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シルクロード day8 蚊抹殺戦線

蚊、出現

敵機、襲来

ブハラの宿、あの忌々しき糞虫が多い。
床について目を閉じると耳元で囁くプーンの音。

絶対殺す

が、ロードスの時と違いここはドミトリー、他のお客様いらっしゃるので機動的な迎撃が難しい。電気さえ付けることを躊躇われるこの身を嘲笑うかのごとく奴らは波状攻撃を仕掛けてくる。 プーンw

無念の敗退。仕方なくシーツで簀巻きのミイラ状態になり就寝。それでも聞こえてくる奴らの音に戦々恐々。とりあえず二段ベットの上段だったので下の白人の方に奴らが行くように祈る。
この恨み、いつか晴らす。

ブハラの朝は大して早くない。
昨日の移動に体力を使い果たしたせいか、それとも蚊に神経をもっていかれたせいか10時に起床。

今日は丸々ブハラ観光に。

ヒヴァが街を楽しむものだとすれば、ブハラは道を楽しむもの。 ブハラの観光ルートは基本的にルートは1つなので、それに従って徐々に北西に移動することになるが、途中に特徴的な建造物を見ることが出来る。

その名は「タキ」
君の名は「タキ」

大通の交差点を石の丸屋根で囲ったもので、中には商店が軒を連ねてある。

イスラム圏特有のスークやバザールとはまた違う面白い商業施設だ。
ブハラでしか見ることのできないウルトラレアなやつである。

↑タキ

ブハラには3つのタキがある。
1個目を抜けるとラビハウズとナディールディヴァンベギメドレが、2個目を抜けるとウルグベクメドレセとアブドゥールアジスハンメドレセ、3個目を抜けるとカナーンモスクとミルアラブメドレセが待っている。 そしてカナーン広場を西に抜けるとアルク城とラビハウズモスクがようやく姿を現わす。

まぁ長ったらしい名前をここまで列挙しても理解できるわけがないし見た目もほとんど変わらないので行った順に軽く説明だ。

【ラビハウズ】
メインストリートの南端。最も賑わっているエリアで安宿街はここの南側。シンボルの池がある。 汚い。

【ナディールディヴァンベギメドレセ】
ラビハウズの東側。イスラムで禁忌の人面絵が描かれている。禁忌を破ってまで描かれた顔、さぞかしイケメンかと思えば、そこら辺の小学生でももっとマシな顔の絵を描けるだろうレベルのゆるキャラ風味。

【ウルグベクメドレセ】
中央アジア最古の神学校。タイルが綺麗。

【アブドゥールアジスハンメドレセ】
ウルグベクメドレセの真向かい。こちらも綺麗 。ウルグベクメドレセより200年後に建立

【カナーンモスク】
中央アジア最大級のモスク。中がとても広い。付随のミナレットは900年前のものでチンギスハンの侵攻時も破壊されずに済んだ。つまりチンギスハンも見たやつだ!

【ミルアラブメドレセ】
カナーンの真向かい。ソ連時代にも活動を許されていたすごい神学校。水色のドームが特徴的。

【アルク城】
インド北部の城塞を彷彿される外観をしている。かつてはこの城壁の中にヒヴァの如く都市が形成されたらしいが、今では西側の城壁の一部と付随するチンケな博物館しか見ることはできない。あとは全部瓦礫だが内部の遺構を見ることすら叶わない。ケチだ。

【ボラハウズモスク】
アルク城の対岸にあるハン専用のモスク。ラビハウズではなくボラハウズなのが更にややこしさを増す。ここの内部は青色で彩られておりとても綺麗。
池に映った逆さモスクを見よう!らしいが池が濁り過ぎて肥溜めのような感じなので逆さも糞もない。糞だけに。


だいたいこの辺りが観光ルートの徒歩で行けるエリアだが、昼間に行ってもあまり賑わってはいない。
あれ?と思うもすぐに納得。
あまりの暑さに誰も建物から出てこないのだ。
てなわけで静かに散策したいなら昼がおススメだ!

が、日光を遮る場所も少ないので他の連中と同じく直ぐにヤル気がなくなる。
太陽が怖いので一旦宿に戻り休憩。

プーン。

よし殺す。

バカが。他の客は全員不在、ここにいるのは俺とお前だけ。

部屋のど真ん中で直立不動となり五感を研ぎ澄ませてヤツを探知。

プーン、プーn
壁に追い込み渾身の右手で殺す。

ふははははhプーン〜
2匹目やと!?

よく見ると窓全開。こりゃ侵入されますわ。急いで密閉し戦闘再開し3匹を屠る。

仕事をやり遂げて満足した後に再度ブハラ旧市街へ。太陽がだいぶ傾いてきたのに合わせて人も増えてくる。吸血鬼の一族みたいや。

同じルートを再度歩いていると地元民に呼ばれる。

飯食ってけよ!

マジ?

35000スム!

金とるんかい!でもそこら辺のレストランで食べるより断然コスパ良いのでついて行くことに。

てっきり家族経営のレストランかと思いきや、普通の家だった。応接間に通され、前に出される夕飯。
現地人の家でぼっち飯てなかなかレアやね、と思ってると接待役の女の子登場。
この家の孫アミラちゃん。
机の上に乗ってきてはブドウを掻っ攫っていくお茶目な幼女2歳だ。

↑アミラ嬢。ぶれた

夕食後、昼間は暑過ぎて到達できなかったイスマイールサーマーニ廟へ。モンゴルに国ごと木っ端微塵にされた中で生き残った中央アジア最古のイスラム建築だ。
そんな由緒正しい遺跡だが、アルク城の更に西2キロらへんの公園の中にポツンと佇んでいる。夜のためか誰も人がいない。

↑哀愁漂うサーマーニ廟

歴史に興味がないのはどこの国民も同じか。現地人はこの由緒正しい遺跡をガン無視してさらに公園の奥に歩いて行っている。賑やかそうなので付いていくと遊園地が出現。

なんとビシュケクのより立派で繁盛している。クルクル回るやつ5000スムとか。ジェットコースターもどきみたいなのもある充実っぷり。どこの遊園地もそうだがいくらボロくても小さくても絶対観覧車だけは置いてある不思議。南米にも中東にもあったよ。

↑めちゃくちゃ本格的

宿に帰還。
プーンw

なんと二段ベッドの上階にいる僕の真横におるではないか。マッハ5のスピードで壁に叩きつけ始末。

人知れず宿の平和に貢献した僕、宿泊代タダでもいいんじゃなかろうか。

#海外旅行 #一人旅 #バックパッカー #ウズベキスタン #ブハラ #日記 #エッセイ

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