスキャン以外にも、今年は定点観測をテーマとした作品を多数撮影してきました。noteやTwitterにアップしていないだけで、わりと大量の定点観測のシリーズを撮影しております。「写真家は撮ることが大事なのではなく、セレクトこそが大事」と言われることがありますが、定点観測はまさにセレクトを意識した作品群となる予定です。来年とある写真展に出展する予定ですので、お楽しみに!
【嵐潮】風景写真展に出展した作品。この作品は、雲海を本当の海に近づけることを目的にスリットスキャンを実施。スリットスキャンにより雲が波のような動きを見せてくれた。「風景は素晴らしい一瞬を残す」という理念では成し得ない作品。撮られ過ぎている景観地を、画像加工(RAW現像)で素晴らしい風景を作り出すことに対するアンチテーゼでもあります。
そして自由すぎる展示へ
今年は御苗場横浜、個展、エロイムエッサイズム(途中参加)、リアポ、風景写真展-三千世界-、OMMF2018の計6展示に出展しておりました。どれも思い出深いものばかりですが、特に印象に残ったものを書いておきます。
①初個展を開催
記念すべき31歳の誕生日に、今までを振り返る展示を行いました。
今年の前半戦はすべてを個展の準備に費やしたといっても過言ではありません。一年とか大袈裟だろうと言われるかもしれませんが、(自分の見識の低さが露呈するかもしれませんが)これだけ時間をかけて創意工夫された展示を見たことがない!というレベルのことをしたつもりです。人生で一度個展が出来れば良いという気持ちで臨んだこともあり、後悔のない展示ができたなと思っています。
詳しくは下記のリンクを参考にして下さい。
②初のグループ展主催
風景写真展を企画、開催しました。一般的なメーカーギャラリーでやるような格式高い風景写真展ではなく、風景というジャンルの幅を広げられるような展示を目指して開催しました。個展に比べれば簡単に終わると思ったけど、それは色々な意味で大間違いでしたw でもその頑張りの介もあり、来場していただいた方に非常に高評価を頂きまして感謝しております。
詳細はこちら。
③OMMF2018への出展
初のMaker Faire出展。とにかく人生観が変わるイベントでした。今まで展示=写真展や、アートフェスみたいな場所でしたが、今まで見たどのイベントよりも、私にとってはアートな空間が広がっていました。
来年以降も、出来ればMaker Faireをはじめとしたイベントには見に行きたいし、出来れば出展もしたい。
出展した時の記事はこちら。
ギミック
今年は特にギミックに傾倒した展示が中心となりました。写真家なら写真だけで勝負しろよ!と言われそうですが、私にとってギミックとは写真を有効的に見せるための手法です。そして家で引きこもっていても(寝る時間を減らせば)作ることが可能です。
いわゆるインスタレーションといった方が格好はつくのかもしれませんが、基本的に遊び心が入りすぎているのでギミックと言う方がワクワク感があって好きです。
今年は【Mixture(プリ◯ラ)】と【Blightroom】を、個展と風景展で展示しました。【Mixture】についてはこちらの記事を参照。
このギミックは自分の展示の最大の特徴であると同時に、展示準備に時間がかかる最大の要因でもありまして、写真を撮りに行く時間が減るという本末転倒な事態を招いてしまいました。今年は凝ったギミックが多く、特にネットワーク系とハード的な動きの両立に頭を悩ます毎日でした。
今年の展示は、Rasberry Piをはじめとしたマイコン制御による賜物だと思っています。これらの技術は、今後写真展に新たな可能性を投じる事が出来るツールだと確信しています。とはいえ現状は問題も山積みで、展示会期中のネットワーク環境や、マイコン特有の起動終了をするために常時在廊しなくてはならないリスクを負うことになってしまいました。
あと凝ったギミックを作るけど、完成度がイマイチということで定評がありますが、そこは新たに導入された3Dプリンター氏が活躍して補完してくれることでしょう(笑)
そして撮りたいものと出会った
そんなわけで、自分が撮ることなく自動で作品を作り上げるというシステムや展示に対するギミックの追加は、時間制約がある中でも自分らしい作品を展示するために必要な内容でした。しかしそれは写真を撮るという本来の楽しさが存在していません。また、ギミックへの傾倒は写真そのものへの熱量が希薄になっていると自分なりに感じていました。
そんな中、最近になって久しぶりに「これは絶対に撮りたい!!」と思えるものに出会いました。実のところ、こんな感じになったのは2015年にある友人を撮っていた以来久しぶりです。自分にとってこういう感覚は珍しいので、大事にしたいと思っています。眠れる龍が目を覚ます…か分かりませんがw、久々に全うな感覚で写真が撮れていて楽しいです。ちょっと長距離ですが、しばらく通って作品として残せるように撮っていこうと思っています。
おわりに来年どうするかという話
自分の中では、今年は全力疾走しすぎた感じがありまして来年はゆっくりしようかと考えています。写真展に出す回数も、見る回数も減る予定です(去年も同じことを言ってた気がするけど)。
そしてギミックも減らしていこうかと思っています。なくすわけではありません。自分が在廊してなくても、写真を見せる手法として成り立つギミックで、かつ自分の作風として定着できそうな物を作りたいと思っています。
かわりに何をするか。正直なところ明確な答えはないのですが、とりあえず自分自身をとりまく環境を変えていこうかと思っています。あとは引き続き、撮るためのカメラを作る。それで自分が撮りたいものを撮る。そして見せたいものを見せる。それだけで良いのかなぁと。
最後に。
私は写真界隈の主流となる部分からかなり逸脱していますが、それでも良いと考えている人間です。おそらく写真界隈において、一生有名になることはなく生涯を終えると思います。
とはいえ、自分にとって写真は趣味です。無理に有名になる必要性は全くありません。そういう事に注力するよりもむしろ、自分に嘘をついた写真を撮らず、自分の中で引っかかる部分は徹底的に追求したいと思っています。つまり自分の正義に準じてやりきる所存です。基本的に考え方が屁理屈と言われがちですがw、その屁理屈と戦って、今の自分があります。
2012年に本格的に写真を撮りだしてから、今に至るまで自分が写真でやれることは全部やろうと、色々な写真を撮ってきました。その中には習作もあったり、今回の個展を機に、もう二度と撮影/公開することがなくなったシリーズもあり、その繰り返しの中で今があります。かなり遠回りな人生をしていると思いますが、今後も安易な考え方で満足できるような人生を送るつもりは毛頭ございません。私は、カッコいい、美しい被写体を撮りたいのではありません。自分がカッコいい、美しいと思える生き様を追求して写真を撮っているだけにすぎません。そして自分が共感する考え方をする人の写真を、今後も見ていきたいなぁと思っております。
最後、ちょっと強めの文章を書きましたが、結果的に自分のやりたいことを、やりたいようにやって。そんな中で、一部でも良いから…一人でも良いから響いてほしいなぁと。生き様を見てもらえればいいなと思った次第でございます。
長くなりましたが、これが年内ラストの記事になると思います。皆様良いお年を。
サーキットベンディングした写真を見続けていると、自然にクリスマスツリーに見えてきた。来年もよろしくお願いします。
自作で機材作ったり、展示物のギミック作るとお金かかるんです…。ストレスで甘いもの食べまくるから…。そんなわけで、俺に少しでも甘いもの食べてもらいたいって人はよろしくお願いします!