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世界一周307日

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2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO…
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2020年11月の記事一覧

note79: ロスアンゼルス(2011.11.2)

【連載小説 79/100】 LA随一の海水浴場として賑わうサンタモニカのビーチで北米最終日の夕刻を過ごしている。 「これぞウエストコースト」といった感じのヤシ並木の見えるカフェのテラス席に陣取ってMacBookAirを立ち上げ、ポケットからiPod nanoを取り出してイヤホンをつないで耳に。 1曲を選んでボタンを押すと流れてくる心地良いメロディはダウンロード購入したばかり「Surfer Girl」だ。 実は一昨日サンタモニカのCDショップをのぞいた僕は、そこで懐かし

note80: リマ(2011.11.5)

【連載小説 80/100】 ラテンアメリカを舞台とする冒険の旅がスタートした。 一昨日到着したのはペルーの首都にして政治・文化・商業・金融の中心地リマ。 同国人口の1/3にあたる800万人の人々が暮らす南米屈指の大都市は1535年にインカ帝国を制服したスペイン人のコンキスタドール、フランシスコ・ピサロによって築かれ、中心部の広場とカテドラルを核に街を広げたコロニアル時代の繁栄を色濃く残す旧市街はユネスコの世界遺産に登録されている。 日本とペルーの関係は深く1874年に南

note81: クスコ(2011.11.8)

【連載小説 81/100】 「ナスカの地上絵」を見るためには“鳥の視点”が必要になる。 「世界遺産」は1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づく人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」をもつ数々のスポットで、世界中から多くの観光客を集めている。 遺産の総数は今や1000に届くそうだが、基本的にそれらは全て人が地上で訪れて見学することができるものであるはず。 しかし「ナスカの地上絵」は、現地を訪れて広大な乾燥地を見ても意味はな

note82: マチュピチュ(2011.11.12)

【連載小説 82/100】 マチュピチュ。 標高2057mに位置するインカの遺跡はケチュア語で「老いた峰」を意味し、山裾からその存在を確認できないことから「空中都市」や「失われた都市」などと呼ばれるユネスコの世界遺産である。 うまく「SUGO6」の目が合って、かねてから一度は行ってみたいと思っていたマチュピチュを訪問できただけでも幸運だが、なんと今年2011年は「マチュピチュ遺跡発見100周年」の記念イヤーだというから不思議な縁を感じる。 また、「発見100周年」という

note83: チチカカ湖(2011.11.16)

【連載小説 83/100】 マチュピチュからクスコに戻った僕らはバスでプーノという町を経由し、ペルーとボリビアの国境を越えてチチカカ湖畔のコパカバーナに到着。 そこから双胴船に乗ってインカ帝国発祥の地「太陽の島」まで約1時間のクルーズ。 島ではインカ帝国ゆかりの地を観光した後、人類最古の船といわれる葦(トトラ)船に乗って島周辺を航行する体験に恵まれた。 ちなみにチチカカ湖は標高3810mの場所にあり、汽船などが航行可能な湖としては世界最高所らしい。 その後コパカバー

note84: ウユニ塩湖(2011.11.20)

【連載小説 84/100】 南米大陸の旅は次週3ヶ国目に移動することになった。 以下のメールのように、次の訪問地がブエノスアイレスとなったのだ。 >>>>> Dice Roll ⑱/2011.11.16-20:00<<<<< LaPaz → BuenosAires 【ブエノスアイレス BuenosAires】 11/23にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスへ。 「南米のパリ」と呼ばれる世界22位、南米1位の世界都市ブエノスアイレスに11月末まで滞在しヨーロッパ諸国と

note85: ブエノスアイレス(2011.11.24)

【連載小説 85/100】 アルゼンチンの首都ブエノスアイレスは人口300万人強をほこるメガシティで、数でいえば1100万人のサンパウロや600万人のリオ・デ・ジャネイロ(共にブラジル)にかなわないが、都市機能の総合力では世界で第22位、南米第1位の「世界都市」である。 ※世界都市の格付けについては[note45]でレポートした。 ※サンパウロは35位、リオ・デ・ジャネイロは49位 美しいブエノスアイレスの街は「南米のパリ」と呼ばれるそうだが、スペインによる植民地時代が長

note86: プエルト・イグアス(2011.11.27)

【連載小説 86/100】 旅していると様々な「世界三大○○」に出会う。 たとえば「世界三大河川」は南米のアマゾン川、アフリカのナイル川、北米のミシシッピ川。 「世界三大秘宝」はツタンカーメン黄金のマスク、ミロのヴィーナス、モナ・リザで、「世界三大美術館」はメトロポリタン美術館、ルーヴル美術館、エルミタージュ美術館というふうに「世界三大○○」は観光素材に直結している。 そういえばシンガポールを訪れた際に紹介したが「世界三大がっかり観光名所」というのもあってシンガポール

note87: パタゴニア(2011.11.30)

【連載小説 87/100】 「6ヶ月、パタゴニアに行ってきます」 今から約40年前、そんな電報を残して英国からアルゼンチンを目指したひとりの男がいた。 処女作『パタゴニア』が米英の名だたる文学賞を受賞し、時の人となった若き旅行作家ブルース・チャトウィンである。 1940年生まれのチャトウィンは美術品・骨董品のオークションで有名な「サザビーズ」に入社し最年少でディレクターに昇格するも「世界を旅したい」との思いから職を辞し『サンデー・タイムス』のジャーナリストを経て作家と