岸田内閣の低支持率は、「国民と政治との乖離」の表れだ
10月20日、臨時国会が開会した。
岸田内閣の支持率は、
朝日新聞が29%、
毎日新聞は25%だ(共に10月14・15日電話調査)。
30%を切る、
いわゆる「危険水域」だ。
いったい、どうしてこんなに低いのだろうか。
岸田首相の何が問題なのか。
20日深夜の「朝まで生テレビ!」では、
与野党の国会議員らと議論した。
国際情勢、経済、エネルギー……。
さまざまな問題が噴出したが、
大変根深いと感じたのが、
政治が国民の感覚から、
掛け離れてしまっているのではないか、
ということである。
この低い支持率について、
ビデオジャーナリストの神保哲生さんは、
「政治に対する諦めの指数」だと指摘し、
次のようなことを語った。
「30年間日本は成長できず、
格差は広がり続け、
既得権益は温存されている。
若者が希望を持てない。
政府が対策をするといっても、
根本的なものではない。
それでも政治家は大騒ぎをする。
この『乖離』、
つまり、国民と全然違う世界で、
政治が行われていることに対する不満が、
この数字に表れている」。
これには僕も深く納得した。
政治に対する
大きな不信感、無力感が、
国民の間に生れてしまっているように思う。
たとえば、岸田内閣が示した
「経済対策の5本柱」も
何がしたいのかさっぱりわからない。
口当たりのいいことを
並べただけという印象だ。
この日のテーマは、
「これでいいのか⁉日本の政治」。
僕は半世紀も日本政治を取材してきた。
もちろん、その時代ごとに
問題はあった。
しかし、今は、そうした問題とは質が違い
大きな病巣が、
できているように感じる。
番組では、
選挙制度に問題があるのではないか、
という議論が起きた。
僕も現在の選挙制度には、
おおいに問題があると思う。
小選挙区制が導入されて以来、
当選するには党の公認と応援が必須になり、
政治家が党に対して逆らえなくなった結果、
議員がみんな「イエスマン」になってしまうのだ。
視聴者からは厳しい意見があった。
「日本の政治が、
民主主義の枠からはずれている。
選挙の供託金が高く、
政治に出られない環境が山積みだ」
「投票率が低いのに、
投票システムに手を加えない時点で終わっている」
立憲民主党の小川淳也さんも、
自身の体験も踏まえ、こう指摘した。
「選挙立候補へのハードルが非常に高い。
参入障壁が高いから、競争が起きない。
世襲議員が何の気なしに暖簾をつぐか、
人生を賭けるような思いで飛び込むか。
だから政治が国民から掛け離れている」
また、評論家の田崎史郎さんは、
「被選挙年齢を下げるということ」を提言した。
現行の被選挙権は、
衆議院と各市町村議員が満25歳以上、
参院選は満30歳以上だ。
それより下の世代は、
選挙に出られない。
そのため、訴訟も起きている。
たしかに、選挙権は満18歳以上なのに、
被選挙権はなぜ18歳以上ではないのか。
カナダはいずれも18歳以上だという。
小選挙区制が始まって約30年。
その欠点も浮き彫りになり、
また社会情勢も大きく変わった。
見直し、議論をすべき時期だろう。
神保さんはこうも言った。
「ここにいるのは国会議員なんですよ。
国会が制度を作ってるのに、
その制度に対しておかしいと思っている、
というのは不思議だ」
つまり、制度を作ることができる、
また変えられる当事者たちが、
「おかしい」と言いながら、
一向に変えないのだ。
いったいどういうことなのか。
現在議員である人たちが、
現状を変えたくない、
「既得権益」を手放さない、
ということではないか。
国会議員たちよ、
考えてみて欲しい。
このままでは、
政治と国民の「乖離」という病巣は、
ますます大きくなってしまう。