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うつ病が原因で退職してから、市役所のパート職員として仕事復帰した体験談【当事者インタビュー】

うつ病が原因で離職した方のなかには、どのように仕事復帰すべきか、悩んでいる人もいるでしょう。

体調が安定しなかったり、働く自信がなかったりすると、仕事復帰を躊躇してしまいますよね。

そこで今回は、市役所のパート職員として仕事復帰した当事者であるnoriwaさん(@noriwa_genki)にインタビューしました。

パートであれば、正社員よりも少ない労働時間・日数で働くことができますし、仕事復帰しやすい人もいるでしょう。

なぜ、パートを選んだのか?

仕事復帰した理由や方法について、noriwaさんに自身の体験談をお話ししていただきます。

うつ病を発症後、退職と仕事復帰をくり返す

はじめまして、noriwaと申します。

今回、うつ病で苦しんでいる方の社会復帰の参考になればと思い、私の体験談をお話しさせていただくことになりました。

現在、私は、妻と2歳になる息子の3人で暮らしています。

うつ病を発症したのは2年前で、ちょうど息子が生まれた年でした。

当時、私は、九州の教育機関で働いていたのですが、うつ病を発症したことがきっかけで、はじめて休職することになったんです。

その時は、1ヵ月ほどで症状が軽快し、元の職場に復職することができました。

ところが、復職して1年が経つ頃にうつ病を再発してしまい、職場を退職したんです。

厄介なことに、再発した時は、症状が重篤化してしまい…。

それから7ヵ月間は、家族のもとを離れ、自分の実家で療養していました。

その後、知人に職場を紹介してもらい、保育施設で働くことになったんですが、ここでも働き始めてすぐに症状が再発してしまい、結局、1週間で退職になりました。

市役所のパート職員として、仕事を再開する

保育施設を退職してからは、1ヵ月間、自宅療養したのち、現在の職場である市役所のパート職員として仕事復帰しました。

仕事復帰しようと思ったきっかけは、1ヵ月休めたことで、体調がわりと良くなってきたことと。

あとは、このままでは家計的に “ヤバいな”と思って。

私の場合は、障害基礎年金や障害厚生年金(2級)の申請をしていたのですが、審査に時間がかかり、働く前の収入はゼロでした。

そういう状況のなかで、家族の生活や子どもの将来のことを考え、さすがに“働かなアカンな”という考えに行きついたんですね。

ただ、正直に言うと、仕事復帰に対して不安がありました。

体調は、全体的に安定していたもの、メンタル的にきつくなる時があって…。

当時は、まだちょっと体調に波があるように感じていたんです。

もちろん、主治医の先生には、仕事復帰して良いのかどうか、相談しました。

そしたら、「社会とつながることはいいことだから、働くのは良いと思うよ」「働くなら、体力的にきつくならないように」「しんどくなりそうだなって感じたら、早め早めにブレーキをかけるように」といったアドバイスがもらえて。

それで、まずは家族3人で暮らせて、無理なく短時間で働ければと考えるようになり、いまの職場で仕事復帰を決めたんです。

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職場選びのポイントは「労働時間」と「アクセス」

市役所には、1日6時間労働(9~16時勤務、休憩1時間)、週5日間、土日祝日が休みという条件で就職しました。

正規の職員の方は、残業があるようですが、パート職員に関してはゼロですね。

仕事内容は、就労支援員として、生活保護受給者の就労支援や給付金の審査業務などをおこなっています。

そろそろ、仕事復帰して3ヵ月ほど経つのですが、いまは働き慣れて、だいぶ落ち着いて生活できるようになりました。

正規の職員に比べると、労働時間が短かったり、残業がなかったりするので、仕事のリズムがつくりやすかった気がします。

あとは、自宅から自転車で5分くらいの距離にある職場なので、お昼休みに一度帰れるんです、ご飯を食べに。笑

いま振りかえってみると、お昼休みに、自宅に帰れることは、からだをゆっくり休められるという点で非常に良かったと思います。

最近でも、時々、調子が悪いと感じる時があって。

例えば、仕事で用事が立て込んだり、突発的な事態が発生したりすると、翌日に意欲がわかなくなり、“もう今日は頑張られへんな”っていう感じになってしまうんです。

こういう時は、頓服(ソラナックス)を服用したり、自宅や休憩室・トイレで休んだりしながら、体調をコントロールするようにしています。

クローズ就労を続けられた、自分なりの工夫

実は、私の場合、うつ病であることを職場の上司や同僚に伝えていないんです。

パートの採用面接では、面接官に「健康面で何か気になることはありませんか?」と質問されたんですが。

一瞬、悩んだもの、つい「ありません」って答えてしまって…。

というのも、パートの募集枠は1つだったんですが、採用面接には、私のほかにもう1人受験者がいたので。

私としては、面接官の評価を下げたくなかったですし、どうしても採用されたい気持ちから、そう言ってしまったんです。

いまのところ、誰も何も言ってこないので、おそらくまわりの人には気づかれていないし、気を遣われていないように感じますね。

働き方としては、クローズ就労ということもあり、体調を崩して、上司や同僚に迷惑をかけないように注意しています。

例えば、以前の私は、「~すべき・~しなければならない」といった完璧主義思考だったんですが、いまは、何に対しても「ぼちぼちいこか」「まあええねん」という心構えで、ストレスをためないようしています。

うつ病を発症したことは、自分の働き方や生き方・価値観を見直す良い機会になるんじゃないですかね。

あとは、日記をつけながら、自分の体調の変化を「見える化」しています。

こうすると、体調不良の予兆に気づきやすいので、波がある方は、体調管理の一貫として取り組んでみても良いかもしれません。

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将来は、正社員になりたい

今後は、やっぱり正社員として働きたいなと思っています。

フリーランスとして働けたら良いのかなって思ってもみたんですが、自分にそんなスキルがあるのか、どうやって始めたら良いのかわからないこともあって。

それと、奥さんや子どもがいるので、福利厚生が整っていて、ワークライフバランスをとりながら働ける場所を探しているところです。

私が勤務している市役所では、パート職員は1年更新という形で、長く働いても正社員になれる職場ではないんです。

なので、いまは、商社の営業職や障害福祉施設を転職先として検討しています。

ちょうど、住んでいる地域で、求人募集しているのを見かけたので。

パート職員として、段階的に仕事復帰するのもひとつの方法

一口に「仕事復帰」と言っても、働き方はさまざまではないでしょうか。

私の経験ですが、短時間で働いたり、週に少ない日数からはじめたりすると、仕事復帰を段階的に進めやすいんじゃないかなって思います。

また、業務内容に関しては、なるべくマイペースにできる仕事を選んだほうが、体調を崩さず、働きやすいんじゃないかと思います

とはいえ、仕事復帰に焦りは禁物。

早く仕事復帰したいという気持ちは、よ~くわかるんですけれども、傷病手当や障害年金・自立支援医療といった制度を使い、家計を上手くやりくりして。

再発に注意しながら、慎重に仕事復帰の方法を検討してもらいたいですね。

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