「ふるさとの母」
「ふるさとの母」
生まれた時に
泣いている私をしっかりと抱いて
身体の奥に女を暖めて
そっとかみ締めただろう
むせるような日々に
私を産んだ母として
見返りを求めることのない愛とかけがえのない思いを
ギラリと光る生命の生臭さと汗くさい偽物の怖さを
良くも悪くも
何も言わずに教えてくれた
ふるさとで
母は、毎日
あの道を歩き
うつむき、天を仰ぎ
風が運ぶ行方を思い、見つめたはずだ
土の中の母は、
私の中に、その匂いを確実に残した
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