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note85: ブエノスアイレス(2011.11.24)

【連載小説 85/100】

アルゼンチンの首都ブエノスアイレスは人口300万人強をほこるメガシティで、数でいえば1100万人のサンパウロや600万人のリオ・デ・ジャネイロ(共にブラジル)にかなわないが、都市機能の総合力では世界で第22位、南米第1位の「世界都市」である。
※世界都市の格付けについては[note45]でレポートした。
※サンパウロは35位、リオ・デ・ジャネイロは49位

美しいブエノスアイレスの街は「南米のパリ」と呼ばれるそうだが、スペインによる植民地時代が長く数多くの移民が流入したこともあり、僕のイメージとしては8月に訪れたマドリッドに近い。

そんなブエノスアイレスの街並みと建造物群をじっくりと味わいたいところだが、今回の僕に時間的なゆとりはない。
昨日の夕方に到着して今日1日はブエノスアイレス市内を散策したものの、前回レポートしたように明日からはアルゼンチン国内を精力的に旅することにしたからだ。

まず明日から北部の「イグアスの滝」を訪れて2日滞在した後に南部の「パタゴニア」を目指し3日間を過ごして30日にブエノスアイレスに戻る予定だ。

さて、本来なら今日が「Dice Roll」デーで次なるデスティネーションが決定する予定だったのだが「SUGO6」の今後が思わぬ展開になったので報告しておきたい。

実は、ブエノスアイレスへ向けてラパスから旅立つ直前に1通のメールが届いた。
差出人はPASSPOT社の社長で、折り入って相談したいことがあるのでブエノスアイレス到着後の夜にfacetimeでオンラインミーティングをしたいとのことだった。

今年の1月に初めて出会い、その後数回の打ち合わせを経て3月10日に旅立って以降、時々メールで情報交換はしていたがオンラインとはいえ顔を会わせるのは久しぶりだった。

そして、僕は彼から面白い提案を受けた。
そのオファーを整理すると以下のようになる。

●「ネットワーク旅行」の再定義
[note2]で紹介したが「SUGO6」の解説ドキュメントの中に以下の表記がある。

・・・「SUGO6」は独りで旅しながらも、その先々で生まれる「見知らぬ誰か」との出会いの数々こそが最良の観光素材だと考えているからです・・・

ここで「ネットワーク旅行」と定義した「SUGO6」における“出会い”は世界を旅する人々の“空間軸”ネットワークととらえていたが、そこに歴史という“時間軸”をクロスさせたネットワークを意識したい。

●「世界一周」旅行に奥行きを演出
「世界一周」の旅は“点”としての都市を“線”でつなぎ、“面”としての世界観を味わってもらう旅のプログラムであるが、その二次元的体験に歴史という奥行きのメニューを準備することで三次元的な演出ができる。
そこでUncle-Tomから僕が受けたミッションである「偉大な人物の生涯を視座に世界や歴史を再見する旅」を次年度以降「SUGO6」にSIT(スペシャル・インタレスト・ツアー)として組み込んでいきたい。

●オセアニア地域のテーマ&ルート整備
残り40日となった僕の「SUGO6」の旅のアルゼンチン以降の訪問地選択に関してはこれまでの「Dice Roll」を行わず、参加者としての旅人ではなく提供者サイドのポジションに立ってテーマに沿ったルートを提案してほしい。

つまり、ここのところ意識してきた“ニューツーリズム”を具体的なツアープログラム化する作業のビジネス依頼だったのである。

驚いたことに、この件についてPASSPOTの社長とUncle-Tomが先週東京で会い、僕への依頼のコンセンサスを得たらしい。
※そういえばマイアミでUncle-Tomと別れたあと、facebookでふたりをつないだのは僕だった。

もちろん、僕はこのオファーを受けた。

残り40日と聞いて「SUGO6」が大詰めの段階に入っていることに気付かされたが、その中身を自ら構築する作業は長旅のしめくくりとして相応しいと思う。

おまけにオセアニア地域は僕の得意ドメインであり、そこに大好きな歴史上の“人物”たちの軌跡が数多く存在する。

明日からは慌ただしい旅となるが、その合間にプランを練ることにする。

“スペシャルツアー by 真名哲也”乞うご期待である。


>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年11月24日にアップされたものです。


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