45歳はじめての転職 第2話 就職請負人

第2話 就職請負人

いよいよ就職活動に入った。一般に転職するにあたってお世話になるのはヘッドハンターか人材紹介という専門就職斡旋業だ。もちろん、インターネットや新聞の求人欄に応募するというのもある。しかしこれは自分にあう仕事を探すのが大変で効率が悪い。また、一般に年収500万円以上の仕事を希望すればヘッドハンターか人材紹介のご厄介になるだろう。そこで私はこの2つを転職のツールに使うことにした。

ヘッドハンターと人材紹介の違いは何か。ごく簡単に言えば求人ポストのレベルの違いだ。ヘッドハンターはエグゼクティブのポストを対象にしている。もっともその境界線は微妙であるが。

本題に戻ろう。私は色々なつてをたよって10人くらいのヘッドハンターと人材紹介コンサルタントに会った。

就職請負人はそれぞれ個性的な人たちだった。彼らとのやり取りで色々な知識を身につけた。彼らはそれぞれ一匹狼的なので、時として言うことが大きく異なる。彼らの事情もあるのでそれはそれとして割り引かなくてはならない。それを差し引いても生生しいビジネスの現場情報をたくさん持っていて勉強になる。

例えばある紹介会社のコンサルタントはこういった。「まあ、求人リストで企業は10社くらいはエントリーしたほうがいいですね。その中で書類選考を通るのは数社ですから。1つ1つ結果を待っていたらいつまでたっても決まりませんね。」こうなると、この会社に行きたいといった主義主張などあったものではない。ただ、現場の彼らからすればこれはやむをえないかもしれない。彼らは成功報酬が原則だ。つまり、紹介者が入社してはじめて年収の30%くらいをもらうことになる。

一方、あるヘッドハンターは事前に会社側から着手金をもらっていることもあり、会社とのつながりも非常に強い。彼は会社から依頼を受け、その会社のスペックにあった人としか付き合わない。一度紹介することになると選考に3ヶ月以上かかるのもざらなので、何度もやり取りをしながらじっくり付き合うことになる。

散々付き合った後で「会社の都合でこの話はなくなりました」ということもある。気長に考えなくては疲れてしまう。ヘッドハンターのスタンスは「今現在も仕事にそこそこ満足していて更に面白い話があれば転職してもよい」くらいの人を相手にするということだ。従ってヘッドハンターと人材紹介コンサルタントは微妙にスタンスが違う。このような違いを理解しないと色々な勘違いがおきる。

もちろん、転職希望者にとって一番大事なのは最終的にはヘッドハンター、人材紹介のどちらであるかではない。もっとも重要な点は、候補者にとって頼りとなる信用のおける人であるかどうかである。この見極めは彼らと付き合っていきながら次第にわかってくるものだ。


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