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今年最後の乗り物が2つある 立山黒部アルペンルートへ行ってきた

 北アルプスと呼ばれる山岳地帯を通り抜けるルートとして人気がある立山黒部アルペンルートだが,そのルートを構成する乗り物のうち2つ,黒部ダムの遊覧船「ガルベ」と,立山トンネルを通り抜けるトロリーバスが,今年で最後となる
 今回は,その2つの乗り物の乗り納めも兼ねて,立山黒部アルペンルートへと行ってきた。
 立山黒部には過去3回ほど行っているが,いずれも抽選で当たった非公開のルート(来年よりキャニオンルートとして誰でも通れるようになる予定)など,アルペンルートとは異なるルートであった。それゆえに,今回が人生初の立山黒部アルペンルートでもある。


上高地

 初日は立山黒部には行かず,立山黒部と同じ中部山岳国立公園に属する人気の観光地である,上高地へと向かった。

とても良い天気であった
穂高連峰を背に有名な河童橋
山と川の織りなす景色が美しい
梓川は透き通った青色できれいであった

 時間の都合上,河童橋周辺を散策するに留まったが,北アルプスの美しい景色を堪能できた。
 この日の夜は,立山黒部アルペンルートの入口,大町温泉郷に泊まった。

大町温泉郷のバス停
翌朝はここから立山黒部アルペンルートの始点である扇沢駅へ向かう

立山黒部アルペンルート

扇沢駅から電気バス

 2日目の朝は大町温泉郷から,立山黒部アルペンルートの長野側の始点である扇沢駅へ向かった。扇沢駅からはアルペンルート最初の乗り物である関電トンネル電気バスに乗って,最初の経由地である黒部ダムへ向かう。
 関電トンネル電気バスは,以前は架線から集電した電気で動くトロリーバスであったが,現在は扇沢駅で充電して動く電気バスとなっている。私はこの区間が電気バスになってから初めての立山黒部である。

大町温泉郷からバスで扇沢駅に到着
扇沢駅では電気バスの待ち時間にサーモン寿司の販売
とても面白い駅員の方で,待ち時間を楽しむことができた。
充電式の電気バス

黒部ダムと遊覧船「ガルベ」

 黒部ダムに到着したら,黒部湖遊覧船ガルベに乗る。この遊覧船は,黒部湖をぐるっと一周する,日本で最も標高の高いところを航行する遊覧船であるが,今年いっぱい(11月まで)で運航を終了し,後継となる船は導入しないそうである。それゆえに,黒部湖を遊覧船でまわることが出来るのは,今年が最後のチャンスとなる。

黒部ダム駅に到着したらトンネルを歩き進める
トンネルを抜けた先には広大な黒部湖が
黒部ダムを横断して対岸の遊覧船乗り場に向かう
黒部湖遊覧船ガルベ
ガルベという名は黒部の語源となったアイヌ語から取っているそう
今年いっぱいで黒部湖の遊覧船は運航を終える
湖上から見る黒部ダム
長野側には赤沢岳
ガルベが無くなると黒部湖の奥へは5時間歩かないと行けなくなるそう
ガルベで行ける最奥部
最奥部で折り返し
平乃小屋という山小屋が見える
富山側には立山連峰
これから向かう大観峰と万年雪も見える
ガルベを降りたら昼食のため再び黒部ダムを渡る
黒部ダムの先には虹がかかっていた
レインボーテラスと呼ばれる新展望広場からは虹がかかった黒部ダムの観光放水を見られた
黒部ダムレストハウスでダムカレー
昼食後は断崖にかけられた階段を登り展望台へ
黒部ダム展望台からはダムの全景を一望できる
展望台を下りてデザートに遊覧船ガルベラストラン限定のココアフロート

全線地下のケーブルカー

 関電トンネル電気バスの黒部ダム駅から黒部ダムを歩いて渡った先,黒部湖駅からは,立山黒部アルペンルート3つ目の乗り物である黒部ケーブルカーに乗って黒部平駅へと向かう。このケーブルカーは日本で唯一,全線が地下のケーブルカーであり,現在も開業当初の車両が使われている

全線地下式の黒部ケーブルカー
黒部平駅からは黒部ダムの建物と赤沢岳が望める

立山ロープウェイ

 黒部平駅からは立山ロープウェイ大観峰駅へ向かう。立山ロープウェイは黒部平から大観峰まで途中に1本も支柱がないワンスパンロープウェイであり,ワンスパンロープウェイとしては日本最長である。

黒部平からロープウェイと大観峰を望む
ロープウェイ車内からは黒部湖を見ることができた
大観峰が近づくと万年雪が現れる

日本最後のトロリーバス

 大観峰駅からは立山トンネルトロリーバスに乗り,立山黒部アルペンルートの最高地点である室堂へ向かう。関電トンネルのトロリーバスが電気バスになったことにより,立山トンネルのトロリーバスが日本唯一のトロリーバスとなっていたが,このトロリーバスもついに今年で引退となり,来年からは電気バスでの運行となる。したがって,ガルベが今年最後であるのと同様に,トロリーバスに乗れるのも今年が最後のチャンスである。

大観峰駅から黒部ダムを望む
今年でラストランとなる日本唯一のトロリーバス
室堂ではトロリーバス引退にちなんだ,トロリーバス車体をイメージした限定ソフトクリーム「とろ~りトロリーバスソフト」を食べた。

アルペンルートの最高地点・室堂平

 立山トンネルトロリーバスで室堂駅に到着したら,立山黒部アルペンルートの最高地点である室堂平を散策する。室堂ターミナル周辺に広がる室堂平には遊歩道が整備されており,登山の格好をしていなくても気軽に周辺を散策でき,みくりが池地獄谷といったスポットに立ち寄られる。

室堂ターミナルを出ると目の前に雄大な景色が広がる
高山らしい景色が広がる室堂平
雲に隠れてしまっているが立山連峰の山々を背にみくりが池を望める
みくりが池の全景
これまでの場所とは一変して荒涼とした景色の広がる地獄谷
雷鳥荘を直撃する煙
地獄谷への遊歩道は立入禁止であった
室堂平から美女平側を望む
室堂駅からは立山高原バスに乗り美女平駅へ向かう
立山高原バスの車窓から見る弥陀ヶ原
約1500mの標高差を下った美女平は蒸し暑かった

ケーブルカーで下山

 立山高原バスに乗って到達した美女平駅からは,立山黒部アルペンルート最後の乗り物である,立山ケーブルカーに乗り立山駅まで下りてゆく。

立山側はこれまでとは変わって霧が広がっていた
立山ロープウェイの車窓からは材木石と呼ばれる,立山火山の溶岩が冷却する際にできた柱状節理の岩が露出したものを見ることができる。
立山駅からは富山地鉄電車に乗って電鉄富山駅へ向かう。
地鉄の車窓からは立山連峰から富山湾に注ぐ常願寺川の景色を見られる
富山の市街地が近づくと常願寺川も川幅が広くなる
富山駅では夕食に白えび亭で白えび天丼を食べた

富山観光

雨晴と氷見

 3日目は帰宅前に軽く富山を観光した。まずは以前富山に来た際に悪天候で断念した氷見のほうへと向かう。富山県の西側,高岡市と氷見市の海岸周辺は能登半島国定公園に指定されており,雨晴海岸をはじめとした富山湾の景色を愉しむことができる。

道の駅 雨晴にて雨晴サンデーを食べた
道の駅 雨晴の目の前に広がる雨晴海岸
比美乃江公園から望む丘陵上には阿尾城跡がある
氷見の中心部からさらに進んだ場所にある白山社という神社の裏には,大境洞窟住居跡という国指定史跡がある。
大境洞窟住居跡は,白山社の改築のために洞窟内の土砂を取り除いた際に土器などが出土したことから注目を浴び,日本で最初に発掘調査された洞窟遺跡である。
道の駅 氷見にて昼食に氷見牛カルビ丼を食べた
牛カルビとは思えないほど脂が少なく美味しい

魚津埋没林

 昼過ぎには,今後しばらく富山に来る予定が無いことから,氷見とは真反対であるが,以前より行きたいと思っていた,魚津にある魚津埋没林博物館へと向かった。
 魚津埋没林とは,河川の氾濫などによって埋没したスギの原生林の跡であり,海のすぐ近くながらも地下水の湧出などによって木々の根本が腐らずに残ったものである。魚津港の建設時に多数出土したことから埋没林の存在が判明し,原生林の存在した約2000年前からの環境の変化を伝える貴重な証拠として国の天然記念物にも指定されている
 現在も周辺には埋没林が残っており,魚津港建設時に出土したものは多くが処分されたものの周辺の民家にインテリアとして置かれているものもあるそう。

博物館内の水中展示館では出土した場所に地下水を満たして保存されている
水中展示は横からも見ることができる
今でも地下水が湧き出ており気泡も出ていた
乾燥展示館には魚津港建設時に出土した埋没林が展示されている
博物館周辺にも埋没林が残っているそう
埋没林の発掘現場の出土状態をそのまま展示したドーム館もある


 ということで,今回は今年で最後となる乗り物2つの乗り納めを兼ねた立山黒部アルペンルート訪問を目的とした旅であったが,アルペンルートのみならず,上高地や氷見といった周辺の観光地にも立ち寄ることができ,充実した旅となったように思う。

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