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トーンアームのカーブを愛でる

今日は日曜日なので軽い話題を。

TechnicsのSL-1200というDJ用ターンテーブルの定番製品がある。初代の発売が1972年、そして現行モデルの原型となったMK2というモデルが1979年の発売だから、もう40年以上ほぼ同じ形で製造販売されている。家電製品としては超ロングセラーモデルだ。

発売以来、メイドインジャパンのこだわりを貫いていて、熟練した職人が手作業で組み立てているらしい。そして日本製ならではの過剰とも言える高品質を保っているらしい。定価は1台約10万円と気軽に買える値段では無いが、それでも、この品質でこの価格はリーズナブルだという。

自分も、大学進学の時にもらった入学祝いを使い込んでしまい、このターンテーブルを購入した。当時のモデルはMk3だった(購入して半年後にMk3Dが登場)。1979年にMk2が出て、1997年の購入当時にまだMk3だったので、いかにロングセラーモデルだったかがよく分かる。そして、1997年で定価が6万円台だったので、当時は現在より更にリーズナブルだったのだ。

で、このターンテーブルのどこが好きかと言うと、トーンアームのカーブの部分。針先の音を拾って電気信号として伝えるシルバーのパーツ。あそこの絶妙なS字のラインがなんとも言えない美しさを醸し出していると常々思っている。もう見ているだけでうっとりするというか、何時間でも見ていられる。

外周が直線的でいかにも無骨なデザインの中に、的確な配置がされたボタン類があり、ターンテーブルがあり、そしてあのなめらかなトーンアーム。男性的な部分と女性的な部分が共存していると言うか、曲線美というか、なんとも完璧なデザインだと常々思っている。

97年当時、VestaxというDJブランドも2大勢力として存在し、特にDJミキサーの分野でシェアを伸ばしていた。そして、Vestaxもターンテーブルを発売していたが、最後までTechnicsの牙城を崩すことはなかった。

Vestax製のトーンアームはまっすぐストレートな形状で、そこを差別化して販売していた。曰く「まっすぐな方が針飛びしないし、音が良い」という売り方をしていたのだ。ただ、デザイン的にはやはり直線と曲線が織り混ざったSL1200のほうが圧倒的に上で、Vestaxは、その部分がユーザーに受け入れられなかったのではないかと勝手に推測している。

今はデザイン家電なんて当たり前の世界で、デザインが購入動機の上位だってことも普通になっていると思うが、1970年代から機能美というものを追求していたところがなんともかっこいいし、好きな理由なんだな。今ではほとんど触っていないけど。

この気持ち、分かるかなー?わかんねぇだろうなー。

LADIES 判っといてほしい、こんな気持 男の8割 by小沢健二

参考「日本審美ドライヤー学会」


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