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感動したロブスタ種をもっと飲んで欲しいために書いた記事

ロブスタ種は美味い!を知った日

 僕が「ロブスタ種」という豆を意識するようになったのは、ちょうど1年前。
 2017年の10月26日からインドネシアに行っていました。
 目的は「一緒に働いたインドネシア人に会うこと」
そして、「ROKPRESSOのカスタムパーツを手に入れること」

 友人は母国で畑を始め忙しくしていたところを、2日間通訳としてお願いし、ROKPRESSOのカスタムパーツを作っている「SOMEDAYSOMEHOWPROJECT」のアンディさん、そして、直火スチーマーを作っている「REDPRESSO」のイラワンさんに会うことができました。

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 2人の熱意によって作られた物は、本当に素晴らしく、ここからROKPRESSOの表現がドン!と広がりました。

 2人に会った翌日、イラワンさんの作っている手動エスプレッソマシン「REDPRESSO」を触れせてもらえることになったのです。
 そして、待ち合わせたカフェでいろいろ話していた時に、ROKPRESSOを使っているバリスタの方達とも偶然会い、急遽「ROKPRESSO講座」が始まってしまいました。

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 その時、イラワンさんの「REDPRESSO」と2種類の抽出を比べながら、講座が進んでいき、
「マキ、これ飲んでみなよ。」
と、イラワンさんから渡されたエスプレッソ
「んま!!キャラメルみたい!!なにこの豆!?」

 それが
「インドネシアのロブスタ種 100%の豆」
だったのです。

 あの一杯に、コーヒーの見方を変えさせられ、ロブスタ種というコーヒーへの意識が180度変わりました。
 これまでも、ジャバロブ、ベトナムロブ、などを100%で飲んでいましたが、どれも麦臭く、苦味が強く、決して良い印象があったわけではありませんでした。
 それが、甘く、余韻の長さ、キャラメルを口の中で転がしているような感覚を味わえるとは思ってもいませんでした。

「ロブスタが美味い!!!」

忘れらない一杯です。

ウガンダ産ロブスタ種と出会う

 この感動を抱え、沖縄に戻ってきた時に、偶然にも
あるお店で
「ウガンダロブスタのサンプルが来たんだけど飲んでみる?」

これは飲まなきゃ、と思い、迷わず頂きました。

 インドネシアで飲んだ一杯ほどの感動はありませんでしたが、クリーンなボディに、ナチュラル精製の明るい香りに澄んだ甘味を,
一口飲んで感じたのを覚えています。
 直感で、「エスプレッソでもっと引き出せる」、と感じたので、すぐに取り寄せてもらい、自分のエスプレッソブレンドに使用したりと、研究をしていました。

 2018年1月からウガンダロブスタの研究をしていたと思います。
 ブレンドを作るにあたり、100%を実際に味わってみようと抽出しながら、良さを探していました。
明らかに他のロブスタ種とは違う、繊細な旨味があるのを感じ、
「これはイケる」、と思うようになり始め、
エスプレッソブレンドから、「シングルオリジン」としての提供を考えるようになったのです。

今までが通用しない豆

 現在、一般的なシングルオリジンは、全部と言っていいほど「アラビカ種」です。

 「ロブスタ種」を比べると、持っている特徴が真反対で、抽出や焙煎も、アラビカ種に対応した方法だと、どうしてもロブスタ種の嫌な特徴が前面に出てしまいました。
 それを理解していたため、「アラビカ種では通用しない抽出方法を考える」、ことが必要だと思ったのです。

 アラビカ種では、
「粉量を少なく」「早く抽出」「30mlという基準量」
という抽出が出来ますが、
ロブスタ種で同じことをすると、
「苦味」 「臭み」「嫌な後味」
が目立ってしまうのです。

 それを踏まえて、ロブスタ種の場合は、
「粉量を多く」「じっくり抽出」「少量に(30ml以下)
の3つがキーポイントと考えました。

 この3つを意識しながら、焙煎についても注文したりし、
「どこに旨味があるのか」
ROKPRESSOがどこまでポイントに対応できるのかも見ながら、調整をしていき、現在のレシピが出来ました。

(レシピについてはまた書きます)

フルコースの誕生

 「ウガンダ 産ロブスタ種」を、ただ「エスプレッソ」として提供しても、両極端の意見に別れるのがわかっていました。
 今、飲まれている豆たちとは違うコーヒーだからです。
そして、両極端な反応をされるものを淹れることが、本当に良いのだろうか?、考えました。
 僕が淹れる1杯では、飲んだ人を落胆させるようなものは作りたくなく、「感動」を共有することが第1だと考えた時に思いついたのが、「フルコース」として提供すること、だったのです。

香りやクレマ、が味わえる「エスプレッソ」
質感や余韻、が味わえる「エスプレッソ+砂糖」
ミルクを足すことでデザートへと変化する「エスプレッソ+砂糖+ミルク」

 1回の抽出で「エスプレッソ」として終わらせるよりも、3段階にすることで、「ウガンダ産ロブスタ種」のポテンシャルを最大限味わってもらうことができるようになりました。

 「フルコース」というメニューは、昨年から考えていて、どんなものにしようかと、ずっと悩んできました。
 なぜかというと、「つまらないものしか表現できていない」
思いついた当時の僕の技術では、イメージとは程遠いエスプレッソしか作れていないと自覚していて、正直悔しかったです。

「エスプレッソ」という1杯からどうすれば表現を重ねていけるか

 そう考えているうちに、ボツとなっていったアイディアが多々あり、「表現」「感動」の2つをどうすれば伝えることができるのか、この1年の焦点はそこにありました。

 いつできるかは予想がつきませんでしたが、「ロブスタ」に出会ってから、「これだ!」と、一気に形となり、阿鼻叫喚を頂けるものになったのです。

 初提供が「青森コーヒーフェスティバル」
提供できて本当に良かったと、感謝でした。
 「フルコース誕生日」は、青森だったのです。

ウガンダのロブスタ、について

 少し休憩して、僕が調べた中でのウガンダ ロブについて、簡単にまとめてみます。地図見ると、ケニアとコンゴ、タンザニア、ルワンダ、南スーダンに挟まれて位置しています。

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調べた中でのポイント
* ロブスタ種発祥の地
* ロブスタ種の原種が今も見つかるらしい
* 自生したものを生産している可能性
* 標高1000m以上でも栽培している
* 生豆の綺麗さ
* ナチュラル精製の生豆からプルーンみたいな香りがする


 ウガンダのロブスタのことを調べていて、どこが味に影響しているのだろうと考えたときに、ポイントは3つかなと。

* ロブスタの原種
* 標高1000m以上
* 生豆綺麗

アラビカ種だとエチオピアに原種の多くがあるとされ、圧倒的な特徴を持っています。
 僕の思うところでは、エチオピアのコーヒーは、「クセ」みたいなものがないように思えます。これを言葉で表すのが難しく、軟水みたいなクリーンでも丸い質感がある、みたいなことですが、すごく「柔らかみ」を感じています。
 今回、ウガンダ ロブスタのサンプルを飲んだ時に感じたのが、その「柔らかみ」でした。

 これは栽培環境や、生豆の綺麗さからプロセスの手間などの影響もあり、そこから焙煎の技術あってのものだと思います。

 以上を踏まえても、「原種」だからこそもつ特徴が「柔らかみ」なのかなと、調べていて思いました。

抽出になくてはならない「焙煎」という工程

 僕が1番感謝したいのは「焙煎士」です。

 飲んで頂くお客さまにもですが、僕が抽出で表現ができるのは、「イメージに限りなく近い焙煎をしてくれる人」、がいてこそなのです。
それは時に予想を超えます。(良い意味で)

 「抽出」という工程は、コーヒープロセスでは、一杯になる最後の工程です。


 生豆で良いと思ったものを、良い抽出のために焙煎できるか、僕は日頃から良い焙煎のために試行錯誤をしている焙煎士を見てきて、抽出へと手渡されるとき、すごく緊張します。

エスプレッソは、一目で良し悪しが判断できるため、

豆を挽く、粉を詰める、粉を撫でる、粉を固める、圧力をかける

 これ1つ1つに集中して、良いショットであれば、より良いショットを、
悪ければ、良いショット、へと調整をしていきます。

 そして、抽出を繰り返し、イメージしている味が出てこなければ、「焙煎」を変えてもらう必要があります
 その時、「自分ではこんな味が出ると思うんだけど」という話をしながら、「どんな考えかたで今の焙煎になったのか」も聞く必要があります。

 自分の珈琲の先生だろうと、正直に対話していかないといけないと思い、対話から次々と焙煎の手法を練っていき、お互いのイメージを近づけていく作業となります。

今回のロブスタは、その大切さを痛感しました。

 青森の和田珈琲の焙煎士 ワダマコト氏に、青森コーヒーフェスティバルの時や、その練習などで焙煎をお願いしている時、「こんな焙煎がいいかも」、と注文していたのは、ずっと僕の方でした。

 沖縄と離れているために、直接の対話ができないことが原因でもありましたが、先週のイベント「ESPRESSO GYM」で提供したロブスタの焙煎は、ワダ氏から提案を受けた焙煎だったのです。

「こんな焙煎はどうかな?」

 注文した時の返事に、初めてワダ氏から提案を受けたのが嬉しく、そして良い抽出になるなと感じたため、すぐお願いしました。

 イベント当日何が起きたか、ウガンダロブスタのポテンシャルが爆発したのです。

エスプレッソにして、「塩」と組み合わせて、バーで飲む一杯のように
黒糖とミルクを足して、「バナナラテ」のような味が出たり

 どれも今までのロブスタエスプレッソでは表現出来ていなかった部分です。
 明らかに、「焙煎によって引き出された」、味がそこにありました。

 やはり、焙煎は焙煎士に任せた方が良い、それは信頼関係もあってこそだとも思いました。
 この関係性は、本当に大事にしていきたいと、改めて感じさせられた出来事です。

焙煎士に感謝する

抽出士の掟 一か条です。

まとめ

 ここまで一読頂きありがとうございました。
 ウガンダ産ロブスタ種に注いだコーヒーエナジーからたくさんのことを教えられました。
 まだまだ珈琲人として成長し、たくさんの「感動」を生む一杯を作っていきたいと思います。
 そして、ぜひ

ウガンダ産ロブスタ種が飲みたい!

と口コミを広めていきましょう!!!

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