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赤紫カッターシャツオの夢


*1


最近よく夢を見る

場所は近所のドラッグストア

買い物を終えた僕は駐車場から出ようとしていた

しかし今日はいつもと何かが違う…

表通りはとても混雑していて大渋滞

どうやらその原因は駐車場から出ようと入口を塞いでいる僕のせいだった



ちょうど侵入する車と鉢合わせして

後続の車からはクラクションが鳴っている


焦った僕は再び店の駐車場にバックして

入ってくる車に道を譲った

なぜかドラッグストアに続々と車がはいってくる

なんで今日に限ってみんながドラッグストアに殺到するのか

不思議だったが僕にはどうしようもない

今思えば夢である

しかしその時はまさに現実

僕は諦めて全ての車が駐車場に入りきるのを待った


本日の主役が登場したのはそんな時だった

イカにもな白のセダンがイカつさ満点で入ってきた

そして僕の車と横並びになったとき

すごい殺気を放ちながらこちらを睨みつけている

まさにそっち系のイカつい男と僕は

バッチリ目が合ってしまった


色白でヒョロ長い高身長のキレ長の目をした面長の男は

白いスーツに赤紫のシャツ

第2ボタンまで外した胸元からは

体型にアンバランスな極太黄金チェーンが光っていて

いかにもなオラオラオーラを醸し出している

まさにキレるカッターナイフ

キリキリと音を立て、今にもこちらに飛び出す勢いで何かを喚いている


僕は嫌な予感がした

と同時に、ギッとサイドブレーキが鳴り

中から赤紫のカッターシャツ男(オ)が派手に飛び出してきた



マジか!

と思う間もなくシャツ男はあっという間に僕の車に侵入し

何かを叫びながらいきなり殴りかかる


ウワァァァァ〜〜!!!
である

たとえ夢でも真っ最中はリアルそのものなのである

僕は急な攻撃に怯みながら顔や体を防御して応戦していたが

運転席でシートベルトまでしていては体が思うように動かせない

しかも相手はその道のプロのキレッキレのカッターシャツ男


防戦一方の僕は早くこの珍事を終わらせるためと

シャツ男の油断を誘って一筋の血路を得るために

諦めとも悟りともつかない妙な心境になって

ついに両手ダラリのノーガードになった


しかしそれを見たカッターシャツ男は

ニヤリと不敵な笑みを浮かべ

身も凍るようなもの凄い形相になった


そして最期の一撃と言わんばかりに

思いっきり僕の顔面目掛けて拳を振り下ろしてきた


ぼくはすべてを観念し、終わったと思った


その瞬間シャツ男の拳が僕の顔面に当たる!




ポカンっ



とあたった。



ぽかん。


あれ?

ぜんぜん痛くないぞ?



その威力を例えるならば

可愛い幼児が戯れてきて

柔らかなグーパンチが

顔に当たったときほどの衝撃


赤紫カッターシャツ男の渾身の一撃は

なんてことはない前代未聞の威力最弱全力グーパンだった


しかしシャツ男はスゴく満足した様子で車から降りた


そして去り際に吐き捨てるように僕にいった



今度から気を付けろよ!


愛してるぜ!


シャツ男はそう言い放って


ちょっと照れ臭そうな笑みを浮かべて


走り去っていった…




*2




ぼくは嫌な汗をかいて目が覚めた


何という理不尽

そして最後の「愛してるぜ!」って

一体なんなんだ...


全く意味不明な不可解な夢



まぁ夢なんて大体毎回不可解だから

当然シャツ男に対しても特に怒りも湧かなかったが

ただやはり爽やかな目覚めとは程遠い


気は重く頭痛も少ししていて

なかなか稀な不快感に包まれていた



しかしこの目覚めの悪さは少し妙だった

殆どの夢はすぐに忘れるものなのに

今朝は全然頭から離れない

恐るべしグーパン最弱シャツ男の威力



久しぶりの頭痛にも辟易としつつ

手元にあったiPhoneを手に取り「殴られる夢」を検索してみた


夢占いでは一見不幸な出来事が実は吉夢だったりする

と聞いたことがあったから

せめてそんなメッセージでも貰えたら

この理不尽な朝の呪縛から逃れられるかもと思ったからだ



ちなみに僕はそれ系の占いが嫌いではない

良いことしか受け入れないおめでたい性格と

たとえ悪いことが出ても直ぐに忘れてしまえる特技がある



そして今回の夢占い

知らない人物にいきなり殴られる夢はやはり吉夢らしかった


ビンゴ!


検索してよかった



面白いもので吉夢ときくとシャツ男に対する嫌悪感はすぐに消えた

なんだよシャツ男いい側の奴やんか

紛らわしいことすんなよなー

僕は気を取り直し、少し苦笑いを浮かべた

というか少し浮かれた

心は常に素直でいたい



*3



さて、これを吉夢と言うなら

改めてそのメッセージを解読してみたくなる

僕はいつものように瞑想状態に入り

一連の流れを思い出す

心に浮かぶ出来事一つ一つに

僕の心に作用した本質を探しながら

なんとなく意味付けをした


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1つ、ドラッグストアにいたこと →→→ 健康、体調に関する不安

2つ、突然の大渋滞 →→→ 外的要因の回避不能な状況

3つ、理不尽な暴力 →→→ 抗えない勢力

4つ、ノーガード →→→ 諦め、受容、悟り

5つ、最弱グーパン →→→ 予想外に軽度な影響、平気、大丈夫

6つ、気を付けろよ! →→→ 文字通り普段から気をつけること、瞑想を続けてメッセージを受けとること

7つ、愛してるぜ! →→→ 一見嫌なことも実はそれも愛だよ



ざっと頭に浮かんだことを書き出してみたら

7つのメッセージを得た

そしてこの夢は今年の主役「コロ助」からの

大切なメッセージなのかもしれないと思った



これは全て僕の主観的な想像に過ぎないけれど

瞑想時に浮かぶイメージは

現実世界をまた違う角度で見つめる大きなヒントになることを

僕はこれまでの経験で知っている


コロ助は今日も人類全てに語りかける


例えばそれは

道端やスーパーや電車の中で誰かとすれ違う時

家族と食事をしたりテレビを見ている時

リモートワークの準備をしている最中も

そして夢の中までも

あらゆるところで僕らの心に語りかけている



そしてその声は

政治や経済やマスコミや世界情勢といった

遠い見ず知らずの誰かや何かの影響を一切排除して

ただひとり静かに個としての自分と向き合ったときに

よく聞こえる


目を閉じ耳を塞げば

じんわりと体内にひろがる温もりを感じれるように

その声はきっと誰にでも簡単に聞こえる



僕は今ここであらためて考えてみた

僕はコロ助からのメッセージをちゃんと受け取れているのだろうか

大渋滞な外の世界にいちいち振り回されていないだろうか

僕はどんな世界を

どんな今日を生きたいのか


明確な答えは見つからなかったが

僕はきっと大丈夫だと思えた

これまでのようにこれからも

心静かに瞑想さえできれば

いつだって声を聞けるのだから



赤紫カッターシャツのキレキレコロ助は

確かに最後にこういった



愛してるぜ!



まだじんわりと最弱グーパンの感触が顔面に残っている





2020年9月26日の朝


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