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「噂のキス魔に出会う」の災難。

飲み会があった。
以前よりもコロナが落ち着いたのか、周りが気にしなくなってきただけなのかはわからないが、近頃、こういった飲みの機会が増えてきた。

そして普段、こういった飲み会は冴えないクソ男だけしか集まらないのだが、今回は女性たちも数人来ることになった。

1人の女性(A子)が私の隣の席だったのだが、席につくなり、ちょんちょんと肩を叩いてきたので、「なんですか?」と尋ねると「廻るくん廻るくん、私、酔っ払うとキス魔になるんで気をつけてね!」と言われた。

「き、キス魔!?」

気づけばこの世に生を受け30年。

あの『渋谷の若者に聞いた、魔のつく好きなものはなんですか?ランキング1位』と呼び声高い「キス魔」に私もとうとう出くわした瞬間であった。
ちなみに2位は聖飢魔II、3位はピッコロ大魔王だそうだ。

そのときは、「えー、勘弁してくださいよ!」とあくまで冷静を装ったのだが、内心は「え///////ど、ど、どうしよう////」「ま、まあA子さんのことは嫌いじゃないし///」と、ずっとドキドキしていた。
もうドキドキしすぎて、心臓が脳天から噴出するとまで思った。

もはやその後は、お酒の味もわからぬほどだ。

しかし、そのドキドキとは裏腹にA子さんは、酒の神・バッカスの生まれ変わりかと思うほど、すごいペースでビールとハイボールをガバガバと飲んだにも関わらず、キスどころか酔いもせず終始冷静であった。
なんなら「レッドデーモンズデビルドラゴン」という遊戯王のカードのような謎の海外のお酒までグビグビと飲み干していた。


え、いや・・あれ・・・・キッスは・・・話が違う・・。

女の子って嘘つきだ。

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