田原総一朗

1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業。岩波映画、テレビ東京を経て77年にフリーに。 …

田原総一朗

1934年滋賀県生まれ。早稲田大学卒業。岩波映画、テレビ東京を経て77年にフリーに。 『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)出演中 http://www.taharasoichiro.com/

最近の記事

8月に改めて誓う、「日本を戦争をする国にしてはならない」

また、8月がやってきた。 79年前の8月6日、 「広島にすごい爆弾が落とされた」 とラジオで知った。 3日後、続いて長崎でも落とされた。 直後に「原子爆弾」というものだと知り、 当時小学生だった僕は、 「もう日本はだめだ、 終わりだ」と思ったのを覚えている。 今年8月9日、 長崎の平和祈念式典に、 長崎市はイスラエルを招かなかった。 それに抗議するかたちで、 アメリカ、イギリス、 フランスなど6カ国の駐日大使が、 式典を欠席した。 イスラエルを招待しなかったのは、 日本とし

    • 37年目の引っ越し!「ABEMA」に刺激を受けて新たな「朝生」

      僕が司会を務める 「朝まで生テレビ!」の “ 引っ越し ”が決まった。 テレビ朝日の毎月最終金曜深夜から、 10月以降、BS朝日最終日曜19時~の放送になる。 おもしろかったのは、 このニュースの伝えられ方だ。 「『朝まで生テレビ』地上波終了へ」 と何やら悲観的に書くメディアもあった。 僕自身は、新たなスタートに、 おおいにわくわくしているのに、だ。 スタートは1987年。 かつて深夜の時間帯は 見ている人も少なく、 番組も再放送がほとんどだった。 その枠でまったく新しい

      • 今井紀明さんと考えた、困っている子供たちに手を差し伸べる社会へ

        僕が「マスター」になって ゲストの方、 若い世代の参加者と タブーなしで議論をする 「田原カフェ」が、 6月10日の開催で 30回目を数えた。 正直言って、 この「田原カフェ」が 30回も続くとは思わなかった。 運営代表の田中渉吾さんはじめ、 スタッフのみなさんに あらためて御礼を言いたい。 田中さんの 突っ走る僕を引き戻す絶妙な司会ぶり、 ゲストとの細やかなやり取り、 心から感謝している。 これまで、 実にさまざまな方に ゲストとしてお越しいただいた。 政治家では石破茂

        • 医師不足問題に潜むジェンダー・ギャップに注目せよ

          6月12日、 世界経済フォーラム(WEF)が、 男女平等の実現度合いを示す 「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。 日本の順位は146カ国中118位。 前年より7位上昇したものの、 相変わらずの低さにがく然とした。 その発表のあった翌13日、 参議院議員会館で 超党派女性議員による 「クオータ制実現に向けての勉強会」 が開かれた。 この勉強会の仕掛け人は僕で、 ジャーナリストの長野智子さんが 事務局長を務め、 野田聖子さん、辻元清美さんらが 参加している。 今回は、大阪

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          「貧困と暴力の根絶」と「世界平和」を真っすぐに語る中谷一馬に感じた潔さ

          「世の中の貧困と暴力を根絶する」 「平和で豊かな社会をつくる」 数多くの政治家と話をしてきたが、 こんなにも真っすぐな理想を聞くのは 久しぶりな気がした。 その政治家の名前は、 衆議院議員の中谷一馬さん。 「田原カフェ」のゲストとして、 お迎えした。 中谷さんはさらにこう語った。 「世界の平和を実現したい ということを、強く思っています」。 真っすぐすぎて、 場合によっては揶揄される。 実際、神奈川県会議員選挙に出馬した際、 中谷さんがこうした理想を演説すると、 「世界平和

          「貧困と暴力の根絶」と「世界平和」を真っすぐに語る中谷一馬に感じた潔さ

          僕の「伝説の朝食」動画はなぜたくさんの人に見られるのか

          テレビの仕事をするようになって、 半世紀以上。 僕は視聴率というものを 常に気に掛けながら、 番組を作ってきた。 「視聴率なんて気にしない。 いい番組を作ればいいんだ」 と言う人もいるが、 僕はやはり視聴者の反応あっての、 テレビ番組だと思ってやってきた。 ここ数年、僕も動画番組に 出演するようになった。 テレビと違って、 視聴者が好きな時に、 好きな番組にアクセスできる。 発信する方も、免許も資格も要らず、 費用もほぼかからない。 面白い世界ができたものだと思う。 その動

          僕の「伝説の朝食」動画はなぜたくさんの人に見られるのか

          90歳、死ぬ瞬間まで「全身ジャーナリスト」であると誓う

          4月15日、90歳の誕生日を迎えた。 その前後数日間には、 日頃お世話になっている方が、 お祝いの会を開いてくださった。 大変うれしく、 感謝するばかりの、 「誕生日ウィーク」だった。 戦争中、「国のために戦って死ぬ」と 誓っていた軍国少年が生き延び、 11歳で終戦を迎え、 その後ジャーナリストとなった。 一般的には「余生」の世代なのだろうが、 僕はどうしても一丁上がりとは言えない。 時代の変化は途切れることがない。 ジャーナリストとして、 死の瞬間まで時代を 見つめていく

          90歳、死ぬ瞬間まで「全身ジャーナリスト」であると誓う

          怪僧池口恵観さんと考えた、「戦争」と「利他」

          私は10代の頃から、 「宗教」に強く関心を持っていた。 滋賀県内の禅寺に修行に行ったこともあるし、 天理教の合宿にも参加した。 しかし、生来理屈っぽい人間である。 「人はみな生まれ変わると言うけれど、 じゃあなぜ人口は増えるんですか?」 など質問攻めにして、 追い出されてしまった。 以後、特定の宗教の信者ではない。 ただし、信頼している一人の僧がいる。 池口恵観。 高野山真言宗の大僧正である。 名だたる政治家、スポーツ選手、 経営者たちが、 恵観さんのもとを訪れる。 恵観

          怪僧池口恵観さんと考えた、「戦争」と「利他」

          僕に「引退勧告」を出した泉房穂さんと考える「去り際の美学」

          以前、元明石市長泉房穂さんと、 対談したことを書いた。 それを読んで、 「えっ、あの人と対談したのか」と、 驚かれた方もいたのではないかと思う。 なぜなら、2023年7月、 泉さんは「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)に出演後、 こんな文章を 『FLASH』に載せていたからだ。 「田原さんの変貌ぶりに愕然とした」 「『自分は批判精神を持ち続けている』と 思っているのかもしれませんが、 その姿勢は感じ取れなかった。 それが残念」等々、 僕の印象を書き、 最後にこうまとめていた

          僕に「引退勧告」を出した泉房穂さんと考える「去り際の美学」

          セクハラ、裏金……世の中に満ちる「おかしさ」に声をあげよ

          僕が「マスター」になって、 ゲストの方や若い世代の来場者と、 とことん話をする「田原カフェ」に、 東京新聞記者の望月衣塑子さんが 「来店」してくださった。 望月さんとは、 何度も対談しているし、 共著も出している。 相手の反応や、 周囲との協調など、 何も恐れない取材姿勢に、 強い共感を覚えた。 ちなみに、 共著のタイトルは、 『嫌われるジャーナリスト』。 望月さんとは、 世代も性別も違うが、 僕は同志、戦友だと思っている。 今回のテーマは、 「『おかしさ』に屈しないた

          セクハラ、裏金……世の中に満ちる「おかしさ」に声をあげよ

          「やさしい社会にしてみせる」、故郷明石を変えた泉房穂の思い

          前明石市長泉房穂。 今最も刺激的、 かつ注目を浴びている 人物だろう。 先月、僕がマスターを務める 「田原カフェ」に、 ゲストとして来ていただいた。 実は泉さんと僕とは、 かなり深い「縁」がある。 1987年、東京大学を卒業した泉さんは、 NHKに入局したが辞めてしまう。 同じ年、僕が司会を務める、 「朝まで生テレビ!」がスタートした。 若き泉さんは、 「すごい番組や!」と感動し、 たまたま1名だけあった、 番組スタッフの募集に応募、 テレビ朝日に入ったのだ。 当時から泉

          「やさしい社会にしてみせる」、故郷明石を変えた泉房穂の思い

          窮屈な効率優先社会だからこそ、「無器用を武器にしよう」

          僕はとことん無器用な人間だ。 バランスよく何かをできないし、 才能もない。 でも、それが僕の強みだと思っている。 大学を7年かかって卒業し、 作家を志したが、 同世代の大江健三郎氏や、 石原慎太郎氏の作品に、 打ちのめされて挫折した。 就職試験にはことごとく落ち、 ようやく岩波映画に入ることができ、 カメラ助手となった。 ところが僕は機械にめっぽう弱い。 バッテリーとカメラをつなぐコードを忘れ カメラにフィルムを入れ忘れ、 挙句の果てに、 いざ本番でカメラが動かなかったり…

          窮屈な効率優先社会だからこそ、「無器用を武器にしよう」

          ジャーナリズムの危機を救うカギがウェブメディアにあった

          今ジャーナリズムは、 大変な危機を迎えている。 ノンフィクション作品を発表する 主な場であった月刊誌は、 どんどん廃刊になった。 出版社は取材費を大幅削減、 原稿料は、 僕が40代の頃から、 まったく上がっていない。 これでは良質なノンフィクション作品が、 生まれづらい。 一方でスキャンダル記事ばかりが、 巷をにぎわせているのだ。 そんな状況に立ち向かう、 瀬尾傑という人物がいる。 瀬尾さんは、 僕の連載の担当をしてくれていた 元講談社の編集者だ。 同社を退社し、 現在ウ

          ジャーナリズムの危機を救うカギがウェブメディアにあった

          パーティ券問題を機に日本社会の歪んだ構造を解明せよ

          新年早々、大変な災害が起きてしまった。 能登半島地震で亡くなられた方々、 被害を受けた方々に、 心からお見舞いを申し上げます。 避難されている方々、 くれぐれもお身体を大事になさってください。 2024年、 僕にとって90回目の元旦は、 例年通り「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)で、 始めることができた。 日本のさまざまな問題を議論し、 自民党のパーティ券問題についても、 内容の濃い意見が多数出た。 ジャーナリストの神保哲生さんは、 「(パーティ券購入が) 完全に企業献

          パーティ券問題を機に日本社会の歪んだ構造を解明せよ

          堀潤さんと「分断とメディアの役割」について愚直に考えた

          僕はジャーナリストとして、 半世紀以上生きてきた。 そしてジャーナリストとして、 人生を全うしようと誓っている。 今、メディアに携わる人間として、 ネット、SNS全盛の現代は面白くもあるが、 非常に困難な時代だとつくづく思う。 僕は11歳のとき終戦を迎え、 大人たちの豹変ぶりを見た。 英雄だった政治家が戦犯となり、 「鬼畜」だったアメリカ、イギリスは、 すばらしい国になった。 「聖戦」だと言われて来た戦争は、 「間違いだった」と言われた……。 「大人たちは信用できない」。

          堀潤さんと「分断とメディアの役割」について愚直に考えた

          岸田内閣の低支持率は、「国民と政治との乖離」の表れだ

          10月20日、臨時国会が開会した。 岸田内閣の支持率は、 朝日新聞が29%、 毎日新聞は25%だ(共に10月14・15日電話調査)。 30%を切る、 いわゆる「危険水域」だ。 いったい、どうしてこんなに低いのだろうか。 岸田首相の何が問題なのか。 20日深夜の「朝まで生テレビ!」では、 与野党の国会議員らと議論した。 国際情勢、経済、エネルギー……。 さまざまな問題が噴出したが、 大変根深いと感じたのが、 政治が国民の感覚から、 掛け離れてしまっているのではないか、 という

          岸田内閣の低支持率は、「国民と政治との乖離」の表れだ