「貧困と暴力の根絶」と「世界平和」を真っすぐに語る中谷一馬に感じた潔さ

「世の中の貧困と暴力を根絶する」
「平和で豊かな社会をつくる」
数多くの政治家と話をしてきたが、
こんなにも真っすぐな理想を聞くのは
久しぶりな気がした。
その政治家の名前は、
衆議院議員の中谷一馬さん。
「田原カフェ」のゲストとして、
お迎えした。
中谷さんはさらにこう語った。
「世界の平和を実現したい
ということを、強く思っています」。

真っすぐすぎて、
場合によっては揶揄される。
実際、神奈川県会議員選挙に出馬した際、
中谷さんがこうした理想を演説すると、
「世界平和もいいけど、
綱島の駅前をどうにかしろ」
と言われたそうだ。

しかし、中谷さんは、
理想の実現に本気なのである。
膝を突き合わせて話をすれば、
その本気さはよくわかる。
中谷さんには地盤も看板もない。
それどころか、
父親の暴力が原因で両親が離婚。
経済的に苦しい、母子家庭で育った。
中卒で就職したものの、
いわゆる「ヤンキー」になった。
しかし、一念発起。

通信制高校を21歳で卒業、
その後、政治の世界を志し、
菅直人さんの秘書を務めた。
27歳で神奈川県議会議員に当選。
議員活動のかたわら、
慶応義塾大学 経済学部 通信課程に進学し、
デジタルハリウッド大学大学院を
首席で修了している。
並大抵の努力ではなかったろう。

中谷さんは、
身をもって貧困を知っている。
暴力も知っている。
彼は心底本気で、
「貧困と暴力の根絶」を誓っているのだ。
「中卒の自分から見える環境と、
総理大臣の周りにいるような人とでは、
全く違う景色が見えている。
同じ日本とは思えないくらい」だと言う。

所属は立憲民主党だ。
自民党は二世ばかりで入るスキがない。
「多様性」を謳いながら、
日本は、中谷さんのような人物が、
政治家になりにくい社会だ。
女性議員もまだまだ少ない。

武器輸出問題に関連し、
武力、特に核兵器の問題についても聞いた。
「(核兵器は)人類の生存を
おびやかすことは間違いないので、
なくしていかなければならない。
理想をいえば、それぞれの国が話し合って、
少しずつでも核を減らしていく
という努力をしなければ……」

僕はすかさず質問を突き付けた。
「誰がそれぞれの国との話し合いを続けるの?」
中谷さんは、静かな声で答えた。
「僕ら、今の政治家が、
後世に継続することもそうですし、
僕がもし10年後、20年後、
総理大臣になったとすれば、
当然リードしていく」

さらに突っ込んだ。
「なぜ泉健太氏(立憲民主党代表)はそう言えないんだ?」
「言わせる努力もします。
少なくとも僕たちの世代が
20、30年後、
世の中のトップに立っている時には、
世界平和に一番近いかたちをつくりたい」
真っすぐであり、潔かった。

愚直かもしれないが、
「話し合っていく、
その努力を続ける」。
とてもシンプルだが、
政治にとって何より大事なことだろう。