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#三島由紀夫

『金閣寺』三島由紀夫

『金閣寺』三島由紀夫

1950年、金閣寺が燃えた。見習いの僧侶が放火したために全焼したらしい。その事件を題材にして書かれたのがこの『金閣寺』で、人間のコンプレックスと社会の歪みが生み出した一つの事象として見事に描出されている。本人すら分かっていなかったかもしれないその本質を徹底的に分析し、投げられた匙を磨き上げてしまう天才。

中でも、鹿苑寺を飛び出してから由良に着き、そして金閣を焼かねばならぬとの暗示を受けて帰路の列

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『潮騒』三島由紀夫

『潮騒』三島由紀夫

なんですかこの透明感!!?

眩しい
とにかく眩しい

10代後半のふたりの眩しさが、歌島の情景と重なってさらに眩しいのです。

今まで読んだどの小説よりも飛び抜けて清らかな、清純の権化のような作品でした。「ひまわりみたいな物語だ」と批評には書いてあったけれど、ひまわりのようなずっしりとした明るい花ではなくて、今にも風に吹かれて飛んでいってしまいそうなほど軽く透明感のある花が似合います。なんだろう

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『三島由紀夫レター教室』は本当にレター教室だった

『三島由紀夫レター教室』は本当にレター教室だった

突然の読書感想文。
時々アウトプットしていかないと便秘になるよと言われたので、時間のある時は頑張って書いていこうかな。

感想冒頭の5人の自己紹介、あまりのギャグ線の高さに「天才だなこの人」と言わざるを得ない。日本を代表する文豪だし、今まで他の書籍を読んだことがなかったからもっとお堅い難しい文章なのかと思ってたから衝撃だった。想像の斜め上をいく内容。途中からギャグ漫画読んでる気分になった。
でもレ

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『美しい星』 三島由紀夫

『美しい星』 三島由紀夫

フルシチョフとケネディと葡萄入りのパン

これは…ただのエンタメ小説ではないぞ…!
と気がついたのはこの部分。

これは自分達は宇宙人であると自覚した一家の父、重一郎のセリフ。小説の中では「愚かな地球人」のために立ち上がり、地球人解放のために尽力している。
表題とあらすじだけでなんとなく想像していた内容の斜め上を行っていて、この辺りからだんだん読むのが楽しくなってきた。

人間の三つの宿命的な欠陥

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