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伝統工芸の技術を転用する実例

前々回の記事「伝統工芸の技術を転用する。」の実例を載せるべきだったと、今思ったので書きます。

技術を転用するという手法は、デザイナーが携わっていることが多いです。デザインアプローチとしてよく使われており、ある技術を他分野に転用し、新しい価値を創造する手法です。

それでは、紹介していきます。

①effe(眼鏡→防災笛

鯖江眼鏡
現在、福井県は「福井市」や「鯖江市」を中心に日本製めがねフレームの約95%を生産し、世界最高品質のめがねを全国・世界へ届け続けています。

1905年に、雪深い村が冬の農閑期にも収入を得ることができる手段として福井のめがねづくりが始まり、その後、活字文化の普及と共にめがねの需要も増え、増永工場から始まっためがねづくりは現在の福井市から鯖江市をまたがる地域に広がり、「福井・鯖江」がめがねの一大産地となりました。

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引用元:https://effesabae.com/bottle-colum/

一見おしゃれなアクセサリーに見える「effe」ですが、実は災害時に役立つ防災笛。「effe」は日本一のメガネ生産地「福井県・鯖江」で作られています。質のいいメガネのフレーム素材を使用し、鯖江の職人が一つ一つ丁寧に作り上げる「effe」シリーズは、手触りから笛の音色に至るまで、全てにこだわったアイテムです。


この眼鏡作りの技術を転用した、もうひとつの事例を紹介します。

②Sabae mimikaki(眼鏡→耳かき

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引用元:http://www.cementdesign.com/?portfolio=mimikaki

緻密で高い製造技術を応用し、伝統あるメガネの加工技術を駆使、メガネ素材の加工メーカーにて職人の手で1点ずつ作られています。素材にはメガネのフレームに使われている、「セルロースアセテート生地」を使用しました。人体との親和性が高いためアレルギーが少なく、その濡れたような艶は磨けば磨く程に輝くのが特徴で、マーブル模様や千鳥格子といった複雑な柄も、自在に作り出せます。


③三つ編みカーボンシャフト(組紐→ゴルフクラブ


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引用元:https://www.golfdigest.co.jp/digest/column/back9/2010/20101109k.asp

1本の糸よりはるかに強度に勝る組み紐の技術を転用した、ゴルフクラブ。組み紐の三つ折り状に組む技術をゴルフクラブのシャフトで実用化しようとしています。炭素繊維を組み紐状に束ね、プラスチックの樹脂を加えて加熱し、金属に負けない堅い素材を開発を試みています。


④ミウラ折り(折り紙→ソーラーパネル

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引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%A6%E3%83%A9%E6%8A%98%E3%82%8A

ミウラ折りとは、1970年に東京大学宇宙航空研究所(現・宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所)の三浦公亮(現・東京大学名誉教授)が考案した折り畳み方。

宇宙機の太陽電池パネルなどに応用可能な折りとして実際に、SFUにより宇宙で実験されている。身近なところでは携帯しやすさが求められる防災・観光用地図の畳み方などに使われています。


東京手仕事

東京の伝統の技に光を当て、匠の繊細な「手仕事」の魅力を国内はもとより世界に発信していく取り組み。東京らしい感性溢れる新しい工芸品にもチャレンジし、「伝統工芸品」に囲まれた潤いある豊かなライフスタイルを提案していきます。

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引用元:https://www.atpress.ne.jp/news/185689

東京手仕事は、デザイナーと職人がマッチングし、商品開発を行うプロジェクトです。現代の生活に合うように、伝統技術を活かした製品を提案します。そのため、この技術の転用を用いられることが多いです。


⑤籐と和紙のうちわ(家具→うちわ

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引用元:https://tokyoteshigoto.tokyo/product/proposal2017-fan/

籐と和紙(無形文化遺産細川紙)を合わせたうちわです。骨組みは輪郭のかたちに成形された3本の籐で作られています。これにより軽さと障子のような光の透過性を持ち、しなやかで柔らかい扇ぎ心地となりました。持ち手にまかれた皮籐は1本1本職人の手によって細く薄く加工されています。かごや家具とは、違った籐の魅力が引き出されたデザインにより、新しい籐の商品が誕生しました。


⑥SHAMIDAMA(三味線→けん玉

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今回も最後に、東京手仕事で自分が企画・デザインに携わった伝統技術の転用の紹介しようと思います。東京三味線の「三絃司きくおか」さんと組み、けん玉をデザインしました。

三味線の天神を模した、楽器のような「けん玉」。一本の荒木から全て手作りの工程で作り上げる三味線製作の技術をけん玉に用いました。けん玉は遊んでいるときに、心地よい音とリズムを奏でます。そこに三味線との共通点を見い出し、楽器のようなけん玉をデザインしました。頑丈で色艶が良い三味線の材木を使用しているので、遊んでいると良い音を響かせます。

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