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読書131 『プリンシパル』

    長浦京著

水嶽(みたけ)本家に生まれた綾女は、稼業を嫌い、家を出て教師になった。
1945年。終戦後に父が病死。
長兄と三兄は戦地から戻らず、次兄は病気療養中のため、突如綾女が「代行」を余儀なくされる。綾女は継承することを拒むが、生まれたときから世話になった家族が、無残な殺され方をしたため、復讐のために「兄たちが帰って来るまで」水嶽組から水嶽商事株式会社となった稼業の会長兼社長代行となった。(公開されているあらすじから)

表紙の写真や「プリンシパル」というタイトルから、バレエに関係する話かと思いましたが、全く関係ありませんでした。

綾女は復讐のためとはいえ、味方や無関係の人たちの巻き添えもいとわない残酷さを見せていきます。

さらに、水嶽商事を巨大組織に成長させます。
敵対勢力との抗争や、大物政治家、GHQ内とは利用し利用される関係にとどまらず、常に裏切りと騙し合いの連続です。

たくさんの人が死んでしまいます。ひどい殺され方の描写も多いです。
無関係の人を巻き込むところには違和感はありますが、知らなかったこの時代のことが、次から次から描かれていて驚くばかり。ただただ圧倒されました。

新潮社の【PRTIME】での、作者の長浦さんのインタビュー記事から
「終戦から七十七年経った「いま」こそが、皆が避けてきた「史実」を極力愚直に描くことで、新たな「戦後」像をも提示することができると考えたのです」
「連載終了後から単行本に向けての改稿にかけた期間は、これまでで最長。でも、そのぶん「最高到達点」といえる作品になったと思っています」

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