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レビュー:直島/3つの美術館



 岡山の宇野港から直島に日帰りで行ってきた。ひとり。ここに報告しておこう。

 フェリーは一時間に一本弱程度、片道300円だが往復チケットを買った。やっぱり大学生ばっかり。ウザ。直島は瀬戸内トリエンなんちゃらが終わった今でも相当人気のようで、レンタサイクルには大行列が出来ており、一時間弱時間を潰してやっと550円で借りれた。やっぱり島を探索するといつも思う、フナムシは普通は人を避けてくけど、もし彼らが近づいてきたとしたらどうなっちゃうんだろう。多分もう絶対海にいかなくなる。

以下が美術館レビュー。とにかく結論として、この島の美術館は絶対人の少ない時期に行くべき。ってどの美術館もそうかな。

《壱、ベネッセミュージアム》
 この美術館は、悪く言えば岡山の暗黒企業ベネッセ経営の一泊数万円の“アート”ホテルの一部、良く言えば建物の内と外をart objectsという共通項で結びつけたこの島を象徴する美術館だ。また、このベネッセホテルは一日最大6組という限られたキャパシティの中で、宿泊者限定トロッコで宿泊者限定の丘の上のアート空間に訪れることができるという価値創出ビジネスのいい見本である。金持ちになったら泊まりに来ようかな。

 館内の作品は、喋るアレとか数列と光を巧妙に用いた数学へのアイロニーとかアリの巣でアレを作るとか東アジア問題の風刺とかがあった。(ネタバレは避けてます)一番アートだったのは、円筒状の音のよく響く空間の真ん中に配置された階段を上っていくと、僕を嘲笑うかのように行き止まりになっていたこと。

 正直この美術館は初心者には難しかったので、無料で見れる外のアートオブジェクトだけでもいいかも。有名な草間彌生のかぼちゃもこの近くにあるけど、循環型無料バスのベネッセミュージアムの次の停車場で降りたほうがいい。ちょっと歩かないといけない。僕は暑すぎてかぼちゃは見に行けなかったんだ。

《弍、李禹焕美術館》
この美術館は最も難易度が高い。興味ない人にはまじでただの涼しい部屋になってしまうから、安藤忠雄設計の美術館外観だけでもいいかも。

折角なので1050円払って入場したけど、美術館の行程が想定の1/5くらいで、ズカズカ進む僕を心配そうに見つめる係員のお姉さんの目線にも気づけず10分くらいで見終わってしまった。

しかし、この、美術館で一番おすすめなのは土足禁止の正方形の空間。なんか入ったときに静謐、神聖な雰囲気がしたんだけど、その感動の消化の仕方がわからずそこをぐるぐる歩いてしまったんだけど、この空間作品の名前が(後で気づいたが)「瞑想」だったので、ちょっと腰を下ろして目を閉じてみるべきだったなあ。

《参、地中美術館》
前置きをすれば、美術館というものは僕にとって、高い意識を持ってチケットを買い入場し、作品の説明をじっくり読みながら進んでいくことで同行者に僕が芸術を見る眼を高度な知的探究心を持つものであるというプレッシャーをかけながらも最終的にふつうに集中力が切れて後半6割は流しちゃうっていう場所でした。ここに来るまでは(的な?)。

この地中美術館は作品よりもどちらかというと、安藤忠雄の設計した美術館のデザインがメイン。

その全体である設計と細部であるいくつかの空間作品の高度なミクスチャーなんだ。だからこんな僕でも普段の美術館みたいに余計なことは考えずただ美しいデザインの中を歩くというだけでどこか高みに昇ったような気持ちになれる。安藤忠雄作品っていうのは一般的に、ソリッドでキューブリックなアウトラインの中にメタファーとして曲線的なファイバーが織り込まれてるって言い方ができると思うんだけど、なんかそんな理屈は抜きにして普通にシンプルで奥ゆかしい建築がかっこいいんだわ。

中からは見えないけど、写真集とかポストカードにも使われてる地中美術館の上空写真もなんか秘密基地みたいなデザインでまた素晴らしい。

以上直島の三大美術館の感想でした。

※参考
ベネッセミュージアム:1050円
李禹焕美術館:1050円
地中美術館:2100円(来場時間指定オンラインチケットのみ)


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