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【読書記録#8】野村克也の「人を動かす言葉」

 生前から野村監督の人柄が好きでした。この本を拝見して、大好きに変わりました。”ボヤキ”が有名ですが、その”ボヤキ”には作戦があり、「欺き」「煽り」「賛辞」「攻撃(口撃)」といった監督としての意図があったと分かります。

策士。
戦況を客観的に観察し、適切な一手を言葉として打ち出す巧みな技術
を持っていたと思います。

「学ぶことを辞めたら、教えることも辞めなければならない。」
と有名な言葉もありますが、野村監督自身は、
きっと多くの情報を収集され、ものすごく学ばれていたと感じました。

ものすごく学ばれていたことは、書中の表現をみて分かります。
過去の経験談やシーズンに対する評論は、

・宮本武蔵の『五輪書』の一節
・ナポレオンの台詞
・鍵山秀三郎(「イエローハット」の創業者)の台詞
・『韓非子』の一節
・吉田兼好『徒然草』の一節
・中国の雑学書『菜根譚』の一節
・中国の兵法書『呉子』の一節    などなど

から関連付けて意見を述べられていました。

論理的な考えや思慮深さ、そして人を惹きつけたり、人の心を動かす言葉は
こうしたところからだと思います。


自分の核心を突く表現にも出会いました。
本書の冒頭に出てくる言葉。

「言葉は、戦力である。」
その場、その状況、人間関係において、どのような目的を持って言葉を発するか。その使い方如何で貴重な戦力となり、物事を前に進める潤滑油になり得る。

正にその通りだと。不意に自分の想いを言語化していただいた気分になり衝撃的でした。僕のHOME㌻にある意思表示「言葉を、戦力にする」は野村監督の考えからもらっています。


「言葉は剣より鋭し」
「若い時に流さなかった汗は、老いてから涙となって帰ってくる」
「拙くとも誠実であることこそ、巧く偽ることに勝る」
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」
「自分の欠点を知っていても、それに対して対処しなければ、その欠点は知らないのと同じだ」
「得意のとき、すなわち失意の悲しみを生ず」
「功あるものを集めるより、功なきものを集めよ」

も書中から学んだ言葉。

また、本書に詳しく掲載されていますが、
対選手との会話(対報道も含めて)には独特な表現で
僕もこの時にこの選手の立場なら心惹かれたり、考えさせられたり、
信頼感を感じたりすると思いました。


出会えて良かった一冊です。
もっと野村監督を知りたくなりました。


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