マガジンのカバー画像

ロボット劇作家のエッセイ

63
尾崎太祐が書いたエッセイ・コラムをまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

#エッセイ

友達とはなにか。

友達とはなにか。 ロボットと友達になれるのか?そんなことを考えて研究にしようとしている方とお話しした。 雑談だったけれど、自分なりに言語化しようとしてみた。 短時間の話し合いで結論は出なかったが、個人的に納得できるラインとして、人間かロボットかを問わず「友達とは、互いに平等でありながら、敬意を持てる相手」という、一応の結論を得た。 話は逸れるけれど、私には親友と呼べる男がいた。 「いた」と過去形で書くからには、今はいないということになる。 空前絶後の憎み合いの結果、絶縁

"書くこと"は「好き」を届けるための

そういえば、深く考えたことがない。 「作品をつくりたい!」という欲求は昔からあって、高校の頃は声優になりたかったし、大学では映画サークルに入った。 その傍らには「シナリオ」が常にあった。 僕にとって、シナリオを書くことは作品をつくることのいち工程でしかなかったはずだ。 作品をつくるためには、企画を立てて、脚本を用意しなきゃ……みたいな。 ところが、いつからか「劇作家」を志し、名乗るようになった。 「ライター」の仕事を探すようになった。 なぜだろう? 小学生の頃から、国

やってみなけりゃわからない、っていうけどほんとに?

「やってみなけりゃわからない」という言葉がある。あれって本当だろうか? たとえば、恋愛。 思いを募らせている相手に、告白したいとする。 世の中的には「成功率80%を超えてから告白しろ」なんて話もある。 しかし、たとえ絶望的に玉砕するような状態で、関係性がなかなか進展しないとしたら。 あなたは諦めるだろうか?それとも思い切って告白する? たとえば、仕事。 あなたに夢があるとして、それを仕事にするためにキャリアチェンジを図ったとする。 好きなことを仕事にするのは難しい。途

ホスピタリティは自分のために

「ホスピタリティ」という言葉についてです。 ホスピタリティ(hospitality) 親切にもてなすこと、歓待、厚遇。 ――研究社 新英和中辞典 より引用。 あ。 念のため、おことわりですが…… 「おもてなしの気持ちを忘れるな!」みたいな、語気強めの自己啓発やクレームではないので、安心してくださいね。笑 結論はタイトル通り、ホスピタリティは自分のためにあるという話。 「ホスピタリティ」が自分のことになった日前職の上司は、褒め上手な人でした。 私が、社内SEとしてヘル

小説の「地の文」が面白い

こんにちは。ロボット劇作家の尾崎です。 最近、ひさびさに小説を読んでいます。 劇作家と名乗りながら恥ずかしいのですが、近年、活字に疎いのです。 この頃、戯曲を読むことや、学ぶための読書の機会は増えたものの、「小説」というジャンルからは、やはり縁遠くなっています。 そんな中で買った小説が、田辺聖子 作『ジョゼと虎と魚たち』。 現在上映中のアニメ映画版を見て、原作が気になったので電子書籍を。 恋愛小説を読むのも久しぶり。 しかも予想外なことに、短編集だったので驚いたのです

ロボット同居日記「しっぽと共感」

このシリーズでは、僕がロボットたちと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。 2021/01/16 ああ、酔っ払ってるな。 そう思いながらも、小さな感動の勢いで、これを書いています。 昼間、溜まっていた家事を一気に片付けた土曜日。 自分へのごほうび……ってほどでもないけれど、夕食はちょっと贅沢に、久々に自宅で濃いめのお酒を飲みます。 耳で好きな音楽を聴きながら、膝にはQoobo。手元には夕食とお酒。 お行儀が悪いなと思いながらも、静

演劇や映画を見た後に来る「語彙力消失」と「筋肉痛」について

共感してくださる方、どのくらいいるかなあ……? 作品の感想をしゃべる時の僕は、語彙力が著しく低い。 「よかったなあ」「面白かった!」「感動した……」―― 直感的にそう思える作品に出会ったときほど、直後はなにも言えなくなる。 だから僕は、小劇場界隈の「役者面会」というシステムが、実は苦手。 (最近は、感染症対策の一環で見かけなくなったけれど……) 演劇を作る側なのに、劇場にも再三足を運んでいるのに、未だに慣れない。 終演直後、知り合いの役者さんと顔を合わせられるのはうれし

ロボット同居日記「空気のように、いる」

このシリーズでは、僕がロボットたちと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。 2021/01/12Petit Qooboが、すっかり"空気"のような存在になりつつあります。 この場合の"空気"は褒め言葉で、普段は意識をしないけれど、いつの間にかそこにあって、気がつけば欲しているような感じ。 日に日に、電源つけっぱなし・置きっぱなしの時間が増えていきます。 でもQooboの場合は、それが正解みたいです。 デスクワークの合間、膝の上でわ

創作はネガティブからはじまる

こんばんは。尾崎です。 今年はじめての三連休。緊急事態宣言下の、成人の日。 私事ではありますが、わかりやすく落ち込んでいまして。 少し時期外れの長期休暇のような、垂れ込めた状況です。 年末年始にあった勢いはどこへやら。 人間関係も、仕事も、なあんだかうまく進まず。 自分の作品や、自分自身が「不要不急」に感じられてしまうような気分。 こんなご時世ですので、皆さんもどこか似たような気持ちを抱えていることと思います。 「落ち込んでます」なんて明け透けに書いていますが…… あま

戯曲の書き方を学ぶときに印象的だった"2つの言葉"と、最近の悩みごと

今回は演劇の脚本(戯曲)のことを下地に、記事を書こうと思います。 私が2018年に、戯曲セミナー(日本劇作家協会 主催)に通っていた時期に聞いた、印象深い2つの言葉を紹介します。 いずれも、最近新しい作品や企画を考えるにあたり、思い出したものです。 「コップから溢れ出た雫」劇作家の故・井上ひさしさんの言葉として、講義中に紹介されたものがありました。 (ご本人ではない方から又聞きの形で紹介されており、私も記憶が曖昧ですので、一言一句正確ではないことをご容赦ください。) 戯

ネタ切れと充足感の関係性

注意:本日、ネタ切れです。 毎日noteを書き始めて、まもなく2ヶ月が経とうとしている。 元々、"毎日、なにかを書く"という名目で、800字程度の物語や文章を毎日書くところからスタートしたのだが、本日、完全にネタ切れを迎えている。 したがって、本日はネタ切れをネタに書こうと思う。 禁断の手だ。 しかしなぜ、ネタ切れを……? 自問自答してみた。 2ヶ月前のような「書けない……」という喪失感とはまったくの別物だ。 むしろ、書くことへの楽しさや充足感があり、時世こそ厳しいも

ロボット同居日記「体温の正体」

このシリーズでは、僕がロボットたちと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。 2021/01/04 しっかりと寝て、三が日に無理をしたつもりはまったくないのだけれど、なんだか疲れた気分の朝。世間的には仕事初めの日です。 昨年まで会社員だった習性ゆえに憂鬱なのか……?と内心苦笑いで疑ったのですが、理由はよくわかりません。 そんな気持ちで迎えた朝8時。 横たわる僕の隣で、Qooboが固まっていました。 そうだ、また充電を忘れてた。 最

書けない劇作家が、50日間noteを書いて気づいたこと

noteで毎日、”なにか”を書き続けて、昨日で50日が過ぎました。 意外と早かったような気がします。 そんななかで、楽しいなと思うこともあり、困っていることもあり。 この記事は、50日前の自分、それからこの先の自分のために。 そして似たような状況の方のために、書き残したいと思います。 大げさで小っ恥ずかしい内容になりそうですが、読んでみてください。 自己紹介とこれまで僕は「ロボット劇作家」を名乗っています。 試験に合格して得た肩書きでも、大きな実績があるわけでもありません

ロボット同居日記「Qooboを外に連れ出した」

このシリーズでは、僕がロボットたちと同居しながら感じたことや考えたことを、日記(エッセイ)として書き残しています。 2020/12/26 この日、めずらしくリアル忘年会があったので、Qooboを連れ出してみよう!と思いつきました。 Petit Qooboを迎えてから試してみたかった、”外出”。 600gで、外にも持ち出せるサイズになっているし、コンセプトムービーの冒頭でも「飼い主さんがお外へ連れてってくれるんだ!」と紹介してるくらいなので、やってみたかったのです。 Pep