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応用編〈7〉 やりとりする

 数字1,2,3,4が1つずつ書かれた4枚のカード,1つの袋,10個の球,2つの箱 A,Bがあり,次の操作を行う。

操作
① 図のように,袋に4枚のカード,箱Aに6個の球,箱Bに4個の球を入れる。
② 袋の中のカードをよくかきまぜて1枚取り出し,そのカードに書かれた数と同じ個数の球を箱Aから箱Bに移動させる。取り出したカードは袋にもどさない。
③ 袋の中のカードをよくかきまぜて1枚取り出し,そのカードに書かれた数と同じ個数の球を箱Bから箱Aに移動させる。

確率問題のパターンを知っておこう2応用-32

 次の(1),(2)に答えなさい。(山口県2012)
(1) 操作の①を行い,操作の②で袋から取り出したカードに書かれた数は4であった。
 操作の③まで終えたとき,箱Aには3個,箱Bには7個の球が入っていた。操作の③で袋から取り出したカードに書かれた数を答えなさい。
(2) 操作の①から操作の③まで終えたとき,箱Aに入っている球の個数と箱Bに入っている球の個数が同じになる確率を求めなさい。


問題を解く前に・・・

 玉や点数が行ったり来たりするけど、消えたり増えたりしないで、結局全員の損得を足し算すると0、という状況を「ゼロサム(ゲーム)」といったりします。

 今回は、誰かが得したら、誰かがその分村をする、という「ゼロサム」の問題。(ちなみに、ゼロサムを日本語では零和(レイワ)といったりします。零和のことを知っていた人は、新元号の発表を聞いたとき「え??」ってなったかも。)

 やっぱり問題文をしっかり読みましょう。その時大切なのは

何が偶然として起こるのか? 

ですね。

(1)・・・

 1枚袋からカードを取り出し、“戻さずに”もう一枚取り出す、ということですね。

 (1)はどういう状況だか、問題文を正しく読み込めているかどうかを確かめる問題です。

 ここまでイメージできれば、1のカードは袋の中に残っているはずなので、答えは  だというのが分かりましたか?


(2)・・・

 操作①~③で、袋から2回カードを取り出すワケですから、表をかいてみましょう。「戻さずに」2回目ひくのですから、表はこういうことになりますね。(基礎編7

スライド1

 というわけで、すべての場合の数は 12 になりますね。

 さて、上の表には、1回目が終わった時、AとBの箱にはいくつはいっているのか、(Aの箱の中の玉の数),(Bの箱の中の玉の数) の形で、それらの状態がわかるように書いておきました。2つの箱の玉の数をたし算したら10,というのは大丈夫ですか?

 その上で、2回目それぞれのカードが出たらどうなるかというと

スライド2

ということになります。問題文の「箱Aに入っている球の個数と箱Bに入っている球の個数が同じになる」ということは、「箱Aに入っている球の個数も箱Bに入っている球の個数も5個ずつ」ということですから、あてはまるのは下の通りとなります。

スライド3

 ですから、答えは 3/12 = 1/4

答え

(1)     (2)  1/4

問題を解いた後で・・・

 表には、AとBの箱の中に入っている玉の数を両方書きましたが、「併せて10個」という関係は変わらないので、Aの箱の玉の数だけ表に書く、というやり方で、省エネする、というのももちろんアリです。

 いろんな問題を解いていると、省エネをする方法、うまく手抜き・ズルをする方法が見えてくることがあるので、「問題をいっぱい解きなさい」といわれるのですが、ただひたすらに問題をいっぱい解いても見えてくるわけでもない、というのが難しいところですね。できる人、わかっている人には何気ないテクニックだったりもするので、用意されている答えにはそこら辺が表れていないこともあります。教えてもらいながら、「ちょっと今何やったの?」と突っ込めると一番いいのですが、そんな突込みができないあなたのために、(わかっている人にはまどろっこしく感じても)わざと1つ1つ丁寧に書く、ということを心掛けてnoteに載せていっています。

類題

神奈川県追試験2023高知県A2023三重県前期2022宮城県2021、神奈川県2021、大阪府C2020、高知県2019大阪府2016C宮城県2012B山口県2012

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