おうまの写真を撮っている4~第2次北海道・おうま見学旅行記
ドーモ、タイラダでんです。よくいらっしゃいました。
1日め 佐賀~福岡空港~新千歳空港~帯広市
そういうわけで、待ちに待った撮影旅行である。前回と違い、今回は本当に競馬にまつわる場所にしか訪れない、我ながら一本筋の通っている旅行だ。
さて、その初日である。ということは、飛行機に乗らねばならないのである。僕は色々なところで、この飛行機というものに対するヘイトを書き散らしているのだが(でかい鉄の塊が空を飛ぶなどという、非科学的極まる代物に命を預けるなんて!)、北海道に行くとなればそうは言っていられない。
前回はわざと寝不足になることで(?)飛行機の恐怖を和らげたが、今回はエンタメの力を借りることにした。面白い小説を全集中で読み込むことで、気がついたら現地についていた、という状況を作り上げるという作戦だ。
結果だが、大成功だった。飛行機は、ふと気がついたときには新千歳空港にたどり着いていたのだった。ありがとう蛮人コナン。すごいぞキンメリアのコナン。
空港でレンタカーを借り、高速に乗る。2時間ほどかけて最初の目的地、帯広競馬場へ到着した。お目当ては、ここで開催されているばんえい競馬だ。
ばんえい競馬。重さ450Kgのソリを、重さ一トン強の輓馬たちが引っ張りゴールを目指す競技だ。世界で帯広競馬場でしか実施されていないこのレース、いつかこの目で見てみたいと思っていたのだ。
実際に目の前で見たばんえい競馬だが、思っていた以上の迫力で非常に楽しめた。これは動画では伝わりにくい部分かもしれない。
人間は、基本的にでかつよ、でかくてつよい存在が大好きだ(諸説あり)。
しかも輓馬は、でかくてつよいうえに可愛い。たてがみをきれいに編まれたり飾り付けられたりしている馬たちも多かった。そのカワイイの化身が、数百キロのそりを挽いて高さ1.6mの坂を駆け上がるわけだ。好きにならないわけがない。
そんなこんなで、第5レースを迎えたとき、それは起こった。
こ、これは……僕も参加させてもらっている電子パルプ小説雑誌『無数の銃弾』Vol.7の刊行を祝うレースじゃあないか!
……なんのことはない。ばんえい競馬には、1口1万円から個人協賛というものを受け付けており、協賛したレースには13文字以内で任意のレース名を付ける権利を得られる、という制度を利用したわけだ。このレースの発走に間に合わせるために高速ぶっ飛ばして駆けつけた甲斐があったというものである。
というわけで、初日から最高の北海道旅行になったのであった。
2日め 帯広~浦河~静内
帯広市内で宿泊。2日めからはひたすら種牡馬、功労馬見学である。まず2時間ほどかけて南下、第一の目的地に向かうのであった。
道中、雨に降られる。雨が激しいと当然見学は中止になる。競馬の神様に祈りつつ第一の目的地にたどり着いた頃には、なんとか雨は収まってくれていた。ありがとう競馬の神様。できれば馬券方面にもご加護をよろしくお願いいたします。
というわけで最初の目的地、、うらかわ優駿ビレッジAERUである。
昨年はここを拠点に馬巡りをしたのだったが、今回は夏休みだったためか部屋に空きがない状態だった。ここはお宿としても本当に良いところなので、次の機会には是非宿泊したいものである。
到着後、まずは再現厩舎に足を運んだ。今年とうとう虹の橋を渡ってしまったウイニングチケット号の祭壇にお参りするためだ。
祭壇は彼への愛情に満ち溢れたものだった。帽子を取り、目を閉じ、祈る。昨年初めて会えたときのことを思い出す。
「来年も必ず会いに来るぞ」と誓ったのに、残念なことである。
昨年はタイキシャトル、今年はナイスネイチャが、結局会えないままあちらへと旅立ってしまった。
しかし考えてみれば、90年代に活躍した馬に会うチャンスがあったということ自体、本来は異例中の異例なのである(好きだった馬は、ほとんど10年以上前には旅立ってしまっている)。
会いたい馬に会えるチャンスがあるのなら、それは逃すべきではない(そしてそれは、おそらく馬だけの話ではない。人、場所、作品。何にでも当てはまるのだろう)。一期一会の精神を、改めて心に刻みこんだのであった。
さて、AERUにはチケット以外にもたくさんの馬たちがいる。僕は2000年代の競馬を知識としてしか知らないので、彼らの凄さを実感することができない……競馬から離れてしまったのは仕方がなかったこととは言え、つくづく惜しいことをしたと思う。
まあそれはそれとして、馬は単純にかっこよくてカワイイので眺めて写真撮らせてもらう分には全く問題ない。相手が功労馬だろうがポニーだろうが馬は馬、みな等しく素晴らしい生き物である。
さて、名残惜しいが予定は詰まっている。AERUで昼食を頂いて、次の目的地へと急ぐ。
AERUから海沿いの道を西進、次の目的地であるビッグレッドファームへ急ぐ。
見学開始は13:30からであったが、僕がほぼぴったりの時間にたどり着いたときには、もうすでにかなりの見学希望者で賑わっていた。やはりみんなアイツ目当てなのだろうか。
ちなみに、ビッグレッドファームの写真はない。いや、めちゃくちゃ撮影したが、公式から「撮影した写真はSNSや動画サイトで公開しないように」とのお達しが出ている。だからこの記事には掲載しない。
だからあなたも今すぐに、ビッグレッドファームを訪問しなさいね。ゴルシ可愛かったよ。
……とはいえ、この日のゴールドシップは放牧場ではなく馬房の中におり、黒山の人だかりに機嫌を損ねたのか(ゴルシの前だけ異様に人がいた)ずっとこちらに尻を向けていた。僕はひたすらゴルシの尻を撮影しつづけたのであった。
そうこうしているうちに、滞在予定時間を過ぎてしまった。多少残念な気持ちを抱きつつ、次の目的地へと車を走らせる。
1時間弱ほどの走行時間で、次の目的地であるブリーダーズ・スタリオン・ステーションへと到着する。
ここでは15:00から一時間だけ、繋養している種牡馬を見学可能なのである。僕でも名前を知っている種牡馬たちがずらりと並んでいる様は、壮観の一言である。
いやあ凄い、すごすぎる。そうそうたる顔ぶれだ。そんな名馬たちを見せてもらえることに感謝しつつ、粛々とシャッターを切っていく。
見学時間の一時間はあっという間に過ぎる。満足のうちに、今宵のお宿へと車を走らせた。この日宿泊するのは、以前から一度は泊まりたいと思っていたホテルである。
それがこちら、静内エクリプスホテルである。
ここの目玉の一つ、タイトルホルダー号とメロディーレーン号姉弟のコンセプトルームは残念ながら予約が取れなかった。
まあ仕方がない。最大のお目当ては明日の朝だ。
3日め あちらこちらをいったりきたり
というわけで、センスあふれる朝食券を手に「北海道いち美味しい朝食」とやらをいただく。いわゆるビュッフェ形式で、北海道の美味いもの取り放題、食べ放題! という代物である。味はもちろんだが、あきらかに朝食ビュッフェのレベルを超えたメニューがずらりと並んでいる光景は壮観の一言で、大変に満足の行くものであった。あ、写真撮ってない……! よほど夢中だったのか。
サイコーの朝食を満喫したところで、本日も馬巡りだ。
まずは「二十間道路牧場案内所」に向かい、見学の予約をする。いくつかの施設はこちらで予約をしておかないと見学ができないのだ。15時見学開始なのに朝の9時すぎに予約に行って、受付の方に心配されてしまうなどのアクシデント(?)もあったが、無事に予約完了。
そのまま隣りにある桜舞ホースパークを見学する。ここは名馬たちのお墓が設置されている施設だ。
目的は先日亡くなったウイニングチケット号、およびタイキシャトル号の墓参りである。
公園内に、ちょうど隣同士に設置されていた。脱帽し、手を合わせる。ふと横を見るとその隣の墓碑はなんとサクラローレルだった。
そのことに謎の感動をおぼえつつ、公園を後にする。
続けて、車で1時間弱ほどの距離にある「yogibo ヴェルサイユリゾートファーム」を訪問する。
ここは引退競走馬や種牡馬を繋養する牧場で、「柵を破壊するタニノギムレット」「yogiboのクッションに頭を預けてまったりするアドマイヤジャパン」などで有名な施設である。
とはいえ残念なことに、僕の訪問した日はタニノギムレットは厩舎の中にいて顔が見られなかった。まあ仕方がない。相手は生き物。こちらの都合通りに動いてくれるはずもない。
ちなみに、アドマイヤジャパンはヘッダの写真の真ん中にいる馬である。
さて、今回こちらを訪問したのはお目当ての馬がいたからである。そう、オジュウチョウサンである。
言うまでもなく(といっても競馬に興味がなければご存知ないかもしれないが)障害競走馬として一時代を築き上げた名馬中の名馬である。打ち立てた記録はここに書ききれないほど多く、また4~6歳で引退する競争馬が多い中、11歳まで現役を続けかつ勝利した……マイナー扱いされがちである障害競走を一躍メジャーな存在にした、生きる伝説だ。
そんな馬に会えるわけだ。ドキドキしない訳がない。受付でいただいた地図をもとに、オジュウチョウサンの放牧場所に赴く。
……いた!
いやあ、現役引退しているとは思えない体つきだ。
良い写真が取れたことに満足しつつ、牧場附設のカフェでお昼(チーズケーキと珈琲のセットをいただいた)を食べ、次の目的地へ……次の目的地……。
うーむ。本来ならばこれから、昨年も訪れたサイレンススズカのお墓に行く予定だったのだが……だったのだが。
脳裏に、アイツの尻が浮かぶ。
……一人旅の良いところは、その場のノリで旅程を自在に変更できることである。効率度外視、行きたいところに行く。それこそが一人旅の醍醐味ではないか?
というわけで、スズカには悪いがビッグレッドファームにリベンジすることにした。そして今度こそゴールドシップの正面写真を撮ることに成功したのであった(この日は機嫌が良かったのか、結構頻繁に顔を出してくれていた)。だが写真はない。公式がアップするなと言っているからだ。だから仕方がないので自分だけで楽しむこととする。うらやましいだろう?
おっと。
順番が前後したが、ビッグレッドファームを訪れる前に優駿記念館を訪れていたのだった。
こちらは株式会社優駿が運営している施設で、大名馬オグリキャップ号を始めとする種牡馬たちに関する展示をしている。
施設内では中山競馬場に神が降臨したことで有名な「1990年 有馬記念」の動画がエンドレスで流されていた。やめろ、いいおっさんが泣いちゃうだろ。
涙をこらえつつ館内でガチャ(スマホゲーのではなくガチのやつです)をしてセイウンスカイ(実馬のほうです)のアクスタをゲットしつつ、施設を後にする。その後の顛末は前述のとおりである。
さて、2度めのビッグレッドファーム見学を終えるとちょうどいい時間である。車を走らせ、再び二十間道路牧場案内所へ。そこに車をおいて、徒歩で次の目的地である「レックススタッド」へと赴いた。
こちらも繋養されている名馬たちを公開してくれている施設の一つである。なんと有り難いのか。
見学時間はあっという間に過ぎていく。つづいて本日最後の目的地へ。
それがこちら、門別競馬場である。
一つ惜しいことをしてしまったのだが、ちょうど前日の開催においてベルピット号が史上七頭目の道営三冠を達成していたのだ。この目で三冠馬の誕生を目撃できたかもしれなかったわけだ。うーん残念。
気を取り直してホッカイドウ競馬を楽しむとする。
白いダートを巻き上げながら走る姿は大変に美しく、満足できる撮影になった。馬券も一食贅沢できるくらいには勝てた、明日は最終日、美味しいもの食べて帰るとしよう。
この日の夜は「新冠温泉 ホテルヒルズ」に宿泊。温泉、食事、どちらも大変に満足できるものだった。
最終日 新千歳〜佐賀
そんなわけで名残惜しいが最終日である。もうあとは帰るだけなのだが、最後に一箇所だけ、去年も訪れた施設へと赴いた。ノーザンホースパークだ。
こちらに先日建造されたというオブジェを見にきたのだ。
それがこちら、ディープインパクトゲートである。
うーん、彼が競馬界に与えた衝撃と影響力が、そして後代に連綿と繋がっていく血脈があらわされている!(よくわかっていません)
そのディープの偉大なる母であるウインドインバーヘアにも会えたので大満足の訪問だった(時間がなかったので駆け足の訪問になってしまったが……君、去年も同じこと言ってなかった?)。
さて、今度こそ最後だ。SAGAへと帰ろう。
……飛行機に乗って!!!
未来へ……
というわけでサイコーの撮影旅行となったわけなのだが、恐るべきは北海道、まだまだ訪問すべき場所や馬はたくさん残っている!
というわけで来年もまた行きますね、北海道。首を洗って待っておれ。
【おわりです】
そんな…旦那悪いっすよアタシなんかに…え、「柄にもなく遠慮するな」ですって? エヘヘ、まあ、そうなんですがネェ…んじゃ、お言葉に甘えて遠慮なくっと…ヘヘ