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IT業界にいるならSF小説を読むべきだ。起業家に影響を与えたSF小説5選

こんにちは、村田泰祐です。

以前、このようなIT企業に勤める人はSF小説を読んだ方がいいのではないか、という趣旨のツイートをしたところ少々いいねがつきました。

弊社、というのはサイバーエージェントのことですが、漫画「キングダム」が共通言語になっており読むことをよく推奨されていますチームの作り方と組織におけるマネジメントの役割、在り方などを学べるものだと思います。

サイバーエージェントでは「21世紀を代表する会社を創る」というビジョンが掲げられており、サイバーエージェント以外のIT企業も新しい世界をテクノロジーを駆使して構築していくことを目指しているものと思います。

そうなった時に、過去の歴史(キングダム、孫氏の兵法etc)からマネジメント、戦術などを学ぶのよいのですが「どういった未来を創りたいか」を考え、実現に落とし込むための手段の1つとしてSF小説を読むべきだという持論があります。

実は、深センなど目覚ましいテクノロジーの発展を遂げている中国では国家主導によるSF大会が開かれています。

この数年間、私たちは製造業で素晴らしい功績を残してきました。iPodを製造し、電話を製造してきたのも私たちです。私たちは世界の誰よりも製品を製造することに長けていますが、製品のアイデアを考え出したのは私たちではありません。そこで、アメリカに訪れ、Microsoft、Google、Appleなどから話を聞くことにしたのです。そこで働く人々に私たちは沢山の質問をしました。それによって分かったのは、彼らが皆SF小説を読んでいるという事でした。だからこそ、SF小説を読むことは良いことなのかもしれないと考えたのです。

引用:https://jp.techcrunch.com/2016/10/10/20161008the-importance-of-science-fiction-to-entrepreneurship/

GAFAを生み出したアメリカのテック系の起業家はSF小説を読んでおり、そこにならって中国では国を挙げてSF小説を発展させる取り組みをしているのです。となると、SF小説が起業家、IT業界に与えた貢献度は実は大きいのではないのでしょうか。

今回は世界的に有名なIT起業家が愛読書としたSF小説を紹介します。

イーロン・マスクがオススメする「ファウンデーション」3部作

映画「アイアンマン」のトニー・スタークのモデルとなったとされるTesla、SpaceXを経営するイーロン・マスク(アイアンマンにも出演)。

若き日のイーロン・マスクは、1日最大10時間もSF小説を読んでいたそうです。そんな彼がオススメするSF小説が「ファウンデーション」

ファウンデーションでは、人類は地球以外の惑星に進出しており、銀河帝国を築くのですが、心理歴史学(この本独自の理論)から、銀河帝国は滅亡すると予測され、知識の集大成となる銀河百科事典 (Encyclopedia Galactica) を編纂するグループ「ファウンデーション」を作るとこから始まります。

人類を火星に送り込む、というビジョンのもとSpaceXのプロジェクトを進めるイーロン・マスクですがこの小説から影響を得たのかもしれません。また、この小説は1942年に書かれた古い小説ですが「銀河百科事典 (Encyclopedia Galactica)」というWikipediaの未来を見越していたという点でも名作でしょう。

マーク・ザッカーバーグおすすめの「エンダーのゲーム」

Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグのおすすめは映画化もされている「エンダーのゲーム」。SF作品を手にとるのは「気分転換」のためだそう。

人類は異星人バガーの2度にわたる侵攻を受けており、その戦いに終止符を打つために、天才的な才能を見込まれ、司令官の最有力候補として6歳でバトル・スクールに編入させられたエンダーの物語です。どこかエヴァンゲリオン的な話ですね。

ジョブズも褒めた。Appleの伝説的CMのもとになった「1984年」

まずは、このCMをご覧ください。

これは初代Macintoshが発表される2日前に放映されたものです。女性がハンマーを支配者みたいな人が映っているスクリーンに投げ込みます。CMのメガホンを取ったのは『ブレードランナー』等のリドリー・スコット監督です。このCMの絵コンテを見てジョブズはただ一言「素晴らしい」と言ったのです。

内容に入っていきましょう。「1月24日にMacintoshを発表します。そして今年がジョージ・オーウェルの小説『1984年』のような年にならない理由が分かるだろう......」とCMは締めくくられます。

1984年は「ビッグ・ブラザー」率いる党が支配する全体主義的近未来、つまりディストピア世界のお話です。ビッグ・ブラザーという権力者が常にスクリーンを通して人々の生活を監視しています。

さて、先ほどのCMですがAppleにおける独占家ビッグ・ブラザーとは何を指すのか。実は、当時のコンピュータ業界で支配的立場にあったIBMのことです。画期的なUIの初代MacintoshがIBMの既成製品から解放することを訴えています。

参考記事:https://japanese.engadget.com/2019/02/05/cm-1984/

ピーター・ティール、リード・ホフマンが議論に使った「スノウ・クラッシュ」

左がLinkedINの共同創業者のリード・ホフマン、右がFacebookにも投資した投資家のピーター・ティールです。

この2人はPaypalという決済サービスを創業する前に、週末議論していた本が「スノウ・クラッシュ」です。

世界の技術が均衡しテクノロジーの優位性を無くし、アメリカ人が誇れるのは、音楽、映画、マイクロコード作り、高速ピザ配達。主人公は、なんと高速ピザの配達人です(笑)

崩壊した国家に変わり都市を管理する企業なども登場し、リバタリアンのティールは影響を受けたのかもしれません。Paypalは国家に干渉されない新しい電子通貨を創ることが目標でした。

国家が役割を果たさず、かつインターネットにより場所にとらわれず価値が移動される本書が2人に与えた影響は大きいでしょう。

ジェフ・ベゾスおすすめの「デューン 砂の惑星」

Amazon創業者のジェフ・ベゾスがおすすめするSF小説の1つが「デューン 砂の惑星」。

砂に覆われ巨大な虫が支配する惑星アラキス、通称“デューン”を舞台に繰り広げられる権力闘争を描いたSF大河小説です。この巨大な虫が登場するのは「風の谷のナウシカ」の王蟲にも影響を与えたとか。

ベゾスだけでなく、起業家はSF小説でありながら権力闘争を描いた作品を好む傾向にあるように思います。ビジネスという激しい競争環境にいるからこそ、刺激を受ける部分もあるのではないでしょうか。

以上、偉大な起業家がオススメするSF小説を5冊紹介してきました。いくつかの作品は映画化されており、小説よりとっつきやすいかも知れません。未来的志向、テクノロジーをどう創るかのインスピレーションを得る手段としていかがでしょうか。


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