医師不足問題に潜むジェンダー・ギャップに注目せよ

6月12日、
世界経済フォーラム(WEF)が、
男女平等の実現度合いを示す
「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。
日本の順位は146カ国中118位。
前年より7位上昇したものの、
相変わらずの低さにがく然とした。

その発表のあった翌13日、
参議院議員会館で
超党派女性議員による
「クオータ制実現に向けての勉強会」
が開かれた。
この勉強会の仕掛け人は僕で、
ジャーナリストの長野智子さんが
事務局長を務め、
野田聖子さん、辻元清美さんらが
参加している。

今回は、大阪医科薬科大学
一般・消化器外科の河野恵美子さんに、
医師を取り巻く状況について、
講演していただいた。
河野さんは、ご自分の体験をもとに
わかりやすく語ってくださり、
僕は、医療業界の現状に衝撃を受けた。

日本の医師不足は深刻だ。
特に外科医の減少が著しく、
将来、医療に支障が出る可能性もある。
背景には労働環境、
過酷な働き方がある。
2006年当時、
河野さんを含む7人の外科医が
年間約800件の手術を
こなしていたという。

河野さんは出産後退職。
産休、育休中は、
代わりの医師が派遣されず、
同僚に負担をかけてしまう。
そのため、人員が補充されるよう
退職を決断したのだ。

その後、子どもが1歳になり、
河野さんは別の病院に勤務したが、
「子供がいる」という理由で
主治医も外来も任せてもらえなかった。
なぜか。
外科医は主治医制度を取ることが多く、
主治医は24時間365日、
担当患者の急変に
かけつけなければならない、
という考え方があるためだ。

さらに、手術の執刀機会などでも
男女格差があるそうだ。
中難度以上の手術は、
男性に割り当てられることが多く、
結果、女性医師は、
スキルを身につけられず、
評価も低くなってしまう。

こういう状況のため、
女性医師が力を活かせず、
また、出産などを機に
辞めてしまうことが多いわけだ。
河野さんの話は非常に深刻で、
勉強会では、かなり活発な議論が起きた。
ジェンダーの問題でもあるが、
これは医師の「働き方」の問題だろう。

河野さんも、たとえば、
「主治医制度ではなく、
チームで患者を担当するようにして
負担を分担する。
男女ともに働き方改革を
進める必要がある」と話された。
まったくその通りだと思う。

それにしても、
医師という国家資格者の世界でも
こんなにも不平等があるのだ。
ジェンダー・ギャップ指数118位も
仕方ないとため息が出た。
しかし、だからこそ、
まずは政治に「クオータ制」を導入することが、
日本が変わるきっかけになると思っている。
まだまだ道半ばだが、
その実現を
この目でみると誓っている。