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読書215 『イオカステの揺籃』

   遠田潤子著

バラが咲き誇る家に育った英樹。
美しい母の恭子と、仕事が忙しくて家庭を顧みない父、誠一。
妹の玲子は恭子と折り合いが悪く、家を出て恋人の完と暮らしている。
英樹の仕事も順調で、妻の美沙が妊娠して順風満帆のはずだった。
ところが
美沙の妊娠を知ったことから、恭子の異常な干渉が始まった。

こわい人や嫌な人ばかり。特に、父親の誠一には強烈な嫌悪感を覚えました。
恭子への不気味さは残るものの、その境遇を知るにつれて、こちらにも苦しいものがつのっていくようです。

「イオカステ」は、ギリシャ神話に出てくる女性。我が子と知らずに結婚して、その相手の子どもを生んだという話があるそうです。
恭子の異常な行動は、英樹を溺愛するあまり暴走する母親を想像しましたが、実は違うところにあり、それは想像以上に凄絶なものでした。

嫌な気持ちになるけど、続きが気になりすぎて一気に読んでしまうやつです。
玲子の恋人の完が癒しの人で、異常事態の中でも、いつも完に救われました。
ある意味、完が一番犠牲になったかもしれません。

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