外資系企業人事部長の部下へ宛てたHR Letter「グローバル企業での働きかた」 第6話 なぜ業務に優先順位をつけなければならないのか

第6話 なぜ業務に優先順位をつけなければならないのか

仕事が重なってしまって、すべてをきっちりとこなすことが難しい場合があります。そうすると対応のスピードが遅くなったり、仕事の完成度が落ちてきます。どちらも大事なことですが、仕事のレベルをいかに保つかが課題になります。そのためには、重なった仕事に優先順位をつける必要がでてきます。つまり、優先順位をつけることは、仕事の質と対応のスピードを維持する目的があります。

なぜ仕事の完成度は重要なのでしょうか? 

完璧な仕事は非常に優れたスキルの1つです。なぜなら「あの人に仕事を任せれば安心だ」という信頼感は、イコール、その人に仕事を与えたいという気持ちにつながるからです。したがって、重要な仕事が次にもまわってきます。

完璧で質が高い仕事ができるということは、その人の存在感を高め、役割の重要性が増します。個人にとっては仕事の完成度は常に追い求めたい能力です。

次に、なぜ対応のスピードは重要なのでしょうか?

対応のスピードは、仕事のスピードと端的につながっています。仕事のスピードとは、例えればトラックを走っている陸上選手の競争と一緒です。短距離であれ、中距離であれ、競技をしているときは、ある一定の速度の中で競っています。その中で競争をしているわけです。もし1人だけ別のスピードで走っていたら集団から遅れてゲームには参加できません。相互コミュニケーションは成り立ちません。会社の中での業務がどういうスピードで動いているのか、あるいは期待されているのかをしっかり見極めなくてはなりません。

このように仕事の完成度と対応のスピードは非常に重要ですが、そのためには、仕事に優先順位をつけ、選択と集中をおこなうことがどうしても必要になってきます。

では、次に、どうしたら優先順位をつけられるのでしょうか?

優先順位を考える際、どこかにしわ寄せが生じます。すべてがベストにはなりません。ですから何に重きを置くかで整理するしかありません。

まず、その仕事を放っておくと何が起きるかということを考えます。あるいは、相手の緊急度がビジネス上どのくらい重要かということを考えます。さらには仕事相手の立場、影響度を考えます。総合判断は、組織へのダメージに重きをおいて決定するのがよいと思います。

最後にもう1つ重要なことを付け加えます。選択と集中によって、すぐにできない仕事が生じたときに、それをどうフォローするかということです。できない場合の関係者への論理的、かつ適切な説明が必要ですし、同時にいつになったら対応できるのかを伝えるべきです。そうすれば、たとえすぐにできなくても相手の不満は緩和されます。

逆になにもレスポンスせず放置しておくのが、最も悪い対応です。結果、大きなトラブルを抱え込むことになります。


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