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ami.SaaS:解約率は成長の上限を決める

ユーザベースの佐久間です。

SPEEDA(日本事業)、entrepedia、FORCASと3つのSaaSの経営を経験してきたレアキャラなので、少しでもSaaS関係の方の役立ちそうなことをアウトプットしたいなと、ami.SaaSという名前でSaaSについて書きます。最後に宣伝もあります。すいません。

今回は、私が作成した1つのグラフを取り上げます。(年間)解約率毎の売上高成長を可視化したグラフです。

縦軸が売上高(ARR)、横軸がリリース後の経過年数。最も低い解約率3%のグラフが青線になります。

グロス一定成長を前提にしています。すなわち、解約率に関わらず、毎年頭にグロスで100の年間売上高(新規ARR)を獲得することを前提としています。

SaaSの人向けの注:
この解約率は、Gross Revenue Churn Rateです。

このグラフを見て、みなさんはどんなことに気づくでしょうか?

・解約率3%、5%、10%だけしか、20年以後ほぼ成長していない

・解約率15、20%は、10〜20年の間は少しだけ成長し、以後ほぼゼロ成長

・解約率25%、30%、35%は、10年以後ほぼ成長していない

「解約率は成長のスピードを決める」とよくSaaSの世界で言われますが、成長のスピードどころか「成長の上限を決める」のです。

グラフを見れば明らかなように、持続的に成長できるのは、解約率が10%以下の場合だけです。

「MRRで2,000〜3,000万円まで成長したが、その後中々伸びないのでマーケティング費用を大きく投下する」

というような話をよく聞きますが、成長が鈍化しているのは解約率から示唆されるMRRの上限に近づいたからであり、解約率を下げない限り、マーケティング費用を投下しても、本質的な成長は望めません。

それどころか、マーケティング費用を投下して新しい市場を取ると、その市場のカスタマーサクセスストーリーが出来ていないことが多く、その場合、解約率は上がってしまいます。

何度でも噛み締めたいSaaSの金言「解約率は成長の上限を決める」

ちなみに、Zuora(米国のSaaSサブスクリプション支援サービス)によると、SaaSの平均解約率は22%らしいです。

「グロス一定成長にしているからで、実態はそうではない」という反論がありそうですが、グロス獲得成長率を保つ、もしくは加速し続けることは非常に困難なので、数年のラグでこのような状態になると考えています。

SaaSの人向けの注:
ユーザー数や蓄積データ量などに応じて既存顧客から持続的なアップセルが見込める場合、上のモデルは成り立ちません。その場合は、Gross Revenue Churn Rateを、既存顧客に対するNet Revenue Churn Rateに読み替えてください。

では、何%の解約率を目指すのか?

10%以下だと思います。

年間解約率が10%以下であれば、グラフの通り、持続的な成長が見込めます。

なにより、10%以上もユーザーが解約してしまうことは、サービスの提供者として悲しいですよね。その場合は、まずサービスの改善に注力したい。ユーザーに満足してもらっていないサービスを広めることは、感情的にとても嫌です。

SaaSサブスクリプションビジネスは、そのような感情・想いと、経済合理性に矛盾が生じないところが本当に大好きです。

もちろん10%より低い解約率が達成できればすばらしい。ただ、その際具体的に何%を目指すのかというのは議論があり得ると思います。

逆に、解約率が10%を超えていては厳しい、というのは上述の通りコンセンサスになり得るのではないかと考えています。

10%以下の解約率が達成できた後にマーケティングする

解約率に関しては、ユーザーセグメントごとに計算するのが非常に重要です。

PMF(プロダクトマーケットフィット)が高い自社のコアセグメントであれば10%以下はマスト。今、開発とカスタマーサクセス(CS)活動で新たにPMFをつくっているセグメントは、20%でも構わないと思います。

そのセグメントでも、解約率を10%以下にしていくことを目指していくのであれば。

重要なのは、解約率10%以下という、PMF(CS含む)を達成できているセグメントを持続的に増やしていくこと。

そのためにも、PMFを達成したセグメントに対して、マーケティングでその市場を取りにいくという発想が非常に重要。PMFを達成していないのに多大なマーケティング費用を投下すべきではありません。

開発 → カスタマーサクセス → マーケティング

この順番です。マーケティングはあくまでPMF、カスタマーサクセスが起点であり、PMFの達成を測る指標は「解約率10%以下」です。

ただ、年間契約のプロダクトの場合、解約率は遅行指標になってしまい、解約率の計算を待っては経営判断が遅れてしまいます。

その場合、経営者やマーケティング責任者はカスタマーサクセス感覚を持たなくてはなりません。

カスタマーサクセス感覚にもとづいて、

「今後、解約率が10%以下になることが高い確度で見込めるので、先行的にマーケティング費用を投下する」

という判断をタイムリーにできることが非常に重要だと思います。

終わり

「解約率は成長の上限を決める」、ということについて書きました。

SaaSにおける解約率の重要性は色んな所で書かれているのですが、それでもまだまだ重要性を訴えるべきだと思い、今回の文章を書きました。

「SaaSにとって重要なたった一つの指標」という記事があれば、その指標は間違いなく解約率です。

解約率が低いということは、リアルにユーザーに満足してもらっているということ。世の中をリアルに変えていっているということ。そういうSaaSサービスがどんどん増えていったらうれしいです。私もがんばります!

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