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【読書記録#27】ラグビー日本代表を変えた「心の鍛え方」

スポーツ心理学という学問があります。
日本ではラグビー日本代表の躍進によってやっと
知られてきましたがまだまだ認知度としては低い分野です。

スポーツ心理を科学的根拠(エビデンス)に基づき、
アスリートサポートをするお仕事をメンタルトレーナー
呼びますが、日本でこの存在を広く知らせてくれた先駆者が
この本の筆者荒木香織さんです。

私自身、スポーツコーチングを各スポーツ現場に
提供していますが、スポーツ心理学も大学院で今後
本格的に学ぼうと考えています。

勝手に、「一度お会いしたい!!!」
と思っている荒木さんの本書からスポーツ現場の
ヒントをたくさん教わりました。

このnoteでは、スポーツ心理学に基づいた日本代表ラグビー
チームでの実践を中心にメモ書きを残していきます。
(メモしてたら2800文字…。笑😂)


***

最高のパフォーマンスを発揮する

■「アスリートは、一般の人よりメンタルが強い」は誤解

理不尽なことに対する耐性は強いかも…
でも試合前にはどんな選手でも「恐怖」を感じる。
リーチマイケル選手も「怖い」とよく口にしていた。
理由は、「相手がでかい」「スピードが速い」
「ボールを落としたらどうしよう…」という答えでした。

■コントロールできることだけ考える

「相手が大きい」「スピードが速い」
これは自分にはどうしようもない。
でも、「ボールをしっかりグリップしてキャリーする」
「ポジショニングやボールコントロールを工夫する」
は自分がコントロールできること。
自分がコントロールできることに集中すると
失敗の確率も減り、「恐怖」も感じない。

■「平常心」は、いい結果を生まない

「平常心」という状態は、
「興奮の度合いが低く、不安をあまり感じていない状態」
しかし、その状態のパフォーマンスは実は最も完成度が低い。

■「緊張」するから、うまくいく

緊張するのは当たり前。
それくらい価値ある経験ができるということ。
緊張したり、不安を感じたら、
”それで当たり前、感じられるのはいいことなんだ”と思うこと。
いいパフォーマンスができる兆候です。

■自分の状態を把握する

選手が試合や練習で経験する興奮とは、フィジカルの活動レベルのこと。
それを「アクティベーション」と言う。
瞬時にパワーが必要とされる競技はアクティベーションが高い方がいい。
サッカーのように正確なスキルと判断を要求される競技は
アクティベーションは低めの方が望ましい。


自分に自信をつける

■勝つチームにある「誇り」

ラグビー日本代表が「誇り」について考えた時「君が代」が浮かんできた。
それから「君が代」を外国人選手もスタッフも全員で歌うようにした。
「誇り」は誰かから貰うものではない。
選手たちが自分自身でつくりあげるもの。

■「コーチアビリティ」を学ぶ

選手としてどのようにコーチされると能力が発揮できるのか知るスキル
→「コーチアビリティ」
エディさんは言われたことだけを従順にこなす選手の態度を最も嫌った。
「がんばります」だけのコメントは大嫌いだった。

■勝者のようにふるまえ

「Act like a winner」
ーたとえ弱くても、つねに勝者のように行動せよ
自分が受け止めていることは行動にあらわれます。
自分は強くないと思っているとうつむきがちに。
すると勝てる試合も勝てなくなる。

■役割と責任を与えて、評価する

廣瀬選手(元キャプテン)は「陰のキャプテン」として
チームの活躍に貢献しました。
その裏には大きな葛藤もあったとあります。
面白いですが、廣瀬選手のように試合に出れないけれども
チームのサポートに徹する選手は外国のチームには
いないようです。


目標を達成するためのメンタルスキル

■目標は「少し頑張ればできる」くらい

エディJapanのスタート時、日本の世界ランクは15位
「世界のトップ10入り」を目標に掲げスタート。
容易ではないけど不可能な目標ではない。
エディさんは練習においては選手が「ちょっとやったらできそう」
と選手が感じた時点で練習を止め、テストマッチは少し頑張れば
手が届く相手と組んで、次も頑張る意欲を掻き立てた。

■絶対に達成できる目標も必要

日本のスポーツは大人や指導者が目標を決める場合がほとんど。
選手はそれが達成不可能だと思わない。
だから失敗すると自分の能力が低い・足りないと思い込む。
その結果、自信を失い、モチベ―ションが下がる。
どんなに小さくても自分で決めた絶対に達成にできる目標が
次も頑張る意欲を湧かせる。

■「期限のない目標」は無意味

立てるだけの目標は意味がない。
日本人は目標を立てることは得意。
そしてPDCAを回しているけど期日のない目標は
単に失敗をしないための対策になっているだけ

■目標を立てすぎない

もっとがんばらないといけないと思っている選手は
あれもこれもやろうと目標を立てる。でも
「この中で絶対に譲れないものはなにか?」
「絶対にやらないことはなにか?」を
一緒に考えると焦点が定まる。
大切なのは掲げた目標を達成すること。


困ったときのメンタルスキル

大会に潜む「魔物」の正体

極度のプレッシャーや不安に対処しきれず
パフォーマンスが非劇的に悪くなる
ー「チョーキング」
自分自身や周囲の期待が高いとき起こりやすい。

■南アフリカもチョーキングだった

2015年W杯、南アフリカはチョーキングに陥っていた。
相手は対処や準備を怠っていて予想外のことがたくさん起きた。
日本は逆に、徹底的に予測・準備・対処法を考え抜き
当日を迎えていた。

■不安なときに、やるべきこと

不安は、自分自身に期待することと現実にギャップがあること
によって感じる。であれば、そのギャップを埋めること。
やるべきことは、不安を書きだし可視化して確かめること。

■自分よりちょっとできる人を探す

チームワークは日本人の長所と言われるが
研究では決してそうではない。
どちらかというと個人で何とかしなければならないと考える。
もっている情報をシェアしないし、見て覚えるという意識が強い。
手取り足とり教えることもしない。
廣瀬選手考案でラグビー日本代表にはメンター制度ができた。

***

まとめ感想

ラグビー日本代表が活躍した舞台裏では、色濃い物語があったと
改めて感じました。

本書のおわりにはこうあります

アスリートだからといって、心理的にタフだと言えない…。指導者が「リラックス」「集中」と言えば、それができる方法をアスリートがわかっているだとうと仮定していること、「メンタル=根性」と短絡的にみなしている…。指導者がメンタルトレーニングを軽視している…。「選手のメンタルは自分がいちばんわかっている」と思い込み、必要性を認めていない…。

本来は私を含むスポーツ指導者全員が心理学を学ぶべき
だと思うのですがそこはこれからの可能性ですね。
荒木香織さんの活動と選手に対する関わりは今後の日本スポーツの
発展に必ず寄与すると感じます。私も荒木さん後に続いて
多くのスポーツチームのサポートに努めていきます!

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