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読書71 『チーム・オベリベリ』

『チーム・オベリベリ』 乃南アサ

幕府が倒れて時代が変わり、家禄と主君を失った父が信仰を得たことで、鈴木カネは文明開化の横浜で女学校で学び洗礼を受けた。
兄の銃太郎は、神学校の同窓である渡辺勝や伊豆の素封家の息子・依田勉三と「晩成社」を興し、北海道開拓に挑む。

明治十六年に学校を卒業して、勝と結婚したカネは、反対する母と弟妹たちを残し、父と共に開拓地オベリベリへ向かった。父は没落士族として内地で新たに根付く道が見つからないからこそ、思い切って新たな場所を求め、農民になる覚悟を決めたのだった。
もともとはアイヌの言葉でオベリベリという名前がついていたが、のちに帯広という漢字が当てられたという。

野火、虫害、冷害、風土病など、開拓の労苦は想像を絶するものだった。

昭和七年の解散まで五十年の歴史を数えた「晩成社」の草創期を、カネの目線から描いた長編小説。(紹介文から)
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乃南アサさんの本は初めてでしたが、400ページ以上の上下巻でしたが、全く苦になりませんでした。実話をもとにしたフィクションです。

印象に残った場面は、突然この地域の鮭漁に、禁止令が出されます。冬になってアイヌの人がカネの家に「飢えて死人が出た」と訴えに来ます。カネは自分たちの食べるものをかき集めつ渡して、勝がアイヌの家に飛んで行き、その様子を目の当たりににします。
その後、二度とこのようなことが起こらないしたいと動くところです。
助けを求めてくれたことも、この後産卵を終えた鮭なら漁を許可してもらえるように取り付けた勝の紛争もよかったです。

「晩成社」の幹部三人の中でも意見の相違もあります。依田勉三が、反対を押し切ってさまざまな事業を始めては失敗します。しかし、そのひとつに酪農があり、銘菓・マルセイバターサンドは「晩成社」がはじめて商品化したマルセイバタが、名前の由来になっているそうです。それこそ、そのときは失敗のようで、後々になって実った「晩成社」を表すようです。

私は観ていませんでしたが、十勝を舞台にした連続テレビ小説「なつぞら」で、依田勉三率いる「晩成社」が触れられていたそうです。

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