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15周年企画!スタッフ対談 VOL.1

TABLE FOR TWOは、飢餓と飽食という世界規模で起こっている相反する食の不均衡を同時に解決することをミッションに掲げ、2007年に日本で立ち上がったNPO法人です。以来、多くの法人・個人の皆さまにお力添えをいただき、今年の10月に設立15周年を迎えます。
15周年を記念して、TABLE FOR TWOとして初となるnoteの公式アカウントを開設しました。2022年9月~12月の間、設立後15年を振り返り、TABLE FOR TWOが歩んできた道のり、現在、そして今後について発信してまいります。


今回の記事では、note企画担当者による対談をお届けします。

TFTが設立された2007年と比較して、社会情勢や社会貢献活動をとりまく環境も変化しており、その変遷とともにTFTの活動も進化してきました。2017年入職の小此木と2021年入職の山本が、設立当初からこれまでの変化を振り返りました。

小此木:TFT15周年を記念したnoteを開設して、まもなく1ヶ月が経ちますね。

山本:15周年企画としてnoteを立ち上げる、というのは小此木さんの発案でしたが、なぜnoteでの発信を思いついたのでしょうか?

小此木:TFTが一から積み上げてきた15年を記録に残し、TFTのいわば「DNA」を皆さんにも知っていただきたいと思いました。また、15年という月日の中でTFTを取り巻く環境がどのように変わってきたのか、今の自分たちの立ち位置や役割について考える機会にもしたかったんです。

山本:私たち自身にとってもTFTの歴史を振り返る良い機会となっていますよね。

小此木:改めて、多くの方に共感していただけるコンセプトを持っていることがTFTの強みだと感じます。TFTの職員として働くスタッフだけでなく、さまざまな形で関わってくださるサポーターの方々、それぞれの導入先で推進してくださる担当者さんの熱量があって、活動が広がってきました。

山本:私が入職して一番驚いたことの一つに、企業担当者の熱意があります。会社から与えられた役割をこなすためにTFTに取り組んでいるのではなく、むしろ自らがTFTのコンセプトに強く共感し、会社に熱心に提案したり、社内で取り組んだりと、役職を超えて一人の地球人として携わってくださっている方がとても多いと感じました。

小此木:スタッフの数が限られる中、活動が広がっている背景には、本当に多くの方の共感と支えがありますよね。また、NPOという組織だからこそ、いろいろな人たちとフラットに関わることができ、職種や立場の垣根を超えて同じベクトルを向いた熱量があります。プロフェッショナルなスキルやアイデアが交わり、ブラッシュアップされ形になる過程には毎回感動します。

山本:「食の不均衡という社会課題を解決する」という共通の目的が結束を強めるように感じますよね。ミッションを中核とするNPOだからこそ、連携を強化できている部分があると思います。

小此木:私自身も、初めてTFTを知ったのは参加者としての立場のときでした。新卒で入社した会社の社員食堂でTFTプログラムが導入されていて、日本で働きながら、日々の食事を通してアフリカやアジアの子どもたちに食事を届けることができるという仕組み、しかもその仕組みが日本人のアイデアから始まっているなんてすごい、と感銘を受けました。

山本:私がTFTを知ったのは実は入職するほんの数か月前に、たまたまある職員のインタビュー記事を読んだことだったのですが、TFTのコンセプトは、まさに私が普段感じていたことを言語化していると感じたんです。飢餓も肥満も地球上にあふれていることに疑問があり、何とかならないのかな、と。また、地球規模の問題の有効な解決策は未来を生きる子どもへの投資、特に教育だと思っていたため、学校給食という支援方法にも共感しました。

小此木:1食20円のおすそ分けが子どもたちのお腹を満たすだけでなく教育の機会にもつながっていて、だれでも肩ひじをはらずに気軽に取り組めて、しかも自分も健康に、という仕組みは新しい発想でもあり、寄付文化が根付いていないと言われる日本にすごく合っていますよね。

山本:TFTの寄付の仕方って「おすそ分け」という日本語がぴったりですよね。「ついでに、少しだけ」の支援のため負担にならず、続けやすいというのもポイントだと思います。

小此木:TFTが設立された2007年と比較して、社会貢献活動を取り巻く環境は大きく変わったと思います。最近ではソーシャルビジネスも増えてきていますが、立ち上げ当初は世間の風当たりが強かったと聞いています。NPOと言うだけで怪しいと思われたり、話を聞いてもらうだけでも大変な中、だからこそ信頼を得るためにオペレーションの仕組みづくりには力が入れられてきて、それが今でも大きな基盤になっていると感じます。

山本:確かに、寄付する側からしたら、設立間もないNPOへ寄付するのはなかなか勇気がいりますよね。企業であっても同じことですが、組織体制を整え、説明責任を果たしていくことが重要であると感じます。

小此木:そういった立ち上げ当初からのビジネスマインドを大切にした工夫や努力に加えて、世の中の社会貢献活動に対する見方、関わり方自体も変わってきていますよね。2011年に起きた東日本大震災やその後も毎年のように国内で起きてしまっている災害にボランティアや寄付など支援の輪が集まっていて、日本人は助け合いの心や温かい気持ちを持っているのだと感じます。

山本:自然災害や紛争が身近に感じられるようになり、被災者に寄り添うように支援を行う方もいらっしゃるのではないでしょうか。地球規模でも同様に、他人事とは思えずに社会貢献活動をされている方がいらっしゃると思います。

小此木:TFTの設立当初は国連によってミレニアム開発目標が掲げられていましたが、ここ近年ではSDGsの浸透も大きいですよね。

山本:そうですね。消費者からの期待に応える形で企業レベルでの取り組みに発展しているのも、個人的にはうれしいです。一人ひとりの意識底上げが何より重要だと思います。2007年当時は社会貢献活動というと意識が高い人が行うことというイメージもありましたが、今は誰しもが気軽に取り組むような段階になってきていると思います。そういった意味では、TFTも「新規性」「目新しさ」よりも社会貢献活動の「受け皿」「プラットフォーム」といった意味合いが強まっているのかもしれません。良い方向への変化だと思います。

小此木:物理的にも心理的にも距離の遠い飢餓の問題について、日常生活の中に接点をつくり、私たちNPOだけでなく、参加者やさまざまな業界・業種など多くの方に関心を持ってもらい、ハブのような存在になって解決に向けたうねりをもっと大きくしていきたいですね。
直近に目を向けると、コロナ禍をきっかけにこの数年はさらに大きな変化がありました。

山本:どのようなプログラムが最適なのか常に問い続ける必要があるということが実感されました。

小此木:TFTの活動は、主に企業の社員食堂を舞台にtoB向けのプログラム推進がひとつ大きな軸となっていますが、そのような中、感染症対策のため社食が一時的に閉鎖したり縮小したり、働き方が在宅勤務にシフトして、毎日社員が会社にくることが当たり前ではない、という数年前では考えられないような状況になりました。企業担当者さんとの対話を通して、社員の社会貢献参画という観点においても、社員の健康管理という観点においても課題を抱えていることがわかり、新しいプログラムの提案もしていますね。

山本:その過程でも企業担当者起点で生まれたアイデアや取り組みが数多くあって、しかも皆さんそれを惜しみなくシェアしてくださりますよね。年1回の担当者向け活動報告会に合わせて毎年行っているTABLE FOR TWOアワードには各社工夫を凝らした担当者の熱意溢れる取り組みがたくさん集まります。その取り組みを参考に、自社でも取り入れてみるというケースも多いです。

小此木:そのように新しく生まれた取り組みを集約して、どの会社でも取り入れやすいようオペレーションの仕組みを考えるということも私たちの役割の一つでありますね。

山本:コロナ禍を経て、働き方や企業担当者とのコミュニケーション方法の変化もかなり大きいと思いますが、いかがですか?

小此木:TFTではフルリモート主体となり、企業担当者さんとのやりとりもほとんどがオンラインに移行しました。
対面で担当者さんとお会いできる機会があると、すごく嬉しい気持ちになります。以前はそれが普通だったのですが。。
でも、オンラインが主流になったことで良い面もたくさんあると思います。遠隔地の企業さんと画面越しでお話ができたり、離れている企業さん同士での情報交換の場を設けることができたりと、新たな広がりも生まれています。

山本:TFTとしてもフルリモートが可能となったことで、職員が各地にいることでリスク分散や地の利を生かした発信など、プラスに働く場合もたくさんありますよね。

小此木:オフラインならでは、オンラインならでは、それぞれの良さがありますが、オンラインが浸透したことで、リソースが限られる中これまでできなかったこともできるようになったので、もっと新しい挑戦もしていきたいですね。

山本:支援先と企業さんをつなぐ立場として、自らの役割もアップデートしていきたいと思います。ミッション達成という大きな目標を見失わず、柔軟な組織でいたいですね。


対談したスタッフ
山本真穂(2021年入職)

小此木利沙(2017年入職)


月500円のご寄付で、子ども1人に1ヵ月分の学校給食を届けることのできる「マンスリーサポートプログラム」もぜひご検討いただけますと嬉しいです。 http://jp.tablefor2.org/donate/ (TABLE FOR TWOは寄付金控除の対象です)