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龍造寺隆信を再検討する④        *6/2講演会(新名一仁先生)・シンポジウム編      @佐賀県佐賀市

6月1日~2日、佐賀市において「龍造寺隆信を再検討する ー沖田畷の戦いから440年ー」と題したバスツアー(1日)と講演会&シンポジウム(2日)が開催されたので、満を持して参加してきました。

今回の記事は以下の「龍造寺隆信を再検討する③」の続きです。


講演③は新名一仁先生。演題は「島津氏と龍造寺氏ー幻の反大友同盟」

【講演メモ】
○大友氏と日向の伊東氏は良好な関係だったが、天正5年に島津氏が伊東領に侵攻、伊東義祐は大友宗麟に庇護を求める。
○大友宗麟の日向侵攻の理由は?(キリスト教王国建設?)
○高城・耳川の戦いで島津氏が勝利し大友氏は弱体化。当時の島津氏と龍造寺氏は同盟関係。
○天正8年、毛利氏討伐にむけて織田信長より大友氏・島津氏の和平調停。
○同時期に龍造寺氏が肥後へ侵攻。島津義久、龍造寺氏と手切れし大友氏との和平受諾へ(同盟相手として龍造寺氏への不信感)。
○島原半島の有馬氏からの救援要請で、島津氏対龍造寺氏の争いへ。島津家久が取次。
○沖田畷の前年の深江城攻撃で新納忠堯が討死。親友の川上忠堅の後悔。翌年の沖田畷戦で復讐に燃える川上忠堅の一隊が隆信を討ち取る。
伊集院忠棟は沖田畷には出陣していない。
○龍造寺隆信の死後秋月種実の仲介で島津氏と和睦するも、島津氏は筑後に攻め入ったことで大友氏が豊臣秀吉に臣従し惣無事令が出てしまう。太閤の九州征伐へ。


新名先生の話は一昨年の本丸歴史館(佐賀戦国研究会主催)、昨年の島原みらいキャンパスと2年続けて聴いており、(正直言って)初めは知識がなくわからなかったこともかなり理解できるようになりました。またちょうどGWに宮崎へ旅行に行ったので耳川も通ったし、土持氏の名前は内藤記念館の展示で知っていたのでより理解が深まりました。
また、先生方の話で必ず出てくるのが秋月種実。九州戦国史のキーマンらしくなかなか曲者のようで、もっと深く知りたいと思いました。


続いて橋本靖明氏、円城寺雄介氏をゲストに迎えてのシンポジウム。
龍造寺氏の家紋である”十二日足”の羽織姿で登場した橋本靖明氏(会津龍造寺氏末裔)が進行を、龍造寺四天王の1人で隆信公の身代わりとなって討死した円城寺信胤の末裔である”宇宙公務員”円城寺雄介氏は(噂ではきいていたけど・・)ナント!赤い甲冑姿でご登場。この方、元公務員の私としてはとても気になる方です・・。


一番奥が橋本氏。赤い甲冑を着た方が円城寺氏。


シンポジウムで一番面白かったのは「もし過去に戻って一言アドバイスするなら?」という質問でした。
山上先生(大友氏へ)「なるべく早い段階で秋月種実は殺しておけ」
中村先生(龍造寺氏へ)「イエズス会とは仲良くしておいたほうがよい」
新名先生(島津氏へ)「筑後に手を出すな」(結果的に秀吉の介入を招いたため)
・・しゃしゃり出てきて混ぜっ返すだけの秋月種実には「被害者の会」が結成されそうな勢いでした(笑)
(こうまできいたら、ますます秋月種実に興味がわきました。)


先生方、ゲストの皆様、遠い所からありがとうございました!

かくて1日は無事に終わり、運営のお手伝いをしていた私は車で来ていたこともあって新名先生と中村先生を佐賀駅までお送りするという大役を仰せつかりました(汗)
緊張する私に新名先生は自ら駅までナビ役をつとめて下さるなどもったいない時間を過ごしました。その節はありがとうございました!

最後に、濃厚なこの二日間を過ごしての感想を記してまとめとしたいと思います。

【ひとみの感想】
・九州の戦国史を考える上で、一地方だけにとどまらず九州全体~西国にかけて考えないと理解できないと感じた。
・九州という土地独自の外国との関係、海上勢力、キリスト教、それらもあわせて考えると九州の戦国史は非常にダイナミックで面白いのではないか。
・大友氏と島津氏はスケールがデカい、歴史の重みが違う。そこに挑戦していった龍造寺隆信公の破竹の勢い、パワーと頭脳。少弐氏の被官からの下剋上を為しとげた、まさしく「ザ・戦国大名」といえるのではないか。
・隆信公は特別暴虐ではなく、作られたイメージが大きいのではないか。
イメージとらわれず史料に基づいて考えていくことが必要。

4回に分けたシリーズ投稿、最後までお読みいただきましてありがとうございました。


島原市の沖田畷古戦場跡にある龍造寺隆信の供養塔。
現在工事中で7月に近くの二本木神社の敷地内へ移転するそうです。


*新名一仁先生の『現代語訳 上井覚兼日記』はこちら。九州戦国史を考える上での一級史料です。現在(3)まで刊行済。


*これも新名一仁先生の名著。


*ゲストの円城寺雄介氏の本はこちら。元公務員として頷くこと多し・・。


*円城寺氏のプレゼン。これを観たらちょっとクレイジーな気分になって月に行ってみたくなります。




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