見出し画像

映画「PERFECT DAYS」の感想。空を見上げて木の写真を撮りたくなる。

観る前から「いい映画だ。」と確信していた映画があった。役所広司さん主演の「PERFECT DAYS」。

予告編を観て(映画館で観たのかYouTubeで観たのかは忘れたが)すぐに思った。この映画は「いい映画だ。」「絶対に観に行くべきだ。」と。

封が切られた3日後、12月25日クリスマスに観に行った。わかっている。クリスマスに観る映画ではないことは。でも、そんなことは関係ない。とにかく早くこの映画を観たかったのだ。

かなり大きな劇場だったが平日の昼間なので、お客さんは片手で数える程。

逆に休日でも全て埋まることはないのでは?と思えた。なんとなく観る前から「これは一般受けしない映画なんだろうな」と思っていた。その予想は外れていないと思う。

私は邦画の、しかも静かな映画が好きだ。

「かもめ食堂」
「秒速5センチメートル」
「誰も知らない」
「くちびるに歌を」

など。最近だと「正欲」も好きだった。

観る前から良い映画だろうと思っていたが、良い意味で裏切られた。集中して観ていたので最初は気がつかなかったが、想像以上に台詞が少ない。

役所広司さんの動作、表情、空気、それだけで演技をしている。ひとつひとつの動作を目で追っていく。何も喋っていないのに、何を言おうとしているのか、どういう感情なのかが伝わってくる…気がする。

大げさな演技という訳ではなく、ごくごく自然な演技。普段の生活でも観ている様な演技。違和感の無い演技。そして魅力がある。

普通、何も喋っていない、しかも特別なことをしていない人のことなんて5分も観ていられないですよ。映画であっても、ずっと喋らず数分も過ぎれば、気が散ったり、最悪飽きてしまって眠くなってしまってもおかしくない。

ただこの映画はずっと観ていられる。心地が良い。終わってほしくない。

最近は、効率良く消費する方に目を向けがちだか、この様にゆっくりと時間を楽しむことを忘れてはいけないと思った。

とても良い時間を過ごせた。

この映画を映画館で観て良かった。

あの没入感。心地良さ。これは映画館でしか味わえなかったと思う。大きな音をいくらでも出せる映画館で、静かなシーンとした空気が流れ続ける映画。あの感覚をまた味わいたい。

そして、映画を観に行った後は、きっと空を見上げて木の写真を撮りたくなっていると思う。

たぶん。

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?