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【レシピ】たかぎメシのビリヤニ研究日記 v07_ビリヤニに適した玉ねぎ論争

前回の話はこちらから

どんな国のレシピを見ても、ビリヤニをビリヤニたらしめる共通の食材というものがあります。
そのうちの一つ、玉ねぎの話を今日はしたいと思います。

写真見るだけで鼻の奥がツーンとしませんか


前提:ビリヤニにおける玉ねぎの使い方

①炒め玉ねぎ:グレービーソースの一部として

ホールスパイスをテンパリングした後、その油を使って茶色になるまで炒めます。
具体的な作り方&使い方はこれまでのエントリで大体説明しているんで、ぜひそちらをご覧ください。

②フライドオニオン:トッピングとして

カリカリになるまで高温で揚げたものを、食感と香りを楽しむためにプラス。
市販のものもありますが、粉をまぶしているのでちょっと違う食感になるのだとか。
私は後処理がめんどくさいので、自宅キッチンではやりません。(頑な)

③スライス:トッピングとして

よく輪切りでぱらぱらと乗っているアレです。
インド料理店のビリヤニだと5mmくらいの分厚さで水にさらしてもいない生玉ねぎが出てくることがありますが、
十中八九お腹壊すので勘弁してほしいです。


論点①:品種

一概に玉ねぎと呼ばれる農作物は、実は地域によって異なるものを指しています。

お馴染みの黄玉ねぎ

日本でお馴染みのあの茶色い玉ねぎは、黄玉ねぎという国内最大流通量を誇る品種です。
日本には鎖国が続いた江戸時代に長崎に初めて伝来したそうで、しばらく長崎で観賞用に栽培されたのち、明治時代以降食用作物として本格栽培が開始されました。

折しも時代は北海道開拓真っ盛り。
金カムよろしく多くの本州民が北の大地に夢を抱いて渡ったわけですが、寒冷地域でもよく育つ玉ねぎは格好の農作物でした。
氷点下の雪国の気候は、玉ねぎの辛味の元となる硫化アリルをよく引き出します。
そうして北海道産の玉ねぎは、他の産地に比べて辛味を多く感じるようになったそうな。

通常は収穫後乾燥・貯蔵を経て出荷されますが、収穫してすぐ販売されると「新玉ねぎ」と呼ばれることになります。
四季折々、日本国内のどんなスーパーでも欠かすことのない黄玉ねぎ。日本でビリヤニないしカレーを作る場合、最も使われている品種ではないでしょうか。

水分たっぷりの白玉ねぎ

「白玉ねぎって、普通の黄玉ねぎの若い時期なんじゃないの?」と思ったそこのあなた。私もです。

いわゆる春〜初夏に出回る新玉ねぎは、その名通り冬の熟成期間を待たずに収穫後すぐ出荷されるもの全般を指すこともありますが、
実は白玉ねぎという別品種もあるらしい。
とはいえ出回る時期は同じなので、店頭で違いを実感できることは少なそう。

水分量が多く生食向きなので、使うとしたらスライスかな。時期も限定されているのであまりビリヤニの使い道は思いつかない。

本場御用達の紫玉ねぎ

アーリーレッドとも呼ばれる、鮮やかな赤色の皮が特徴的な玉ねぎです。
日本では主に生食用でサラダなどに使われる印象ですが、インドでは「玉ねぎといえば」なメジャーな品種のようです。

インドは世界で二番目に大きな玉ねぎ生産国であり、一年中流通しています。
主な品種としては
・Agrifound Dark Red
・Agrifound Light Red
・NHRDF Red
・Agrifound White
(中略)などが挙げられます。(※訳:たかぎメシ)
https://apeda.gov.in/apedawebsite/SubHead_Products/Onions.htm

その使われ方は生食に限らず、炒めて・揚げてなどたいていの玉ねぎシーンに登場しています。
私の敬愛するカーンさんが振る舞う特製ビリヤニでも、グレービーソース作りに使われていたのは紫玉ねぎでした。

日本ではあまり生産量が多くないので黄玉ねぎに比べお高めですが、本場がこちらを使うと聞けば試したくなるのが人情というもの。
新大久保のインド食材店などは比較的安く、4玉150円くらいで売ってることもあります。


論点②:適した調理方法

さて、ここからは完全な私見のお話です。

冒頭に書いた通りビリヤニ作りで玉ねぎが登場するシーンは3回あります。
そのうちフライドオニオンは私が全くの門外漢なので割愛するとして、
①オニオンソテーと②スライスに絞って「どの品種が適しているのか」を考えました。

①オニオンソテー

加熱するなら黄玉ねぎではないか?と当初思っていたのですが、前述のカーンさんのビリヤニ調理風景を見ていて思ったのです。
「紫玉ねぎ、めっちゃ炒めてるやん」と。

日本ではあまり馴染みのない紫玉ねぎのソテー。やってみようじゃないですか。

これが
こうして
こうなった!(左:紫玉ねぎ100%、右:黄玉ねぎ70%+紫玉ねぎ30%)

結果紫玉ねぎのソテーは、通常のソテーに比べて以下の違いを感じました。

  • 炒め時間が短い
    黄玉ねぎに比べ2/3くらいの時間で早く色づきました。水分量が多いからでしょうか

  • コクが強い
    赤い色素の主成分であるアントシアニン(ポリフェノールの一種。ブドウの皮が代表例)は若干の苦み、渋みをもたらす気がします。気のせいという意見もありますが…
    ちなみにこの成分は水溶性のため、油での調理は理にかなっています

  • 色が濃い
    単純に皮の色が違うので、その差が出来上がりにも反映されました

特にコクが強く出る(気がする)のと、グレービーの色にハッキリとした濃淡を出せるので
今後はできる時は紫玉ねぎを使おうと思います。

白玉ねぎはどうした、という声が聞こえてきそうですが単純にシーズンではないため手に入りませんでした。
また他の料理で使った感覚からすると、繊維が柔らかすぎてじっくり炒めると完全なペーストになりそうです。超滑らかなグレービーにしたいときはいいのかも。

②スライス

こちらは生食ですので、水分量が多く辛味の少ない白玉ねぎ紫玉ねぎに軍配が上がりそうなところです。
黄玉ねぎでももちろん大丈夫ですが、必ず水にさらしていただきたい。でないと本当に舌がおバカになっちゃうから。

明らかにソテーに比べて熱量が違うって?
だって結果が分かりきってるじゃないですか。強いていえば和風ビリヤニなら、九条ネギも合いそうだなと思う次第です。

出典一覧

生まれて初めて玉ねぎの歴史や市場のことを真面目に調べたので、出典も残しておきます。
仕事か?てくらいちゃんと調べたしソースもしっかりしてるのを選びました。

今週はビリヤニ料理教室にお邪魔したり、ビリパしたり色々ネタを仕込めたものの、描く気力が追いつかず脱力気味です。
続けるのがテーマなので、ゆるっと書ける時に書きたいと思います。

次週はマサラ部室でビリヤニバトルに参戦します。(詳細はインスタで)


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