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【Interview】映像ディレクター・新井健介「特に好きなのは “笑えるCM” ですかね。企画するのも楽しいです。」

太陽企画で働く仲間のインタビューをもとに、映像制作のヒントやクリエイターの“スキ“をお届けする #たいようのヒト
今回は、数々のテレビCM・広告映像のほか、上白石萌音さんやマカロニえんぴつ、りりあ。さんなど、話題アーティストのMVも多数手がける新井健介ディレクター(太陽演出)に話を聞きました。

「内容は意味不明だけど、何かグッとくる、、!」先輩の何気ない一言から、ディレクターの道へ

── 新井さんが「ディレクター」を目指したきっかけを教えてください。

昔から映画やドラマは好きで、大学生のころ大阪のプロダクションで1年くらい制作のアルバイトをしてました。
その時描いた企画コンテを見た先輩が「内容は意味不明だけど、何かグッとくる、、!」と言ってくれて…それを信じディレクター採用にしぼって就活をしました。ただの学生バイトの無茶苦茶なコンテに何かを見出してくれた先輩に感謝してます。

── 好きなお仕事のジャンルはありますか?

CMもMVもドラマもどれも大好きでやってますが、特に好きなのは “笑えるCM” ですかね。企画するのも楽しいです。
小さい頃から新喜劇とか関西圏の文化に触れて育ったので、今もお笑いは大好きです。バラエティ番組も好きだしライブにも行ったりします。(今月はオードリーのライブに初参戦してきました。)

── 損保ジャパン日本興亜ひまわり生命 CM 「健康主義」篇(出演:松重豊さん他)や、堀川産業 エネクル CM「マルチエネルギーサプライ隊」篇など、思わず笑ってしまうポイントがありますね。

「エネクル」のCMだと、ガス・電気・リフォームの3つのキャラクターが出てくるという設定は企画段階で決まっていたので、そのキャラクターのデザインだったり、アンタッチャブルの山崎さんが分身して出てくるとか、より印象に残るような演出を加えていきました。
ただ、芸人さんを演出するのってとても気合が入るんですよね。芸人さんご自身がすでに面白いので、より魅力を引き出すためのリアクションやセリフを吟味したり、必ずアドリブも撮るようにしてますね。

▼CMメイキングの様子はこちら

▼堀川産業「エネクル」CMライブラリ

── ご自身が思う、得意な演出のスタイルやこだわりはありますか?

セリフや音の間にはこだわります。
演出コンテを描く時も先にビデオコンテを作って、編集上でセリフや間の検証をしてからコンテに落としています。登場人物全員の声を自分でやるので、かなり間抜けなビデオコンテで人には見せられませんが.…。

── 自作のビデオコンテ、とても気になります。笑
普段、アイデアを生むために心掛けていることはありますか?

アイデアを出す時は短い時間に区切って、何度も考えるようにしてます。
前に考えたものを客観的に見れてアイデアの精度も上げられるので。学校の時間割みたいな作業の組み方をしてます。

── 仕事の中で好きな作業はありますか?

演出コンテ発注です。
ディクレターって、基本いろんなスタッフにお願いしてばかりのポジションなので。カメラマンに「こんなトーンでお願いします」とか、音楽屋さんに「こんな雰囲気の音楽お願いします」って。演出コンテ発注だけは、唯一自分がお願いされるイベントなので。腕が鳴るというか、ワクワクします。

── キャスティングの際に気にしていることやポイントはなんでしょう?

その人の素材をなるべく生かしたいなと思ってます。なので、演技も最初は設定だけ伝えて、まずは役者の方の思うようにやってもらいます。それで期待してたものが出れば上出来だし、期待を超えたものが出ればもう最高!って感じです。

── 新井さんが演出した、上白石萌音さんの「懐かしい未来」MVでは、ドラマパートで出ていた水間ロンさんの表情が素敵だったと仰ってましたよね。本作では「撮影現場」を舞台に描いていますが、どのようなことに注力されましたか?

「撮影現場」のお話にする、というのは僕が演出に入った時点でもう決まっていたんですが、なるべく多くの人の応援歌になるようにしたかったので、どんな職種にも共通する「仕事の初心」というのをテーマにストーリーを設計しました。あと、楽曲が第100回全国高校サッカー選手権大会のテーマソングでスタジアムで歌われるのを前提に作られたものだったので、萌音さんの歌唱シーンはいつもより感情を強めに出してもらい、カメラワークも歌に合わせて徐々にダイナミックにし、多くの人にメッセージを届ける壮大さが出るよう演出しました。
先日、大学の同級生に久しぶりに会った時に「感動して泣いちゃった」と言ってもらえたので、響くものがあったんだなと。嬉しかったです。

いま興味のあること、これから挑戦したいこと

── 最近、気になるタレントさんはいますか?

「Snow Man」に妻がいま激ハマりしてまして。毎日隣で番組や動画を見てるので、僕もメンバーの名前と顔とそれぞれのキャラクターは覚えてしまいました。なので、いま僕もSnow Manちょっと気になってます。笑

── ご自身の作品以外についても伺いたいのですが、最近目にして気になったCMはありますか?

マクドナルドの「えだまめコーン」のCMが気になりました。
恐らく親が撮影してると思うのですが、子どものナチュラル過ぎるリアクションとサバンナ 高橋さんの少し自虐の入ったナレーションが絶妙でほっこりします。何組くらい撮ったのか?ナレーションは原稿なのか?なんてことも気になりました。

── 憧れの映画やディレクターとして意識した映画はありますか?

北野武さんの映画は好きで、全部観てます。
自主制作をやっていた頃は、構図や編集で影響を受けていたと思います。周りの仲間もなんちゃって北野映画みたいなのをよく撮ってて。廃工場でスーツ着てサングラスかけた男達が急に銃撃戦をはじめる…みたいな。でも、演じてるのが全員大学生というユルい映画で、いくら憧れてもこれはやっちゃいけないと側から見て思ってました。笑

── 北野映画は全て…!中でも印象に残ってる作品はなんでしょう。

好きな北野映画を1個ピックアップするとすれば、好きになったきっかけの「あの夏、いちばん静かな海。」ですかね。
小学生の頃に父親と観て、子どもながらに独特な雰囲気の画に惹きつけられました。主人公が耳の聞こえない彼女の家の窓に靴を投げるっていう有名なシーンがあるんですが、そのあと石を投げて窓が割れて逃げちゃうんです。恋愛映画のシーンとして最高に素敵なのに、そこに落ちをつけちゃうのがシャイな武さんらしい、粋な演出だなと。

── 今後、ご自身がやってみたい作品やビジョンを教えてください。

「TVドラマ」の演出をやってみたいです。
広告とは違う演出のスキルに最近興味が出てきました。数年前MVの演出をやりたい!と言っていたら、その後チャンスをもらえるようになったので。TVドラマの業界に何のツテもないのですが…やりたい!と言っておこうと思います。笑

── ドラマでいうと、演出を担当された天城町PRドラマ「ねお、町長になる」が、《映文連アワード 2022/準グランプリ》を受賞されましたね!
こちらのミニドラマでは、どういったところに注力されましたか?

あたりまえのことですが、、「ちゃんと面白いドラマを作る!」ということを硬く心に誓って臨みました。 人口数千人の小さな町の作ったドラマと聞くと、内容も真面目なんでしょ、クオリティもそこそこでしょ、という先入観で見てすらもらえない恐れもあると思ったので。
ちゃんと民放ドラマにも負けないクオリティで!続けて見たくなる面白いストーリーを!ということを、強く意識して作りました。だから<開始1分で町長が死んじゃう>という設定も、役場の担当者に怒られるのを覚悟で大真面目に提案しました。でも、その提案を「面白いじゃん」と笑って受け入れてくれた町長、そして役場の担当者の方々の決断力がドラマ成功の鍵だったと思います。

私をつくるモノ・コト

── 仕事で欠かせない道具はありますか?

「週刊ビックコミックスピリッツ」です。
昔から愛読してますが、”マンガを読むと脳がリラックスする”という情報を聞いてから、仕事の合間にリセットの意味も込めて読んでいます。因みに、いま面白いと思ってるのは「アオアシ」です。

── 幼少期や学生時代はどんなことに興味がありましたか?

小学生の時に藤子不二雄Aの「まんが道」を読んで、東京でモノを創る仕事をするのってめちゃくちゃ格好いい!と憧れるようになりました。なので、中学生くらいまで将来は漫画家になりたいと思っていて。一度、集英社の「月例GAGグランプリ」というコンテストに入賞して賞金10万円をもらったことがあり、いい思い出です。

── いま、興味のあることは?

コロナ禍になってから、コーヒーの自家焙煎を始めました。もう3年続けてますが、なかなかお店の焙煎豆のクオリティには及ばず、まだまだ研究中です。一回焙煎するとコンロ周りが真っ黒になるので家族からは不評です。笑

── 自宅でコーヒーを焙煎をするとは、本格的ですね!
ちなみに、差し入れや個人的におススメなお菓子を教えて下さい。

御徒町にある「ゆしま花月」のかりんとうを、帰省などのお土産によく買います。軽い食感で食べ始めると止まりません。形が不揃いなものをおまけで付けてくれたり、人情味のある雰囲気も好きな理由です。

── 他にも、お気に⼊りの場所やお店はありますか?

永福町にある「永福食堂」です。
店主が、ドラマの料理監修などもやってるイタリアンのお店で、何でも美味しいんですが特にパスタが絶品です。子どもも大丈夫なお店なので、家族で記念日とかによく利用してます。

── 普段、よく触れるメディアを教えてください。

寝る時は毎晩かならずラジオを聴いてます。あと洗い物とか家事をする時も。音楽より人が喋ってる声を聞いてる方が、リラックスできるので。
いま、オールナイトニッポンが熱いなと思ってて、特にオードリーとかフワちゃんの回はよく聴いてます。

思い出の一曲

── #たいようのヒト のおまけコーナーとして、皆さんのお気に入り曲を伺っています。新井さんの一曲を教えてください!

くるり「家出娘」
初めて行ったライブがくるりでした。その頃好きだった曲です。
これがエンドロールで流れる映画「リアリズムの宿」も大好きな作品です。

── ありがとうございました。

ぜひ、新井Dirのお気に入り曲を聴きながら記事の気になる部分を読み返していただければと思います。
また、新井Dirのお仕事は以下の「太陽演出」WEBサイトでも随時更新していますので、そちらも合わせてチェックしてください👀
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

【PROFILE 】
新井 健介|KENSUKE ARAI
映像ディレクター
香川出身。エッジーで少しふしぎな世界観をつくりこむ演出から、ほっこり老若男女皆が笑顔になるメジャーなトーンまで、幅広い作品を手掛ける。
 
🎬 WORKS|ALL CONNECT、ピザーラ、SOMPOひまわり生命、Enecle、ANKER〈広告電通賞 2021/フィルム部門 銀賞〉、マカロニえんぴつ「溶けない」MV、天城町 観光PRドラマ「ねお、町長になる」〈映文連アワード 2022/準グランプリ〉など
🏠 太陽演出サイト|https://taiyo-dir.jp/kensukearai/
📧 CONTACT|taiyo-management@taiyokikaku.com(Mg:内木)

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