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自転車日本一周の旅10日目

昨日、おじいさんに鷹巣に寄れと言われていたので、朝イチで大太鼓というやつを観に行ってみた。

施設の入口にその大太鼓が展示してあった。

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「これが大太鼓か。なんか……思ってたよりも小さいな……」と思っていると、どうやらこれは大太鼓ではないらしい。タイの寺院で使われるクローン・エーというものだった。

大太鼓だと思って結構まじまじと見ていたので恥ずかしかった。

奥に行くと大太鼓が展示されていた。ドジなので肝心の写真を撮るのを忘れてしまったが、大太鼓は4mちかい高さがあるらしい。大きな面が僕を見下ろしていた。

こんなに大きな太鼓を叩ける人間がいるのだろうか?と疑問に思ったが、「叩けるから大太鼓は存在するんだろうな」という結論になり、外でソフトクリームを食べた。

晴れた空の下、芝の上で食べるソフトクリームは甘くて美味しかった。田舎はソフトクリームがなんでうまいんだろう?今思えば、牧場のない滋賀県でもソフトクリームはめちゃくちゃうまい。なんで?

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ソフトクリームを食べたあと、見晴らしのいい景色を眺めながら自転車を走らせた。

大館駅の近くになるとチラホラ店が現れはじめた。どのお店でメシを食べよう?と思っていると、「ランチバイキング」と書かれた台湾料理屋があった。

「おおっ!」と思ったが、山形県での出来事を思い出して少し躊躇した。食べ放題だと思って意気込んだら半年前に閉店していたのだ。

そもそも、こんな田舎なのに昼飯から食い放題をやっているってどうなんだ?採算がそう簡単に取れるとも思わない。

駐車場には車が停まっておらず、店の中は薄暗い。閉店しているかもしれなかった。

店の前まで行き、ガラスに顔を引っ付けて中をキョロキョロと伺うと、お姉さんと目が合った。普通に営業していた。

お店はお姉さんと旦那さんで切り盛りしているらしい。料理が置かれてあり、好きなものをとって食べて、という。

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さっそく好きなものを取らせていただきました。自作のドリームチャーハンを3回ほどお代わりする。とてもおいしかった。

さすがにちょっと食べすぎたので後悔していると、厨房から旦那さんが出てきた。ニコニコ笑いながら、8等分したスイカが2つ乗った皿を僕の机の上に置く。「これよかったら食べて」

そしてヘルメットを指差し「なにぃ、自転車乗ってるの?旅してるか?」と訊かれたので「えへへ、そうなんです」というと「かぁ、すっごいねぇ!がんばって!」と言われた。スイカは甘くておいしかった。ありがとうございます。ごちそうさまでした!!!

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ということで、青森県へと向かう。山の向こうに青森県があるのだ。

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40分後くらいに青森県に入る。山を越えると、道端でおじいちゃんがリンゴを売っていたので買って食べる。おいしかった。

ただ、あとから聞いた話では、道端で売っているのは市場で売れなかったものだから、あまり美味しくないのだそうだ。その割にはかなり甘くておいしかったけどな?青森県のリンゴは海堂高校みたいなものなのかな?

田んぼ道を走り、3時過ぎに本日の宿「道の駅 いなかだて」に着いた。

ここの道の駅がすごいのは、田んぼアートをやっている点にある。色の違う稲を育て、最後に一つの絵をつくるのだ(道の駅リポーターみたいになりつつある)。

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今回はサザエさんの田んぼアートだった。7種類の稲を使っているのだそうだ。この7色が、貴様にわかるかな?

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これも田んぼアートかな?

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この空も、田んぼアート……?

高所恐怖症なので展望台にはあまり長時間いられなかった。だが、とても稲とは思えないクオリティで感心させられっぱなしだった。

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中に置いてあった看板。「田舎館=いなかだて」という名前の由来ははっきりしていませんが、から始まる文章がこの世にあるとは思わなかった。

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下に降りてリンゴジュースを飲んだ。

道の駅は公園が併設されている。晩御飯どうしようかな、と芝生に寝転んでダラダラ考えていると電話がかかってきた。

電話は大学の先輩であるK先輩からだった。僕がインスタにいなかだての写真をあげたのを見て連絡したのだそうだ。

「実家がすぐそばにあるから泊まっていけ」と先輩は言った。

「先輩はいるんですか?」「いや、俺はいない」「え!?」「泊まっていけ!」「いやですよ!気まずい!」「もう連絡しちゃったからさ!住所送るから行けって!」

急遽、大学の先輩の実家に泊まることになった。先輩がいないのに先輩の家に泊まるなんて、気まずさしかない。

そして住所を送ってもらったが、iPhoneの電池が5%しか残っていない。めちゃくちゃピンチである。

しかもこういうときに限ってピンが立てられた場所に行ってみても何もない。田んぼしかなかった。先輩に住所を聞き直そうにも、今にも電池が切れそうである。

どうしようと思って突っ立っていると、「おーい!」と遠くで誰かが呼んだ。振り返ると、メガネをかけた男性が立っていた。K先輩のお父さんだった。

家は、ピンから微妙にずれた場所にあった。大きな家だった。玄関でK先輩のお母さんが迎え入れてくださった。

自己紹介をすると、洗濯するから風呂に入れといわれた。自己紹介してからすぐに風呂に入れと言われたのは人生で初めてだ。

突然お邪魔したことを申し訳なく思い、躊躇していたが、汗でびちょびちょのTシャツを着たまま家の中に上がっていくのもおかしな話である。お言葉に甘えることにした。

風呂から上がり、先輩のお父さんとお母さんとビールを飲みながら話をする。お刺身や地元の野菜でつかった料理などをいただいた。めっちゃおいしかった。

最初は少し気まずかったが、酒が進むにつれてお父さんが先輩のことを教えてくれるようになり、僕もうまく話せるようになった。

先輩のことだからここでは書かないが、親というのは、こんなに子供のことを鮮明に覚えているもんなんだなぁ、と少し驚いた。そのときの出来事を細部まで覚えている。

確かに僕の両親も、僕が小さかったときのことをすごく正確に教えてくれる。親とは、そういうものなのかな。

大学の話や滋賀県のことなどをいろいろ話し、どんどん酒を飲んだ。日本酒はやっぱりおいしい。飲めるようになってよかった、、、。

お父さんはいろんな日本酒を飲ませてくださった。ありがとうございます。

そのあと先輩が小学生の頃のバレーボールチームの監督もいらっしゃり、一緒に飲んだ。先輩は昔からバレーボールがうまかったようだ。

バレーボール談義に花を咲かせ、泥酔した。めちゃくちゃ酔っ払った。

夜中になると監督が帰り、お父さんもウトウトしはじめたのでお開きに。先輩が高校時代までを過ごした部屋で寝た。

先輩の部屋で寝るのは違和感がすごかったが、酔っていたのですぐに寝た。ありがとうございました!

明日はいよいよ、北海道上陸だ。

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この写真しか残ってなかった……。


追記:その数年後、Kずやさんの結婚式でご両親に会った。挨拶をするとお父さんとお母さんは「ああ!自転車!自転車!」と言って僕に手を振ってくださった。「自転車」として覚えられることもあるそうだ。

生きます。