見出し画像

科学者にとっての歴史探究

電飾が街を彩る季節になってきましたね。

今や当たり前となったLED(発光ダイオード)ですが、パナソニックのサイトによると、初めて開発されたのは1900年代後半らしいです。

2014年にノーベル物理学賞を受賞した3氏が、不可能と言われた高輝度青色発光ダイオードの開発を成し遂げたのは1993年のこと。

平成に入ってから、だと考えると、科学の発展のなんと目覚ましいことでしょう。


社会には科学が溢れています。



そのおかげでどんどん便利になっていく世の中ですが、その裏でどんな風に科学が進歩しているのかは、その道の人でないと意外と知りません。

今日はそんな科学の視点から、モノの歴史を考えてみたいと思います。

何もない所から発想は生まれない

ノーベル賞といえばIPS細胞をイメージする方も多いのではないでしょうか?

IPS細胞の発明により、一挙に再生医療研究が進められてきました。

しかし、多能性幹細胞という概念自体は何もいきなり出てきたものではありません。

ご存知の方も多いように、元々受精卵から創り出されたES細胞という幹細胞がありました。

しかし、人間の受精卵を使う必要があることから、倫理的に問題視されていました。

さらにその前から、身体の各部位に幹細胞があることも知られていました。

ちなみに幹細胞とは
①分化能(色んな細胞になることができる)
②自己複製能(分化能をもつ自分を増やすことができる)
の両方を持つ細胞のことを言います。

幹細胞が見つかる前にも身体の組織が再生することはなんとなく知られていたと思います。

古くなった皮膚は垢となって出ていきますし、爪や髪の毛は、切っても(失っても)また伸びてくることはみんな知っていますもんね。

再生医療って出来るんじゃね?という発想も、こうした過去の知見の積み重ねの上に生まれてきたんですね。

技術の発展と社会

このように、科学技術やそれによって生まれたモノにも、それぞれの歴史があります。

勿論、科学技術の発展の経過だけに着目しても面白いのですが、歴史学習の面白味はここからです。

技術の発展には、社会の動きが密接に関わっています。

例えばニトログリセリンの歴史です。当初、ニトロは土木工事への使用を目的に開発されました。

恐らく人口増加などに伴い、大幅な土地の開拓が急がれたことでしょう。

今のように重機が存在せず、人の手で掘削を行っていた当時、爆薬は一気に土地を拓くことができる画期的な発明だったはずです。

でも掘削機の歴史を調べてみると16世紀頃には開発が進められていたようです。
実用化はどちらが早いんでしょうね??

しかし、次第にニトロはその姿を兵器へと変えていきます。世界中で戦争が勃発したからです。

戦争は平たく言えば国同士のケンカです。ケンカする理由も陣取りとお金稼ぎです。

戦争はどれも悲惨な歴史ですが、その際に特需景気があった(ようするに経済が潤っていた)ことも、兵器開発で技術が歩を進めたことも紛れもない事実です。

そして、発展した技術を違う目的に転用するのもやはり社会の変化です。

戦争が終わった現在、ニトログリセリンは医療の世界で、心臓の薬として今もなお活用され、人の命を救っています。

コレはほんの一例です。
社会が目紛しく変化していく中で、その求めに応じて様々な科学技術が発展してきたんですね。

なんで?を掘り起こしていく

高校までで歴史が嫌いor苦手だった方にとって、歴史は面倒臭い暗記物でしかないと思います。

年号なんて覚えられないし、似たような名前が沢山でてくるし。

教科書の順番通り、縄文時代から順を追っていくと、その膨大な情報量にめまいがしそうです。

でも本当は、歴史は過去を掘り起こす学問であるはずです。

なんで太平洋戦争が起きたんだろう?と考えれば、日本の軍事政権の高まりに目が向きます。
では軍事政権が樹立したのは何故…?

…と、こんな調子で自分の気になる事象の理由を探っていくのが歴史の勉強だと思います。

年号は、違う事象の経過を見比べる時に、あると便利なもの。

先のニトログリセリンの例で、重機や兵器開発の歴史と見比べてみると変遷の経緯が理解できます。

過去を振り返ること

この考え方は、例えば仕事でも使っているように思います。

引き継ぎ資料とか、議事録とか、過去の記録に目を通せば、そのプロジェクトがどのように進められてきたのかがわかります。

問題が起きた時にも、それらの記録を見返して対応策を検討します。

また、わからないことや疑問に思ったことを解決するために、一つ一つ振り返って情報を繋げていくのは勉強の場面でもとても大事です。

歴史は繰り返すと言いますが、過去に起きている同じような事例を振り返ると、問題解決の糸口も見えてくるかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?