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読書46 『タイムマシンに乗れないぼくたち』

   寺地はるな著

 普通って?ひとと違うといけないの?生きづらさを抱えた不器用なひとたちの、日々の暮らしの中の葛藤や好きなことを集めた短編集。

「コードネームは保留」
 楽器店で経理事務をしている優香。同年代の「女の子たち」とは、一線を引いている。

「タイムマシンに乗れないぼくたち」
 小学校六年生。転校して来たばかりのぼくは、学校が終わると毎日博物館に行く。今日も一言も話さなかった。

「口笛」
 実家近くで一人暮らしをしている初音。兄の子どもの美姫の保育園の「迎」を任されている。

「夢の女」
 四十六歳で夫が死んだ。やがて、サエリという美しさ女が現れる。サエリは一体?

「深く息を吸って」
 家も学校も居心地が悪い主人公は、中学生女子。小学校の修学旅行のとき、帰りのバスで観たビデオの「きみ」が、大好きになった。

「灯台」
 昼間は不動産会社、夜はコンビニでアルバイトをしている芽久美。昔から第三者だった。常に中立。スイスみたいな存在だった。

「対岸の叔父」
 川向こうに住む、史の妻の叔父は希男という。親およびその子、他の親戚縁者のみならず、近所の人々からも嫌われている。
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「コードネームは保留」は、『◯◯の役を演じているつもり』で、毎日を乗り切る優香でしたが、呆れられると思っていたら、それをわかってくれるひとがいて、うれしくなりました。女の子たちと優香の距離と、実際に思われていた内容との違いがおもしろかったです。

「対岸の叔父」は、希男さんの破茶滅茶に笑うばかりでした。史の勤務先のホームセンターを出入り禁止になったため「フレディ・マーキュリー」と言って電話をしてきます。おもしろいです。

 個人的には、この二作が好きですが、ほんのささいな勇気が出せたこと。そのことから、ほんの少しだけ何かが変わるような話や、今までの見方が違って見えたような話が多くて、どれもがふとしたやさしさを感じられました。

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