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#7 アイロンとクレープ

洗濯は大好きな家事。
洗濯機から出した後いつも『どう効率的に干したろか』と考えるのが楽しくてたまらないのです。
しかし、難点があります。
乾燥している間に"急激に"興味が失われ、洗濯物を畳んでクローゼットにしまうことへのモチベーションの低さと言ったら。極たまに思い立ってお菓子を作り、山盛りの洗い物を見なかったことにする人みたいな感じです。

干すまでがピーク、その後は苦痛。

ジャカルタに来てからさらに、追い打ちが。

ジャカルタが毎日暑いこともあって、麻入りのシャツを着る事が多くなった夫。ただでさえシワになりやすいシャツの類い。
うちの洗濯機は乾燥機能のついていない、まあまあ新しいドラム式です。
それでも、『何か嫌なことでもしましたでしょうか』と訊きたくなるほど洗い上がりがしわっしわ(強め)になるシャツたち。

名称未設定のアートワーク 8


イコール、それはアイロンから逃げられないということを指します。

アイロンなんて嫌いだ。嫌いなんだ。
ジャカルタに来てから物凄く嫌いになりました。

何故って・・・単純にしわが取れないからです。
こっちのアイロンのせいかもしれないし、洗剤や水の相互関係によるものなのかもしれない。



何故こんなに洗濯しただけでしわになるのか。
何故干しても取れないのか。
何故さっきから何往復もしているのに、しわは消えてくれないのか。

ノンストップ何故。


アイロンをシャツの上で何度もスルスル滑らせているうちに、反抗からよくわからない行動を取りたくなる衝動にかられます。

ある時は、"突如、手首のスナップを効かせて、八の字を描いてみる"などしてみる。

またある時は、"シャワーを浴びた後カビ防止のために壁と床にスキジーをかける時に『動きが似ている』とふと思い、水切りをしながら手首スナップの練習をしてみる"など追加でしてみる。

など。

アイロンへの憎悪が、手首のスナップをより効かせます。
そして八の字を描いているうちに『これはあれだ』とまた妙な閃きが頭に浮かぶのです。


クレープ。クレープだ。

クレープ屋さんがクレープ生地を天板に丸く広げる手首のスナップ。
今なら、あれレベルのスナップを効かせられる気がする。

名称未設定のアートワーク 7


だから、妄想クレープ、作る。

●はかりのいらないクレープ
<材料>
薄力粉 1カップ(約100g)
砂糖  大さじ2
塩   ひとつまみ
卵   1個
牛乳  200ml
バター 大さじ1

<作り方:5,6枚分>
①ボウルに卵を割り入れ、ホイッパーでこしを取る。牛乳、砂糖、塩を加えてよく混ぜ、薄力粉をふるい入れる。
②バターは溶かして加える(余裕があれば焦がす)。生地を冷蔵庫で30分から1時間ほど寝かせる。
③フライパンを温め(中火)にバター(分量外)を溶かして、クレープ生地をお玉orレードル1杯分を流し入れる。素早くフライパンを回すかスケッパーなどで広げ、生地の厚みを均一にする。少しフツフツとしてきたら焼き色を見て生地を裏返す。30秒ほど火を入れたらお皿などに取り、冷ます。
④生クリームやジャムなどお好きなものと一緒に召し上がれ。

名称未設定のアートワーク 9

完全に敗北。まだ修行が足らなかった模様。

あの滑らかな手つき、極めたい。
アイロンがけのストレスを全て込めてクレープを作りたい。

今一番欲しいもの。

クレープの生地を広げるトンボ。



今聴きたい1曲:You Are Blue, So Am I / BONNIE PINK

晴れた日の洗濯タイムに似合う爽やかなメロディ。
なんですが、内容は元気のない"君"のことを"僕"が気にかけて、元気になって欲しいよという曲。"外はますます気がめいる雨"なんてところもありますし。
でも、どうしてもわたしには晴れてる日の曲に思えてしまう。雨は"君"の内面の比喩なのかな、と勝手に解釈。

洗濯は楽しいのに裏側にアイロンの苦しみが隠れているような、闇を包含する光のような。
このモヤモヤ、CDのジャケットみたいに晴らしたい。

例えがおかしいですが、そんなところです。


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