外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 第10話 仕事の深化

第10話 仕事の深化

仕事に対するモチベーションをどう維持するか、ということは多くの人の関心事だと思います。今年も新たなビジネスイヤーが始まります。毎年の目標設定は繰り返しで絶えることなく続くので、時に自分が変化しているのか、成長しているのか、わからなくなることがあるでしょう。その中でどうやって自分のモチベーションをいかにコントロールし、高いレベルで維持するか、について考えてみましょう。

今回は「仕事の深化」という観点をとってみましょう。仕事の深化とは、同じ仕事でもその取組みや目標を変えることによって、意識のレベルで目標を変えていくことです。

今までの経験から、私は仕事の深化について4つのフェーズがあると考えています。自分の仕事が今どのフェーズにあるのかを考えながら読んでください。

フェーズ1: 学習と拡大

与えられた役割に対して専門知識を吸収しながら多くのタスクをこなし、プロフェッショナルとなることです。また、仕事から得たものから重要点を抽出し、他の類似する仕事への応用力を身につけます。その中で生産性を上げ、仕事のキャパを拡大します。この時点で仕事のベースをしっかり鍛えると、後になって更に複雑な仕事にも対応できるようになります。

フェーズ2: 改善とドライブ

仕事の質を高めることです。また、一定の範囲で任された仕事を自分だけで遂行できることです。任される部分が増えてくると、複数の仕事を同時にどうさばくのか、プライオリティをどうするのかが課題になります。また、仕事を完結するために対応しなければいけない相手が増えることで、コミュニケーションも重要になります。まさに活躍の場を広げ、能力を高めることを目指します。

フェーズ3: 完結と独自性

ある分野を任されて完結した成果を出すことです。結果を出すということは、困難なことがあっても結果に固執することが必要です。また単に仕事を完結するだけでなく、他者と違った独自の視点が求められます。つまり、ユニークな視点があり、またはストレッチな目標を多様なコミュニケーションをおこないながら、結果を出すことが求められます。また、自分色を発揮するためには、自分がその仕事に対してどういう考えを持っていて、それがなぜ必要なのか、といった理論が必要です。

フェーズ4: 円熟と継承

自分の知識やノウハウを絶対的な完成度でロールモデルとするとともに、組織の中で自分のノウハウを他のメンバーへとつなげることです。単に1つ1つの仕事の貢献ではなく、より高い次元で組織への貢献が求められます。他の人に何をどのように与えられるのか、それによって組織の力を最大化することを考え実行しなくてはいけません。


この4つのフェーズは仕事の深化の過程をまとめたものでもあります。人によってその時間軸は異なるでしょう。但し、似たような仕事を続けているとしても、このように全体像をとらえたとき、今、自分はどのフェーズにいるのか、そしてあとどのくらいそのフェーズにいるのかを考えてみることが重要です。

自分が日々成長・変化していると感じることは難しいですが、5~10年での流れを意識すると日々やっていることの繰り返しにも別の意味が見いだせるはずです。

そして、毎年の目標設定をするにあたってその10%くらいは、フェーズの深化を見据えた新たなアクションを加えてみてください。つまり、それは自分の中のストレッチゴールになるでしょう。


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