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note54: バルセロナ(2011.8.24)

【連載小説 54/100】

まずはバルセロナに到着した21日夜の「DICE ROLL」デーの報告をしておこう。

>>>>> Dice Roll ⑫/2011.8.21-20:00<<<<<

Barcelona → Geneva
【ジュネーヴ Geneva】

スイス西部の都市ジュネーヴに1週間滞在し、フランスとスイスにまたがるレマン湖観光を楽しむ。

スイスへの移動はLCCのeasyJet社を利用。(8/27、8:45バルセロナ発10:25ジュネーヴ着)
※料金は90€前後となる予定。

>>>>>SUGO6 Support Desk<<<<<

ということで、ダイスの目が「2」と出てイタリアを飛ばしてスイスへ向かうことになった。
※前回触れた「Dice Free」の権利行使に関しては1回先延ばしにできたことになる。

ポルトガルからスペインへは鉄道で移動したから、ヨーロッパ大陸初の航空路線がヨーロッパでも人気のLCC(ローコストキャリア)のeasyJet社となる。

同社のWEBでルートマップを見るとヨーロッパ各国の主要都市が並び、改めてヨーロッパの国々はEU(欧州連合)として繋がっているのだなと一瞬思うが、実はスイスはEUに加盟していない。

そのあたりの背景は現地を訪れてからレポートするとして、今回はバルセロナの旅における感動について報告しておこう。


もう20年近く前になるが日本に一大スペインブームが到来したことがある。

1992年、バルセロナのオリンピックとセビリアの万国博覧会が同時開催され、世界中がスペインに注目した。

時の日本はバブル景気の末期だったから多数の観光客がスペインを訪れ、国内においても各所でスペインフェアが催された。

実は1992年はクリストファー・コロンブスの「新大陸発見(1492)」から500周年のメモリアルイヤーで、コロンブスが葬られているセビリアが万博会場として選ばれたわけだが、以前にも記したように西洋の冒険家の歴史を追っていた僕は、同万博を取材するためにスペインを訪問したのである。

セビリアに続いてマドリッドを訪れ、できれば盛り上がりを見せていたオリンピック開催地のバルセロナにも立ち寄ってみたいと思いながら叶わずに帰国し、それ以来スペインは訪れたもののバルセロナには縁がないままとなっていたので今回の訪問はとてもうれしかった。

そんなバルセロナの中でも是非訪れてみたかったのが、あまりにも有名な建築家アントニ・ガウディの「サグラダ・ファミリア」である。

個人の寄付のみによって建てられる贖罪教会として1882年に着工され「完成まで300年」とされた壮大な計画を2代目の建築家として引き継いだのがガウディで、彼はライフワークとして死ぬまでこのプロジェクトに取り組んだ。

日本に暮らしていても異国を旅していても工事中の建造物を観光資源として見学した覚えはないが、この教会を目の当たりにして“未完の美”という巨大なアート作品が存在することを感じた。
そこに展示されているのはまさに“歴史の重み”なのだ。

そんな未完の建造物としてツーリストの目を楽しませているサグラダ・ファミリアだが、実は2026年に完成するという話をここへ来て聞かされ驚いた。

当初の300年計画であれば22世紀後半となるはずの完成が大きく前倒しとなったのはなぜか?
その背景には1990年代以降の劇的な訪問者数と寄付の増加による財政状況の好転があるという。
つまり、そのきっかけとなったのが20年近く前のオリンピック&万博イヤーだったのである。

異国の壮大な建築プロジェクトを見たいと願う旅人の集積がわずか20年で事業そのものの完成を劇的に早めたのだとしたら、この時期にサグラダ・ファミリアを訪れることができた僕はラッキーである。

なぜなら、完成後に訪れた者は一観光客でしかないが、入場料を払って聖堂を見たことで無数の創作集団の末席に加われたような気がするからだ。
※入場料も寄付の対象になっている

ひょっとすると次回バルセロナを訪れる時にサグラダ・ファミリアは完成しているかもしれないが、その時美しい聖堂を見上げて僕は自慢する。

「15年前、ささやかながらこの壮大なプロジェクトに協力したんだよ」

>> to be continued

※この作品はネット小説として2011年8月24日にアップされたものです。

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