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読書58 『女人入眼』

   永井紗耶子著

 建久六年(一一九五年)京の六条殿に仕える女房・周子は、丹後局から源頼朝と北条政子の娘・大姫を入内させるという命を受けて鎌倉へ入る。
 気の病を抱え、繊細な心を持つ大姫と、大きな野望を抱き、それゆえ娘への強い圧力となる政子。
 「鎌倉幕府最大の失策」と呼ばれる謎多き事件・大姫入内。
 その背後には、政治の実権をめぐる女たちの戦いと、わかり合えない母と娘の物語があった。(紹介文から一部を抜粋)
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 大姫といえば木曽義仲の嫡男、義高への一途な想いと、かなしい生涯が印象的です。
 本書は、周子の目線からの大姫を物語っています。大姫の苦悩や葛藤に、ていねいに寄り添った内容です。

 何度も周子を助けてくれた弓の名手、海野幸氏ですが、幸氏は義高と共に木曽から鎌倉に入りました。

 印象に残っているところは、自責の念に苦しみ続けている幸氏が、周子の言葉で救われる場面です。

 「数多張り巡らされた思惑の中、喘ぐように生きたか弱いあの姫に、幸せになって欲しかった」誰もが願いました。周子と関わることで、ようやく自分の言葉を発することができたのに、残念でなりません。

 『木挽町のあだ討ち』で本年度、直木三十五賞と山本周五郎賞をW受賞された作家さんです。  この時代の複雑な争いごとやつながりが、とてもわかりやすく書かれていました。

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