親の感情の責任を取らされるということ
先日愛情深い親を持つ子供の
生きづらさについて書きましたが…
親が子供からの承認に依存する時
子供は親の感情に責任を感じるようになります。
自分が悲しがっていたら、親を悲しめてしまう。
自分が喜んでいても、今度は
親が必要とされていないように感じて
不機嫌になるなんてことも
あるかもしれません。
子供は、自分の感情が
いちいち親に影響を与えることを学び、まずは
『これを言ったら親はどう反応するだろう?』
と考えるようになり
『素直に感情に従う』ということが
できなくなります。
そんなふうに育った子供は、
人の反応を過度に気にする大人に
なることがあります。
ずっと親の感情の責任を負わされてきたので、
他者の感情にも責任を感じてしまうのです。
『そんなに人のことを
気にすることはないよ』と言われても
『自分は他者の感情の責任を
取らなければならない』
という考えはもう体に染み付いており、
そしてそれは単なる認知ではなく
何度も『他者の感情のせいで自分が罰を受けた』
『だから相手の感情を何とかしないといけない』
という経験の重なりからくるものなのです。
子供に依存する親は、
苦しんでいる時も、悲しい時も
『自分の感情は子供のせいだ』と
そうと口に出さなくとも
子供を責めています。
子供が自分が望むような
良くできた子供だったら、
私はこんな思いはせずに済んだのに。
子供が私の感情のケアをしてくれたら
私は元気になれるのに。
子供が幸せでいてくれたなら、
私も幸せになれるのに。
子供が私を必要としてくれたら
私はもっと満たされるのに。
どうしてこの子は…
と、常に子供のことを考えています。
自分の人生に向き合うのではなく、
子供のことで気を逸らしているのです。
親はそれを自分の愛情だと思いますが、
子供は息苦しく、
自分の感情を素直に出すのではなく
その場その場の『正解』を探すようになります。
そして、そんなに頑張っても
親の悲しみや苦しみは
子供が何とかできるのものではなく、
子供は親の感情を救えない自分に
無力感を募らせていきます。
子供の時は、親の愛情を得るために
絶え間なく正解を探し続けて頑張り続けた子供も、
いつか燃え尽きてしまい、
ある程度大人になってから疲れ切って
無気力になってしまうということがあります。
そして、そんな子供は
ずっと無力感に苛まれていたため
『自分の存在に感謝してくれる存在』に飢えていて
対等な関係ではなく、
一方的に感情のケアを求める人に
惹かれてしまうこともあります。
最初は喜んでくれていた人も、
だんだんと全ての感情の責任を
全て押し付けるようになり
また幼い頃のように
他人の感情をどうにかしようと
頑張る日々に戻ってしまい
どうしてこんなに疲れているのかわからず、
困惑し、自分はどこかおかしいのだと
思ってしまいます。
でも、実際は、誰も他人の感情に
責任を持つことなんてできません。
大人だって無理なのに、
小さな子供にそれを求めること自体が
おかしかったのです。
絶対にできないことを
ずっと求められてきたのです。
絶対にできないことが
できないことでずっと不条理に
責められてきたのです。
それに気がついたら、
ずっと『親を幸せにできない』
と自分を責めていた小さな子供に
会いに行ってみてくださいね。
いつも読んでくださって
ありがとうございます。