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世界一周307日

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2011年3月10日。ひとりの旅行作家が全く新しいシステムによる世界一周の旅をスタートさせた。巡る先はアジア、ヨーロッパ、アフリカ、北米、南米、オセアニアの世界6大陸。『SUGO…
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2020年8月の記事一覧

note47: ヨハネスブルグ(2011.8.1)

【連載小説 47/100】 野生動物たちの躍動的な姿とサバンナに沈む夕陽の残像をしばらくは心に宿して旅を続けるつもりつもりだったが、昨日ヨハネスブルグへ着いた途端、再び自然から文明サイドへと引き戻されることになった。 O・R・タンボ国際空港で僕を出迎えてくれたのはATJスタッフのSK君。 ナイロビで次なるデスティネーションがヨハネスブルグに決定してすぐに「SUGO6」アプリの「friends」機能を使って連絡をくれてヨハネスブルグ滞在中のガイドを引き受けてもらうことになっ

note48: ヨハネスブルグ(2011.8.4)

【連載小説 48/100】 「アフリカ大陸における日本と中国の勝負はある意味ですでに決着がついているのかもしれませんね…」 SK君が呟いた言葉が妙に切なく心に残った。 彼は将来アフリカを舞台に国際的なビジネスをしたいと希望しているが、その厳しさを痛感しているのだろう。 前回、中国がアフリカにおける最大投資国となっていることを紹介したが20世紀後半に“成長から取り残された”アフリカのその後と中国との関係についてレポートしよう。 実は日本人のほとんどはノーマークだろうが

note49: ヨハネスブルグ(2011.8.7)

【連載小説 49/100】 4日前、干ばつや内戦による食糧危機で飢餓が深刻化するソマリアに対して国連が緊急支援を国際社会に要請した。 過去90日間に5歳未満の乳幼児が3万人近く餓死し、今も64万人の子供が深刻な栄養失調状態にあるという。 ソマリアはケニアの隣国で7月末まで僕が滞在していたナイロビから「飢餓地域」に認定されたソマリアの首都モガディシオまでは1,000kmほどしか離れていないので少なからず驚いた。 ケニアと南アフリカ共和国というアフリカ大陸における豊かな国を

note50: リスボン(2011.8.11)

【連載小説 50/100】 日本とポルトガルの関係を語る上で外す事ができないのが16世紀の「鉄砲伝来」である。 1543年、大隅国(現在の鹿児島県)種子島に漂着した中国船に同乗していた2人のポルトガル人が所持していた鉄砲が「天下統一」の戦乱を左右することになる。 時はまさに群雄割拠する戦国時代。 鉄砲という新兵器の登場が刀や槍を主力とする合戦の有り様を大きく変え、鉄砲鍛冶の成立や武器の輸出入が産業界の構造をも変化させた。 長き鎖国の時代を間にはさむことにはなるが、鉄砲

note51: ポルト(2011.8.14)

【連載小説 51/100】 リスボンから北へ約300km。 3時間弱の鉄道の旅はドウロ川に掛かるサン・ジョアン橋が入り口であるかのようにポルトガル第2の都市ポルトへと旅人を誘う。 ドウロ川が大西洋に注ぐ丘陵地帯に広がる港湾都市ポルトはポルトガルを代表する古都の一つで、河岸とその周辺に広がる歴史地区全体が1996年に世界遺産に登録されている。 ところで、リスボンでも同様のことを感じていたのだが、聖グレゴリウス聖堂・ポルサ宮・聖フランシスコ聖堂などの歴史的建造物が並ぶ町を歩

note52: マドリッド(2011.8.17)

【連載小説 52/100】 ポルトガルのポルトから列車に揺られ、途中乗り換えを経て約12時間で昨日の朝、マドリッドに到着した。 ポルトガル同様10数年ぶりのスペインに旅人として違和感なく溶け込めたが、その理由は充分に理解済み。 そう、3月末に訪れたフィリピンのマニラでスペイン統治時代の歴史が色濃く残るイントラムロスを歩き回ってきたからだ。 もし次の訪問地がフランスのパリになったとしたら、今度は5月に訪れたベトナムのホーチミンやカンボジアのプノンペンを思い出し、その街並み

note53: サラゴザ(2011.8.20)

【連載小説 53/100】 昨日マドリッドからサラゴザにやって来た。 マドリッドやバルセロナ、バレンシアといったスペインの主要都市と約300kmの距離で結ばれる内陸のサタゴザは古来交通の要所であり、数々の教会や宮殿など観光地としても見どころの多い都市である。 鉄道パス「ユーレイル スペイン&ポルトガルパス」を利用して「SUGO6」の旅を続けているが、ポルトガルのリスボンから10日以内にバルセロナへ移動することになっていたから、明日の午後には鉄道旅で約2時間のバルセロナに

note54: バルセロナ(2011.8.24)

【連載小説 54/100】 まずはバルセロナに到着した21日夜の「DICE ROLL」デーの報告をしておこう。 >>>>> Dice Roll ⑫/2011.8.21-20:00<<<<< Barcelona → Geneva 【ジュネーヴ Geneva】 スイス西部の都市ジュネーヴに1週間滞在し、フランスとスイスにまたがるレマン湖観光を楽しむ。 スイスへの移動はLCCのeasyJet社を利用。(8/27、8:45バルセロナ発10:25ジュネーヴ着) ※料金は90

note55: ジュネーヴ(2011.8.27)

【連載小説 55/100】 ジュネーヴ・コアントラン国際空港からタクシーで20分足らず。 レマン湖のほとりに建つ英国風のホテル「アングルテール」にチェックインした。 まだ到着したばかりで町を歩いたわけでも観光スポットを訪れたわけでもないが、ホテルの窓から湖を見ただけでジュネーヴの町を気に入った。 かの喜劇王チャップリンや女優オードリーヘップバーンもレマン湖の魅力に引き寄せられて近くに暮らしたらしいが、目に入る景色だけでなく窓を空けると吹く風も爽やかで心地良い。 初訪問と

note56: ジュネーヴ(2011.8.29)

【連載小説 56/100】 旅の楽しみは“食”にあるといっていい。 訪れる先の文化や習慣にあわせて1日3度の食事と加えてその間のティータイムをいかに味わうかは旅の日々における大きなテーマである。 そしてジュネーヴでは朝食を楽しむことにした。 レマン湖の眺望を前に食すクロワッサンとコーヒーは格別である。 欧州を旅して思うのは午前の時間の流れがゆったり流れる、という感覚である。 そんなヨーロッパの旅が来週末までと決まったので報告しよう。 一昨日の「DICE ROLL」デー