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一度つかんだらお客様が離れなくなる「SNS」マーケティング

アクセンチュアの新しい調査によると、2021年に世界のソーシャルコマースの売上高は4,920億ドルに達し、2025年までにほぼ3倍の1.2兆ドルに達すると予想。

ソーシャルコマースはいま、オンライン小売業界では注目がそそがれる、SNSを使ったマーケティングですが、日本国内外にかかわらずたとえば、フォロワー稼ぎやインフルエンサー向けの広告など、すでに知られているような、目先のマーケティング手法に偏った取り組みなどが目につきます。マーケティング会社の選定の良し悪しに関わらず、結局のところは、小売店の経営者としての思考を整理するべきかも知れません。

小売全体のビジョンや目的に沿った、本質的なソーシャルの取り組みはどのようなものか。今回は、そのヒントとなるソーシャルコマースの事例2つご紹介いたします。

プラスサイズの「フィッティング」でどのように返品率を下げるか

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Katrina, Catherine, Leukbook共同創設者

オーストラリアのオンラインファッションマーケットプレイスLeukbook(ロイクブック)は、プラスサイズのファッションブランドを展開。
Leukbook調べによると、プラスサイズ消費者の約85%の人が、オンラインで買い物をしているときに、体にフィットした洋服を探すのに苦労しているとされています。また、購入者がサイトの中から適切なサイズを探すことができたり、気に入った商品のサイジングの提案がされる、フィットテクノロジーが機能していない小売店がほとんどです。

たとえば、アパレルの小売店では、サイト上にバスト、ウエスト、ヒップのみのサイズが記載していることがほとんどですが、プラスサイズユーザーの場合、購入のためには太ももの周囲長と肩幅を含む7つのデータポイントが追加で必要とされています。

そのため、購入者は現状、10個のアイテムを購入し、9個を返すなど、すべてのサイズを一度自宅で試してみるという方法を取る他ありません。ただ、それだけの返品をすることは、心理的な観点からは、誰も気分が良くないと感じているのが事実です。

Leukbookは、そうした7つのデータポイントと顧客の測定値を解析し、ぴったりの商品をお勧めすることができるエンジンを開発。これによってサイトでの購入率をあげると同時に、返品率を下げることができました。

Leukbookはまた、Facebookグループにて、数千人のプラスサイズユーザー、そして買い物を提案する「ショッパー」たちが交流するプライベートグループを立ち上げました。グループ内では、ユーザーは、ショッパーにファッションスタイルのアドバイスを依頼することができます。さまざまなブランドと組み合わせたコーディネート提案をしたり、商品の品質に関するフィードバックを共有します。さらに、プライベートグループでは、ロイヤルティプログラムを導入。購入した商品を着用した自分の写真を共有したり、他の顧客と交流したりすることで、顧客に報酬を与える仕組みです。

こうした顧客への特別対応と、コミュニティづくりのメリットは、ブランド側から製品やサービスを伝える一方的なものではなく、顧客を巻き込んだ共通の収益環境を作れているため、自然な流れで顧客同士で会話が生まれ、最終的にはブランドの成長を後押しさせる特徴をもちます。

プラスサイズユーザーは、購入一回あたり平均1,000ドル以上を費やします。そして、一度気に入ったブランドとつながりができると、忠実で長い付き合いをします。

How Leukbook is solving the fit problem for plus-size fashion brands

ペットの「親」の心をどう引きつけるか

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オンラインペット小売業者Chewyは、2018年と2019年に、eコマースマーケティングを強化、さらにはパンデミックの影響によりオンライン支出を増加させました。収益は70億ドルを超え、アクティブな顧客は2,010万人を超え、アクティブな顧客1人あたりの売上高は404ドルに達します。

2021年10月に体験型ショールームをNYにオープン。ここでは、ペット(そして、飼い主)のために、シャンデリアで出迎え、無料のおやつや、ハーネスつきベンチとフィッティングエリアを提供。ペットの外見をチェックするための、床ベースのミラーが用意され、SNSで活躍するペットインフルエンサーのための撮影キットが設置されています。

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Pets at Home

英国最大のペットストアチェーンPets at Homeは、2021年12月30日までの12週間で3億1,940万ポンドの売り上げを報告し、前年比5.8%増加。会員数は60%増加し、毎週平均24,000人の新規会員が登録。さらに、10%割引や特典が付与されるロイヤルティ用のアプリを作り、前年比13%増の700万人の会員となっています。

ペットを飼うにはコミュニティが必要

ペットを飼うことは、つねに時間とお金の面で大事な決定をしなければなりません。ペットのライフサイクルにおいて、ペットの親にとっては、単に食べ物やおもちゃ、アクセサリーを購入するよりも大きなニーズ、たとえばヘルスケアのニーズなどもあります。

小売業者としては、ペットの生活のあらゆる段階を通して飼い主をどのように助けることができるか。アドバイザー、カウンセラー、そして友人として、パーソナライズされた1対1の関係を築いてサポートする機会は、実店舗での環境づくりや、SNSコミュニティ、アプリ開発などあらゆる面で可能です。

こうしたことは、大手企業からのサポートがされない現状がありますが、地元のペットショップはすでに提供し続けています。実のところ、小規模な小売業者が本来の主導権を握っているともいえます。

犬の平均寿命は10-13歳で、猫は12-18歳、ペット業界にとっては、一度つながることができた顧客と10年間の付き合いが生まれる可能性があります。これには「ペットの親」の心を惹きつけることがポイントかもしれません。

Pet Influencers: How Retail Can Maximize The Benefit From The Pet Parents

以上、「ソーシャルコマース」の事例でした。
みなさんのビジネスのヒントになれば幸いです。

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Taeko Mitamura

アパレルメディア、ショッピングサイトを経営しECプランナーとして活動中。EC歴20年。名古屋出身。東京理科大学在学中よりEC業界へ。2005年にMakeShopのスタートアップメンバーとして参画、マーケティング・営業・広報責任者。2014年7月に独立し、アパレル企画&制作会社「UNCLACK株式会社」を設立。 海外工場からODMで3万商品を揃え、在庫システムを開発。自社ファッションEC「COORDINATESHOP」スタート。2016年青山にアパレルショールームオープン。スタートから3年で売上額1億円を突破。

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